第274話 平穏な日常を満喫……

「むふふっ!」


『本当に、ここ数日ずっとその調子ね』


「えっ? そうですか?」


『えぇ、ずっとご機嫌って感じよ?

 ファナ達に訝しまれないか、私が心配になるくらいだもの』


「またまたぁ〜」


 ルミエ様ったらご冗談を!

 こう見えて私は淑女教育を完璧に終わらせ、王妃教育すらもすでに完遂してみせた秀才!!


 そんな私がずっとご機嫌って感じ満載だなんて……ないないない! それはない!!

 私の感情のコントロールは完璧なのである!!


『ふふっ、まぁでもだらしない顔をしてるソフィーも可愛いから、別にいいんだけど』


「もう、ルミエ様ったら〜」


 私が人前でだらしない顔なんて、するわけないじゃないですか!

 でもまぁ……確かにちょっと浮かれて、ウキウキした気分なのは認めましょう!


 なにせ! 私が手に入れた新たな称号とユニークスキル!

 これがもうすごいんだから、最強を目指す者として、嬉しくなったちゃうのも仕方がない!!

 まず称号の到達者だけど……



 称号・到達者

 最高神……ではなく偉大なるーーーが定めた、一定の水準を超えた存在へと与えられる称号。

 この称号を手にする者は、世界の真の強者と言える。



 とまぁ! この称号を獲得したってことは、私は世界基準でも正真正銘の強者の仲間入りを果たしたわけなのである!!

 まぁルミエ様いわく、この到達者の称号の上にもう1つ基準となる称号が存在するらしいんだけど……


 細かいことは気にしない!!

 とにかく! 今重要なのは……私が名実ともに世界の中でも真の強者と呼ばれるレベルに至ったということっ!!



「そして……」


 獲得したユニークスキル・魔素の支配者!



 ユニークスキル・魔素の支配者

 ソフィア・ルスキューレが保有するユニークスキル。

 周囲一定範囲内の大気中に存在する、世界の魔素エネルギーに対する干渉権を持つ。

 また、体内の魔素エネルギーを支配下に置くことができる。



 一見しただけじゃあ隠してるからわからないだろうけど。

 このユニークスキル・魔素の支配者によって、私の保有する魔力量はベッド生活をしていたこの数日の間で激増したっ!!


 それに伴って、今まで使っていた魔法を全力で使ったときの威力が上がったのはもちろん!

 これまでは魔力量が足りずに使えなかった魔法が使えるように……


「にゅふっ!」


 そしてこれで! 今まで再現できなかった、前世の記憶にある数々の必殺技の再現がっ……!!


「ふんふんふ〜ん!」


 鼻歌を歌いながら!

 数日ぶりの自由を謳歌して、オルガマギア魔法学園の廊下をいざ行かん!!


「おはよう、ソフィー」


「あっ、フィル!

 おはよう」


 フィルは確かに強い。

 ちょっと前までなら、私と本気で戦えばどっちが勝つのかわからないほどには強い。


 それに顔も憎たらしいほどに整ってるから、女子からの人気も高くて……

 その上、四大国が一角の、それも超大国と称される片割れであるレフィア神聖王国の第一王子!


 フィルがもう意味不明なほどの、超絶高スペックを誇ってるのは認めよう。

 だがしかしっ!!


「ふっ」


 今となっては、私とフィルの間には隔絶した力の差が存在するのであるっ!!


「まぁ頑張りたまえ、フィルくん」


「えっ? なにそれ?

 なんで僕、ソフィーからニヤニヤした顔で見られながら、肩を叩かれてるの?」


「よし! それじゃあ、教室に向かおっか」


「完全に無視っ!?」


 いやぁ〜、今日も平和だわ!

 生徒の失踪事件も無事に解決したし、数日間に及ぶベッド生活から解放された。


「久々に平穏な日常を満喫……」



 ドゴォォォオッ!!!



 私の言葉を遮って……眩い閃光とともに、耳をつんざく爆音が鳴り響いた。

 

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