第411話 あと1ヶ月
国際会議。
基本的には5年に一度、またなんらかの緊急事態が生じた際には四大国のうち2国からの要請によって開かれる。
イストワール王国も含めて、殆ど全ての国家が所属してる世界最大の国際機関。
四大国が中心となって設立された、評議会が一堂に会する大会議であり、別名……
「世界会議、か〜」
「ふふっ、ソフィちゃん、そんなに外を見てどうかしたの?」
「はっ!」
ここは国王であるエルヴァンおじさんと、王妃たるフローラ様が乗っている馬車の中なわけだけど。
いつのまにかフローラ様とエルヴァンおじさんに、微笑ましそうな目で見られてた!!
「す、すみません。
ちょっと感慨深くて……あっ! でも別に気を抜いてたわけじゃありませんからね!
私はプロなので、そこのところの抜かりはありません!!」
現に今もしっかりと馬車の周囲には結界を展開して、厳重な防御を施してるし。
魔力感知で半径1キロほどにわたって、周囲の索敵はしっかりとしてるもん!
この厳重な防衛網を突破して、この馬車に乗り込んで来れる者なんてほとんどいない。
それこそあの人達レベルとまでは言わないまでも、私達Sランク冒険者レベルの人くらいだと思う。
しかも! そのレベルのは人でも、容易にここまで辿り着くことはまず不可能!!
それ程までに厳重な、厳戒態勢を展開している!!
私はSランク冒険者!
いくら王都で行われている、エルヴァンおじさんとフローラ様が世界会議に向かうパレードを眺めていても問題ないのである!!
「ふふふ、それは心強いわ。
ね、陛下」
「そうだね、ソフィーとフィルくんがいてくれるなら安心だよ」
「ふふふ〜ん! 私達に任せてください!!」
これだけの大所帯だし、移動には通常以上の時間がかかる。
とはいえ、レフィア神聖王国は隣国だし、移動時間は2週間ほどなんだけど。
「しっかりと守り抜いて、レフィア神聖王国の王都レ・フィーアまで送り届けますからっ!」
けど……レフィア神聖王国の王都レ・フィーアにて開催される、世界会議は約1ヶ月間にわたって続く。
「往復の移動時間も含めて、約2ヶ月。
そんな長期間、国を開けても大丈夫なんですか?
移動だけでも転移魔法で、チョチョイっとやってしまった方が……」
エルヴァンおじさん達も知っての通り、特に今は結構緊迫してる状況だし。
現にイストワール王国の重鎮として、会議に出席予定のお父様達は会議初日に転移で行くって言ってたし。
「そうしたいけれど、そうもいかないのよ。
こうして騎士団を率いて移動するのは、他国に我が国の国力を示す意味あるのよ」
う〜ん、まぁそれはそうでしょうけど。
「それに、ソフィーは感覚が麻痺してるかもしれないけど、転移魔法は本来そう簡単に使うことができない高等魔法だからね」
「フィルくんのいう通り、残念ながら護衛や使用人も含めた大勢での転移は我が国ではできないんだよ。
そんな事ができるのは四大国の国々くらいだね」
「た、確かに……」
「それに問題はないさ。
今回はこうして、Sランク冒険者であるソフィーとフィルくんに護衛を引き受けてもらえたからね」
ん? それがどう関係……
「国にはもし私達が不在の間に、何か問題が起こった場合に備えて姉上が。
総帥たるネヴィラ・ルイーザ公爵が残っているからね」
「……なるほど」
そりゃあ、まぁ……うん。
ネヴィラお姉様が残っていらっしゃるのなら、確かに何も心配は必要なさそうだわ。
ネヴィラお姉様は総帥って地位にいるだけあって、結構苛烈というか破天荒なお方だし。
何か問題が起これば、それこそ力尽くで解決しそう。
「それに、私やフローラが介入しなければならない程の大問題なんて、早々起こらないだろうしね」
パチン! っと、お茶目にウィンクしてるけど……
神々の国こと悪魔王国ナイトメアへ辿り着き、色々と……本当に色々と知ったあの日から約11ヶ月。
この11ヶ月で……悪魔王国で修行したり、教団の手下達と戦ったり。
他にも悪魔王国で修行したり、地獄の修行をしたり、ヤバすぎる修行をしたりと。
「ふ、ふふふ……」
「ソ、ソフィー?」
「ソフィーちゃん?」
「いえ、なんでもありません」
それはもう思い返して、思わず遠い目になるほどに色んな事があったわけだけど……私達が文字通りの地獄を体験している間。
おそらくは乙女ゲームのラスボスだった魔王。
八魔王が
真実のルイーナはもういないにも関わらず、エマはセドリック達を順調に攻略したようで。
今やそれはもう仲睦まじく、人目も憚らずに学園でイチャイチャしてるし。
まぁ、なぜか未だなガイルとサイラスだけは攻略されてないんだけど、とにかく!
「あの、非常に言いづらいのですが……」
残念ですが、その大問題が起こる可能性が濃厚なんですよね〜。
しかもエルヴァンおじさん達の息子である、第一王子であり王太子でもあるセドリックが、盛大にやらかしそうなんです!!
セドリック達がやらかすのは、約1ヶ月後の3月2日。
3月1日の私の誕生日の翌日、学園の卒業式のあとに行われる卒業パーティー。
幼い頃から備えてきた運命の日まで、あと1ヶ月だと思うと感慨深くて。
そしてこの光景を見てると、それが実感できて外の景色を眺めて黄昏ちゃってたわけだけど。
「以前から度々報告させてもらっていましたが、そろそろセドリック殿下が問題を起こしそうなんです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます