第106話 担任の先生

「あ〜! ソフィアさん、可愛いわ〜」


「お肌スベスベ〜っ!」


「髪もサラサラですね!」


 も、もみくちゃにされるぅ!!

 いやまぁ、頭を撫でたり、頬ずりされたりするのは別にいいんだけども。

 お父様達で慣れてるし。


 けど! 一斉にこんなに大勢に群がられるのは困るっ!!

 ミラさんを筆頭にクラスの女性陣に包囲されて……みなさん盛り上がってるのはいいけど、おかげで男性陣の視線も感じるし、こんな大勢に殺到されるのは初めてだからどうすればいいかわからないっ!!


「あ、あの……」


「こほん、皆さん。

 そろそろソフィーを解放してあげてください」


 フィ、フィル!


「あら、私としたことがつい……ソフィアさん、ごめんなさいね」


「い、いえ! 大丈夫ですよ?」


 なんだろう。

 この短時間でも溌剌としてて明るい性格だってわかるミラさんが落ち込んでシュンとしてる姿を見ると罪悪感が……


「そ、そう? それでね、ソフィアさん……」


「?」


 ちょっと不安そうで、緊張したような面持ち。

 い、いったいどうしたんだろ?


「な、なんでしょうか?」


「その……私達もソフィーって呼んでもいい?」


「「「「「「「っ!!」」」」」」」


 えっ? なにこの空気。

 ミラさんがいった瞬間、なぜか周囲にいた女性陣が黙り込んで固唾を飲んでるんですけど……


「えっと、別に構いませんよ?」


「ほ、本当っ!?」


「は、はい」


「じゃ、じゃあ、これからはソフィーちゃんって呼ぶわね!」


「じゃあ私も!」


「私も!!」


「やったわね!」


 おぉ〜! ミラさんがデレたっ!!

 これが世にいうツンデレってやつか……


『いや、ツンデレではないんじゃない?』


「っ!」


 ルミエ様!!

 お帰りなさい! もうお散歩はいいんですか?


『えぇ、つまらない散歩だったわ』


 えぇ〜、オルガマギア魔法学園は広大だし、色々とすごい設備とかも揃ってそうなのに。

 う〜ん、でもまぁ確かに全ての魔法を司るとされる魔法神ティフィア様の娘であるルミエ様からしてみればつまらないのも仕方ないのかな?


『ふふっ、それにしても友達が沢山できてよかったわね』


 と、友達……! そ、そうですよね!

 まだ名前がわからない人もいるけど、少なくともミラさんは友達だと思う!!


「むふふっ!」


 帰ったらファナに自慢しないと!!


「ソフィー、今はソフィーって愛称で呼んでもいいって許可をもらえて喜んでいたから誰も気付いてないみたいだけど……そちらのお方ドラゴンと話すときは注意しないと」


「むっ、確かに」


 フィルのいう通り、ルミエ様とは声に出さなくても念話で話せるけど注意しないと変に違和感をもたれかねない。


「……ん?」


 あれ? ちょ、ちょっと待って!?


「フィ、フィル……もしかして……?」


「うん、最初から見えてるよ」


「えぇっ!?」


「ソフィーちゃん?」


「い、いえ! なんでもありません」


「そう? ふふっ、もう私達はお友達なんだから、何かあったら何でも相談するのよ?」


 お、お友達っ!!


「わかりました!」


 にゅふふ〜! 正式にミラさんからお友達ってきわれちゃった!! ……って、そうじゃなくて!

 ルミエ様! フィルがルミエ様のとこが見えるって!!


『ふふっ、彼なら大丈夫よ』


 大丈夫って……むぅ〜、ルミエ様もイジワルしないでフィルには姿が見えるようにしてるって教えてくれたらいいのに……


『もう、そんなに拗ねないの』


 別に拗ねてないです〜!


『後で散歩に連れて行ってあげるから機嫌を直して?』


 散歩……本当ですか?


『ええ、約束するわ。

 それよりも……来たわよ』


「?」


 来たって誰が……


「遅くなってごめんなさいね」


「っ!?」


 ま、まさか……


「このクラスの担任を務めるマリアよ。

 皆さん、よろしくね」


 オルガマギア魔法学園の学園長にして、魔法学園都市王国の女王……大賢者たるマリア先生が担任の先生っ!?

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