第119話 幕開けだぁ〜!!
『さぁ! 今年もこの時がやってきました!!
昨日の予選を見事突破し、この決勝トーナメントに出場する出場者達の登場ですっ!!』
昨日の予選よりも熱気に満ちた会場。
昨日よりも熱のこもったアナウンス……昨日もちょっと思ったけど、このアナウンスって誰がやってるんだろ……?
『まず姿を現したのは〜……予選を僅か5分ほどで終わらせてしまった逸材!!
仮面で素顔を隠しているにも関わらず、その圧倒的な実力に! 仮面などでは隠しきれずに漂う気品、愛らしい仕草に魅了された者は多数!!
昨日の予選だけで白銀の天使としてその名を馳せた幼き優勝候補! Sクラス、ソフィア〜っ!!』
「っ!?」
は、白銀の天使っ!?
なにそれ! そんなの初耳なんですけどっ!!
というか、本当にこのアナウンス……というより、もはや実況だけど、誰がやってるのこれっ!?
「うぅ〜!」
は、恥ずかしい!
いやまぁ、最強を目指す身として目立つのは一向に構わない。
むしろ歓迎なんだけども……ま、まさか白銀の天使なんてあだ名をつけられていた事実をこんな形で知ることになるなんて……!!
『さて、続いて入場するのはこの人っ!!
昨日の予選にて他の選手を寄せ付けず、終始圧倒して見せた金髪の少年……ソフィア選手と並んで仮面で素顔を隠していながらも黄金の天使としてその名を知らしめたフィル選手だぁ〜!!』
「むふっ、黄金の天使だって!」
「あはは……面白がってるみたいだけど、ソフィーだって白銀の天使って呼ばれてるんだからね?」
「ぅっ……」
そ、それをいわれちゃうと、なにもいえない。
フィルめ、まさかこの私をこうも容易く論破するとは……これでまだ10歳なんて恐ろしい子っ!!
い、いや! でも男の子なのに天使って呼ばれてるフィルの方が私よりもダメージは大きいはず!!
「けど……コレって誰がやってるんだろうね?」
「あっ、それは私も気になって……ん?」
あ、あれは……
「ソフィー?」
「フィル、あれ……」
「あれは……いったい何が……」
私とフィルの視線の先。
観客席の一角にある各国の重鎮とかVIPのために用意されてる個室の1つ。
当然、帝国の皇帝陛下も昨日と同様に個室にいるわけだけど……
「な、なにかあったのかな!?」
昨日と比べてやつれてる……というか、見るからにボロボロになってるんだけど!?
帝国の! 四大国が一角にしてレフィア神聖王国と双璧をなす超大国たるネフェリル帝国の皇帝陛下がボロボロになってるって緊急事態なんじゃ!?
だって、皇帝陛下は大賢者たるマリア先生や冒険王と称されるガルスさんと肩を並べて伝説に謳われる英雄!
約400年にもわたって帝国を守り続けてきた、現人神って呼ばれるほどの実力者があれほどやられるなんて……
「いや、大丈夫じゃないかな?」
「な、なんで?」
皇帝陛下をあそこまでボロボロにできるほどのなにかが……それほどの緊急事態があったのなら、新人戦なんてやってる場合じゃないと思うんだけど。
「よく見てみて、皇帝陛下の隣にいらっしゃる五姫の方々はなんともないでしょ?」
「むっ」
そういわれてみれば……確かに、帝国守護の五姫のお方達は昨日と変わらずって様子でなんともなってない?
「あっ」
「ほら、僕達の視線に気づいた皇帝陛下も苦笑いしながらこっちに手を振ってるし、心配しなくても大丈夫だよ」
「そうかな……?」
皇帝陛下の身になにがあったのかは気になるけど、とりあえず心配する必要はないのかな?
「よかった〜」
「あら、何がよかったの?」
「ミラさん!」
皇帝陛下の姿が衝撃すぎてミラさんがいつの入場したのか気がつかなかった!!
「実は皇帝陛下がボロボロなんですけど、問題はなさそうだってフィルと話してたんです」
「皇帝陛下が……ふむ、あれは恐らく痴情のもつれね」
「痴情のもつれ?」
「ミラさん……純真なソフィーの前で何言ってるんですか!」
「っ! つ、ついね。
ふふっ、ソフィーちゃんが気にするような事ではないわ」
「むぅ」
私を子供あつかいしてますね!
「私も意味くらいちゃんと知ってるんですからね!」
なにせ、私には前世の記憶がある!
そのくらいの意味は当然知っているのだ!!
「ふふっ、そうね」
むっ、信じてませんね!
『以上! 決勝トーナメントに出場する選手32名!!
さぁ、果たして! この中の誰が勝利の栄冠を手にするのでしょうか!?
オルガマギア魔法学園が新人戦、今年の新入生210人の頂点を決める決勝トーナメントの幕開けだぁ〜!!』
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