第23章 世界会議編・序章

第410話 楽しみだわ!!

「おぉ〜」


 眼下に広がる光景。

 綺麗に整列して行進する騎士達に、その両脇を固める騎兵。

 掲げられる無数の国旗。


「なかなかに壮観だわ〜」


 さすがはイストワール王国、第一から第六までの6つの騎士団のうち四つの騎士団を動員しているだけはある。


「どれどれ〜」


 う〜ん、流石に騎士達の質で言えば、超大国であるネフェリル帝国や神聖レフィア王国。

 魔導学園都市王国にアクムス王国といった四大国の国々には劣るけど、平均してCランク相当ってところかな?


「ほほう、これはこれは」


 六つの騎士団の中から選抜された少数精鋭で、構成される国王陛下直下の部隊。

 平均Bランクの近衛騎士団も含まれているとは言え、なかなかの練度と言えるのではなかろうか?


 まぁこの騎士団を含めて、魔法師団も統括している総帥が王姉であるネヴィラお姉様だもんね。

 さすがはあのネヴィラお姉様に、鍛えられているだけはあるわね。


「むっ!」


 この魔素の揺れは……


「あっ、いた。

 ソフィー、こんな所でなにしてるの?」


「なんだフィルか〜」


 急に背後の魔素が揺れたから、何事かと思っちゃったじゃんか!

 こんな状況で転移魔法を使って、急にやって来るとか紛らわしい!!


「まったく、フィルは〜……」


 あの日、この世界の真実を。

 約400年前に勃発した聖魔大戦の事実を知ったし。

 しかも今日は重要な日だし、いつも以上に教団の連中を警戒してるのに。


「えっ、なんで俺が呆れられてるの?」


 やれやれ、けどそれよりも。


「ねぇねぇ、フィル。

 ふと思ったんだけど、どうして一人称が俺の時と、僕の時があるの?」


 実は前からちょっと気になったたんだよね。

 フィルは自分この事を俺って呼ぶ時と、僕って呼ぶ時がある。

 なんでだろ?


「あはは、今更それ?」


 むっ、純粋に疑問に思ったから聞いたのに、苦笑いされたんですけど!!


「単に状況によって使い分けているだけだよ。

 例えば今みたいにソファーと2人っきりの時は俺、他の誰かも一緒にいれば僕って感じでね」


「ほほう」


 へぇ〜、ふぅ〜ん、そうですか。


「むふふっ!」


 それってつまり、私だけを特別扱いしてるって事じゃない!


「フィルの中で……」


「ソフィーは特別だからね」


「ほぇっ!?」


 な、ななな何言ってんのっ!?

 と、特別って! まぁ、そう揶揄ってやろうとは思ってたけども!!


「なにせ、ソフィーは大切な……」


 た、大切な?


「信頼できる相棒、だからね」


 相棒……いやまぁ、うん。

 その通りなんだけども、それについては完全に同意するけども!


「むぅ〜」


 なんて顔と声音で言ってるのよっ!!

 フィルめ……私を揶揄うために、わざとだなっ!


「あははっ、そんなに拗ねないでよ。

 ソフィーが大切な相棒っていうのは本当だし、それに……」


「それに?」


「いや、それよりも陛下がお呼びだよ」


「ん〜、わかったわ」


 今回の護衛依頼の依頼主である陛下、エルヴァンおじさんがお呼びだというのなら仕方がない。

 フィルを詰めてやるのは後にして……


「よし! 行くわよ!!」


 今回の依頼。

 国際会議に向かうエルヴァンおじさんの道中の護衛だけど……


「ふふっ」


 どうなるのか、楽しみだわ!!

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