第277話 先輩……?
確かにこの赤毛の襲撃者は強い!
けど……私なら捕縛することができるっ!! たぶん、きっと、おそらく!
まぁ、相手が超すごい奥の手を隠してたらヤバいかもだけど……最悪の場合はフィルも、さらにはルミエ様もいるわけだし!
問題ないっ! はずっ!!
「えぇ〜! じゃあキミがあの、魔王の一角を落としたっていう天才少女っ!?」
あ、あれ? おかしいな。
たった今、貴女を拘束しますっ!! って、めっちゃビシッと宣言したはずなのに……
「えっ! じゃあまさか……そっちの美少年くんが光天と名高いフィルくんっ!?」
「えぇ、そうですよ」
「うっそぉ〜っ!! 2人とも想像してたのと全然違うっ!!
もっとなんかこう……ゴツいゴリラみたいなのを想像してたのに!」
「ゴ、ゴリラって……」
み、認めるのは癪だし、私自身は認めてないから非公式だけど……世間に知られている、私の通り名は白銀の天使なんですけど。
い、いや! 相手のペースにのまれるな!!
動揺を悟られて、付け入られる隙を作るわけにはいかない。
ここは堂々と、それでいて余裕のある態度でもう一度ビシッと、拘束宣言をしてやるわっ!!
「も、もう一度いいます。
貴女をオルガマギア魔法学園の襲撃犯として、この場で拘束させてもら……」
「まさか私の後輩ちゃん達が、こんな美少女と美少年だったなんてっ!!」
「拘束されてもら……」
「あぁ〜! ヤバい! これはヤバいよっ!!
私、不覚にもこの子達のファンになっちゃいそうっ!!」
「こ、拘束……」
「こんなに可愛い子達ならもっと早く会いにくればよかった!!」
「もうっ! なんなのこの人っ!!」
全然人の話を聞いてくれてないんですけどっ!?
「ねぇねぇ! ソフィーちゃんって呼んでもいいかな?」
「好きにしてください!
それよりも……」
「やった! ソフィーちゃん!!」
「……なんですか?」
「ふへへっ、呼んだだけ!」
「っ〜!」
お、落ち着け。
落ち着くんだ私!
ここで相手のペースに乗ってもいいことなんて何もないんだし、私達が優位なのは変わらない。
「すぅ〜、はぁ……」
ここは務めて冷静に。
取り乱すことなく、学園の襲撃者を……そして、私の平穏な日常をぶち壊してくれた犯人を捕まえるっ!!
「ソフィーちゃん、深呼吸なんてしてどうし……あっ! わかった!!
うんうん! そうだよね〜、私に聞きたいことがいっぱいあるよね?」
そう! たとえこの人が何者であろうとも!!
「よしわかった!
このお姉さんに、先輩であるフランお姉さんに、なんでも聞いて!!」
どれだけマイペースな、先輩であろうとも! そんなことは関係……
「ん? 先輩……?」
先輩ってどういう……そういえば、さっきも私達のことを後輩ちゃんって呼んでたような……
「そっ! 何を隠そう私はソフィーちゃん達と同じSランク冒険者、破炎のフランお姉さん!!
つまり! ソフィーちゃん達の先輩ってわけけ!」
「破炎……」
この人が。
オルガマギア魔法学園の結界を破壊して襲撃してきた、15、6歳にしか見えないこの人がSランク冒険者の1人っ!?
「えっ、うそっ!」
全Sランク冒険者の二つ名と名前を完璧にコンプしてるから、破炎のフランって名前は当然知ってるけど……
「こ、この人がっ!?」
で、でも、そう考えるとマリア先生の結界を破壊できた事実にも納得できるし。
「フィ、フィル! どうしよう!?
本物っ! 本物の破炎のフランが目の前にっ!!」
「ちょっ! ソフィー、落ち着いて」
「あぁ〜! もう、なんて可愛いのっ!?
なんでも聞いて! ソフィーちゃんにならなんでも、特別に私のスリーサイズも答えちゃっ……」
「すみませぇ〜んっ!!」
突如上空から声が鳴り響き……
「このおバカっ!」
さっきのフランさんみたいに、上空から現れた長身の美女の一撃が……
「うえっ!?」
綺麗にフランさんの後頭部に決まった。
「えっと……」
「この子が、本当にすみませんっ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます