第228話 大海の怪物
「ほほう」
これはなかなか。
さすがは特Aランク、災禍級に数えられる大海の怪物、クラーケン!!
私達の魔力に反応して、攻撃してきたんだろうけど……まさか初手で、ここアクムス王国の王都フェニルを丸呑みにできそうな巨大津波を引き起こすとは。
「っ! これはっ!!」
「お、お姉様……」
まっ! そりゃあ突然、視界を埋め尽くすほどに巨大な津波が現れたらびっくりするよね〜。
けど……
「ふふっ、大丈夫ですよ」
確かに特Aランク。
災禍級に数えられるクラーケンは、この大津波からもわかる通り、単独で都市を壊滅に追いやることすらできる危険な存在。
「「っ!!」」
が、しかし! この場には私達が……Sランク冒険者たる私達がいる!!
「降り注げ……」
リアットさんとサイラスが、目の前で起こっていることに。
フィルから立ち昇る強大な魔力を目の当たりにして、驚愕に目を見開いて息を呑む!
「ルクス・レイン」
フィルの周囲に無数の光の雫が形成され……光の弾幕が文字通り光の雨のように、轟音をあげながら迫り来る大津波に降り注ぐ!!
「っ……」
「すごい……」
そうでしょう! そうでしょう!!
「ルクス・レイン。
この魔法は光天と称されるフィルの題名!!」
まっ、フィルが本気で戦うときの光の翼が一番の由来だろうけど。
とにかく! 新人戦で最後にフィルが放った魔法でもある、この魔法の威力は私が一番知っている!!
「あはは、なんでソフィーが得意げなのさ……」
むっ、フィルに苦笑いされちゃった。
仮面をつけてるから素顔は見えないけど、長い付き合いの私にはわかる!!
「だってフィルは私の相棒だもん」
相棒のすごさをリアットさん達に、自慢したくなるのは仕方ないじゃんか!
こう、私の相棒はこんなにすごいんだぞ! って!!
「まぁ!」
ん? なんかリアットさんが口元を手で押さえて、こっちを見て……
「ソフィー」
「うん、わかってる」
なるほどね。
リアットさんが見てたのは私じゃなくて、その奥……
「キシィィィッ──!!!」
天を衝くような怒りに満ちた声が鳴り響く。
その怒りの感情に反応したように、海が荒々しく荒れ狂う!
そして荒れ狂う海の中心で忌々しそうに、怒りに満ちた目で私達を見据える存在。
「話には聞いてたけど……流石に壮観だね」
「あれが……クラーケン!」
大きい! 500メートルくらいは距離があるはずなのに、はっきりと見えるし。
同じ特Aランクのベヒーモスの倍はある!!
あのサイズもだけど、クラーケンから感じるこの威圧感……
「さすがは下位とはいえ、
「大海の怪物と呼ばれてるだけはあるね。
ソフィー、あれに勝てると思う?」
クラーケンに勝てると思うかって?
「ふふっ、愚問ね!」
私を誰だと思ってるの?
「当然っ! なにも問題ないわ!!」
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