第200話 どういう状況っ!?
フィルがなんか呆れたような顔をしてるけど、細かいことは気にしない!!
それよりも! 今は私たちの上空で今まさに激突しようとしている、ルミエ様達とあの少女の戦いを見届けなければっ!!
「倍率……ドン!」
エクストラスキル・千里眼、発動!!
「おぉ〜!!」
上空でルミエ様、ガルドさん、クリスティアさんの3人と青い髪の少女が対峙してる!
「大事にならないといいんだけどね……」
むむっ、さすがはフィル。
私と同じ千里眼のエクストラスキルかはわからないけど、当然のように視力を強化できるとは。
「ソフィー、観戦するのはいいけど気を抜いたらダメだよ。
僕達2人で手分けして、いつでもこの場にいる人達全員を安全な場所に転移できるように備えておかないと」
「えっ?」
「あの人達が本気でぶつかれば……この都市、冒険者ギルド本部そのものが消滅しかねないからね」
「……」
確かにいわれてみれば、ルミエ様は竜王の姿の時ですらルミエ様は力を抑えた状態だし。
ガルドさんとクリスティアさんのはっきりとした実力は、わからないけど……冒険者ギルドの頂点に君臨する人達。
今はそんなルミエ様達と、あの少女の戦い。
まさに神話級の! 伝説に語られるような戦いが始まろうとしてる状況!!
もしそんな戦闘が繰り広げられれば……その余波による被害は想像もつかない。
「事態の深刻さがわかったようで何より。
下手をすれば一瞬でこの街ごと消滅って事もあり得るんだから、もう一度言うけど気を抜いたらダメだよ?」
「う、うん」
ぶっちゃけ……ルミエ様達の戦闘による被害の方が、スタンピードよりもヤバそうな気がするし。
これは一瞬たりとも気が抜けない!!
「気を引き締めないと!」
興奮してる場合じゃない!
ルミエ様達の戦闘、その一挙手一投足すら見逃さないように集中しなければ……!!
「すぅ〜、はぁ……」
魔力感知、最大出力っ!!
さらに! 叡智の権能で思考速度を加速させて……
「よし!」
さぁ! いつでも戦闘を始めてください!!
「……ねぇ、フィル」
「なに?」
「あれ、なんかちょっと様子が変じゃない?」
さっきから上空で睨み合ってるだけで、あの少女から発せられる怒気と殺気はビシビシと伝わってくるけど……一向に戦闘が開始してないし。
「確かに……ん?」
「えっ?」
な、なにっ! なに今の!?
「フィ、フィル! 今あの少女がすごく驚いた顔で、私達を凝視した気がするんだけど……!?」
「したね。
私達じゃなくて、ソフィーをだけど」
「ぇ? それって……」
い、いや! 取り乱すな私っ!!
今は一瞬たりとも気を抜けない緊迫した状況なのだ! 集中しないと……たぶんすぐに戦闘、が……
あ、あれ? 少女から発せられていた怒気と殺気が消えた?
なんかルミエ様達が呆れたような顔をして、身構えていた構えも解いてるし、これはいったい……
「っ!!」
少女の姿が消えっ──
「ひゃっ!?」
び、びっくりした!! いったいなにが!?
「貴女がソフィーちゃんですね!!」
「ほぇ?」
な、なに!? どうなってるの!!
「ふふふっ、可愛いですね。
私はレヴィア、よろしくお願いしますね!」
なんで青い髪の少女に……レヴィアさんに抱っこされてるの!?
これってどういう状況っ!?
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