第118話 決勝トーナメント
「あ、あの……」
「ふふっ、なぁ〜に?」
「い、いえ」
こ、これはいったい……どういう状況っ!?
昨夜のこともあるし、迷惑をかけちゃったみんなにお礼と謝罪をしないとダメなのはわかってる。
わかってるけど、昨夜のことがあるからこそ気まずい!!
教室に設置された、クラスのみんなはもう既に待機してるだろう昨日と同じ控え室代わりの訓練場へ続く転移陣の前でうろうろすること数分。
集合時間までもう時間もないし、葛藤を乗り越え! 意を決して訓練場に転移……したのに……
「あぁ、恥ずかしがってるソフィーちゃんも可愛い〜!」
なんでミラさんに抱きしめられてるのっ!
なんで他のクラスメイトのみんなは微笑ましげな生暖かい目で私を見てくるのっ!?
「あはは……ミラさん、ソフィーも驚いてるしそのくらいで」
「フィルっ!」
さすがはフィル!
頑張れフィルっ!
私をこのなんとも居た堪れない場所から救い出してっ!!
「あら、ごめんなさい。
ソフィーちゃんが可愛いからつい」
……ミラさんが段々と残念なお兄様達に似てきたような気がする。
「ソフィー、昨日の事はどこまで覚えてる?」
「あの……実はみんなで乾杯したところまでしか覚えてなくて……」
「あぁ、なるほど」
「フィルとミラさんが私を寮の部屋まで送ってくれたんだよね? その、ありがとう。
他のみんなもありがとう! そして、ご迷惑をかけてしまってごめんなさい」
よし! とりあえず、みんなにお礼と謝罪をするっていうノルマは達成した!!
「ふふふ、気にしなくても良いわよ。
ねっ、みんな!」
「うんうん!」
「可愛かったから気にしなくても大丈夫だよ!」
「そうだぜ!」
「気にすんなよ!」
「確かに〜!」
「へっ?」
えっ? えっ!?
な、なに? なんでさらに微笑ましそうな空気が増してるのっ!?
「あ〜、なんて言ったらいいかな……ソフィーが間違ってお酒を飲んじゃった後なんだけどね」
「フィル?」
「最初はすやすや眠ってたんだけど……ふと目を覚ましちゃって、みんながワイワイ楽しそうにしてるのを見て除け者にされてるって感じたのか、酔っ払ったままみんなに甘え始めてね」
「ほぇっ!?」
あ、甘え……!!
「とくにミラさんと……いや、ミラさんにはベッタリと甘えてたからね。
みんなに散々甘えて満足したのか、最後には満足げな表情でまた寝始めたけど、みんなの視線が生暖かいのはそのせいだよ」
「ッ〜!!」
間違ってお酒を飲んで寝ちゃったとは聞いてたけど……まさか、まさか! そんな粗相をしでかしていたなんてっ!!
「うぅ……」
「あはは、まぁみんなの言う通り、甘えるソフィーも可愛かったよ。
子猫みたいで」
「子猫……」
それはつまり、猫ちゃんサイズになったときのルミエ様みたいな感じってことかな……?
って! そんなことよりっ!!
「あ、あの! みんな、昨日の私の醜態は忘れてください!!」
「……」
「ふふっ今日も空振りのようね、フィル」
「揶揄わないでください……」
むっ? なんかフィルが苦笑いしながら肩を落としてるけど……どうしたんだろ?
「貴方達、はしゃぐのも良いけれど……そろそろ時間よ」
「っ! マリア先生!
おはようございます」
「えぇ、おはよう。
ソフィーちゃん、具合はもう大丈夫?」
「はい! おかげさまで、問題ありません!!」
「ふふっ、それは良かったわ。
ソフィーちゃんの活躍を期待しているわよ?」
「任せてください!!」
むふふっ! 今日、アルトお兄様と同じく私の名前を世界に轟かせてみせるっ!!
「さて、ソフィーちゃんだけじゃなくて昨日の予選を無事に勝ち抜いて決勝トーナメントに出場する皆の活躍を期待しているわ。
そして、予選で敗れてしまった者もクラスメイト達の応援をしっかりね」
「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」
「じゃあ行くわよ。
いよいよ決勝トーナメントが始まるわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます