第314話 海竜の王
アクムス王国やネフェリル帝国……四大国の首都と比べても遜色がないほどに広大で美しい大都市。
そんな街並みを背に柔らかな笑みを浮かべる、青い髪と瞳をした女性。
「海竜さん……ですよね?」
「はい、そうですよ」
うん、そうですよね。
だって結界を抜けてこの空間に入った瞬間に、私達の目の前で人の姿に変身したわけだし。
なにより! 海竜さんの魔力を間違えるはずがない。
「マジかよ……」
「まさか、とは思ってましたが」
イェーガーさんやイヴさんが唖然と呟いてるけど、そんな反応になっちゃうのも仕方ない。
だってまさか深海にこんな光景が……明るく周囲を照らす温かな光りと、四大国の首都に匹敵するほどの大都市があるなんて完全に予想外だもん。
そしてなにより……目の前で人の姿になった海竜さん!!
竜種が人の姿になるときの法則も……そして、人の姿になれる竜種は一握りの存在だということも。
竜種が人の姿になる際は基本的に身体のどこかに尻尾があったり、角があったり、翼があったりと、竜種である残滓が残ることが多く。
高位の存在であればあるほど、上手く人の姿になるという。
「ははっ……」
けど……目の前の海竜さんは尻尾も角も翼も!
それどころか雪のように白い白磁の肌には、美しい青色の鱗の名残すらなく。
どこからどう見ても、完璧に人間の姿!!
そもそもただでさえ、人の姿に人化できる
その上ここまで完璧に人化できるとなると、この海竜さんの正体は最高位の……
「まさか海竜さんが竜王の一柱だったなんて」
竜王。
それは竜種の中でも最高位に位置する存在であり、海竜や火竜といったそれぞれの属性につき一柱存在するとされる竜種の頂点。
そして竜王は完璧に人化することができる……とされている。
つまり、この海竜さんは竜種の姿になったときのルミエ様と同格である、海竜の頂点に君臨する竜王ということになる!
「隠していたつもりはなかったのですが……驚かせてしまったようですね。
姫から聞いて既にご存知だと思っていたのですが……」
「姫?」
ってことは、まさか……
「ルミエ様、もしかして?」
「ふふっ、ごめんなさい。
あの子の正体を知って驚く可愛いソフィーが見たくて、言い出せなかったのよ」
「ルミエ様……」
ルミエ様が知ってたってことは、ガルスさんも?
「まぁな」
「はは……」
なるほど、どうりで結界を超えてこの光景を目にしても。
人化した海竜さんを目の当たりにしても、まったく驚かないわけだわ。
「改めて自己紹介させていただきます、私の名前はマーレ。
竜王が
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