第10章 英雄台頭編

第174話 今日から夏休み!

 前世の記憶にある学園……学校というものと同じく、この世界の学園の多くも春夏冬と3度の長期休暇が存在する。

 つまり、なにがいいたいのかというと……


「夏休みだぁ〜!!」


 我らがオルガマギア魔法学園も、今日から夏休みなのだっ!!

 ちなみに! オルガマギア魔法学園では、前世の記憶にある多くの子供達を苦しめた宿敵。


 夏休み最終日に泣きそうになりながら、家族にも手伝ってもらって終わらせる。

 一種の夏休みの風物詩ともいえる、夏休みの宿題というのは存在しない。


「むふっ」


 素晴らしい!

 まっ、ぶっちゃけ私からすれば、宿題があってもなくてもどっちでも大差ないんだけど。


 なにせ! 私は弱冠6歳にして、僅かに一年足らずで公爵令嬢に相応しい淑女教育を完遂した天才!

 いわゆる優等生なのだ! 夏休みの宿題くらい片手間で終わらせる……多分、恐らく、きっと!


「お嬢様、はしたないですよ」


「うっ……」


 ちょっとくらいいいじゃんか。

 前世の記憶によると、夏休みとは教師の目の届かないところで羽を伸ばし、自立性を養いながら成長する時間。


 つまり! ちょっとくらいハメを外して、はしゃいでも問題ない!

 いや、むしろそれこそが夏休みの存在意義であり、醍醐味なのだっ!! とはいえ……


「……」


 ファナは結構のほほんとして、柔らかい雰囲気を纏ってるけど……紛れもない私の専属。

 こう見えて怒ると怖いし、お説教も長い……うん、この自論は黙っておこう。


「こほん、そんなことより! フィルやミラさん達に挨拶もしたし、早く行こう!!」


「……もう、仕方ありませんね。

 承知いたしました」


 よし! 話を逸らせたっ!!


「あっ、そういえばミネルバとウェルバーは?」


「お2人でしたら一足先に王都の公爵邸に戻り、お嬢様のお部屋を整えていますよ」


「へぇ〜、そうなんだ……」


 ん? ちょっと待って。

 確かに学園ではミネルバとウェルバーは私の専属ってことになってるけど……


 ミネルバは私の義妹で、ウェルバーは王位継承権を放棄したとはいえ正真正銘の王族。

 なんで普通に使用人をやってるのっ!?


「では、参りましょうか」


「えっ? あ、うん。

 ルミエ様」


「私はちょっとマリアに用があるから、先に帰っててくれるかしら?」


「用事、ですか?」


「そう、ちょっとした野暮用でね。

 じゃあまた後でね」


 あっ、転移して行っちゃった。

 う〜ん、ルミエ様の野暮用ってちょっと気になるけど……


「お嬢様、私達も参りましょう」


「うん」


 仕方ない、帰ってきたら教えてもらおう!

 てなわけで……


「っと!」


 私達も転移魔法で、一瞬にして到着!


「ふぅ〜……よし! ファナ、行くよわぁっ!?」


「ソフィーちゃん!!」


「「「ソフィー!!」」」

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