第398話 歓迎会 その2
「それでは、皆グラスを」
不思議だわ〜。
色々聞きたい事とか、言いたい事があるのに……国王陛下のお言葉には諸々の感情に関わらず、不思議と従ってしまう。
「彼らの苦難と検討を讃え。
そして、新たなる門出を祝して、乾杯」
「「「「「「「「「乾杯」」」」」」」」」
国王陛下がグラスを掲げて告げると同時に、あるものは上品に、あるものは優雅に、あるものは楽しげに各々がグラスを掲げる。
「むむっ」
美味しい!
私のグラスに入ってる中身はワイン……ではなくて、残念ながらなぜかブドウジュースだけど。
思わず唸ってしまうほどに美味しい!!
「それじゃあ、改めて皆の事を紹介させてもらいましょう。
まずは私から」
そういって国王陛下が徐に立ち上がり……
「私の名前はファルニクス。
ルミエの父であり、この国の女王であるーーーーーーの夫です」
「っ!?」
これは……国王陛下のお言葉にモヤがかかったようになって、一部がちゃんと聞き取れない?
そういえば昔、イストワール王国の王都ノリアナ近郊に出現した
水の大精霊であるアクアさんや、ガラスさんにルミエ様曰く。
そして状況からして、魔法神ティフィア様からギフトをいただいた時も、魔法神様の名前の部分が聞き取れなかったけど……どうしてだろう?
それに! 聞き取れないとはちょっと違うけど、わからないといえば最初から私が持っていた加護!!
あの加護も未だに誰からの加護かわからないんだけど、も、もしかして!! あの加護って魔法神ティフィア様のっ!?
「現在は国王として不在の妻に代わって、この国を守っているしがない竜神です。
気軽に名前で呼んでください」
神の国の国王陛下であり、魔法神ティフィア様の旦那様でもある御仁を気軽に名前でお呼びできるかはさておき……竜人?
竜人といえば、竜でもあり人でもある。
単に竜種と人のハーフってだけじゃなくて、人の姿になった竜種をそう呼ぶ事もあるそうだけど……なるほど。
国王陛下は竜人だったのか、だからルミエ様も竜種の姿になったりできるわけね、納得だわ。
当然! ルミエ様が力を押さえた状態ですら、竜王に位置するわけだし。
国王陛下は竜種と人のハーフじゃなくて、人の姿になることもできる竜種だとは思うけど。
「気軽にって……ファルニクス様は竜神、竜の神ですよ?
我らが女王の事もあるし、気軽に名前でなんて呼べませんよ」
「っ〜!!」
あのガルスさんが!
大賢者であるマリア先生達と並んで冒険王と謳われる伝説の英雄にして、ルミエ様と互角に渡り合う怪物!
たとえ五大国の王が相手もでも、口調を変えないあのガルスさんが! 敬語を使ってるっ!?
というか! ガルスさん、今なんてっ!!?
竜の神? という事は……国王陛下は竜人なんじゃなくて、竜神。
つまりは魔法神ティフィア様と同じく神様っ!?
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