第101話 入学式

 高度な空間魔法で本来の数倍以上に拡張された空間。

 これから始まる学園生活を想像して思いをはせて、期待に胸をおどらせる毎年凄まじい倍率かつ高い水準を誇る入学試験を見事に突破した新入生達。


 今、私がいるのは……そんな世界三大学園の一角としてその名を轟かせる学園。

 世界最高峰の魔法研究機関でもあるオルガマギア魔法学園の入学式!! なのは良いんだけど……


「はぁ……」


 どうしてこんなことになったんだろ……?


「ふふっ、そんな顔をしないの」


「でも……」


 この前のステータス鑑定の儀式と、それに伴うパレード。

 そのあとにあった祝賀パーティーと、最近同じことばっかり考えてるような気がするけど……こればっかりは仕方ない!


「しっかりと頼んだわよ、ソフィーちゃん!」


「……はい」


 だって……だって!


「では続きまして、新入生答辞。

 新入生代表ソフィア」


 まさか、新入生代表として挨拶をすることになるなんてっ!!


「……はぁ」


 全ての始まりは、ここ魔導学園都市王国の首都たる第一都市に到着したあと。

 マリア先生に案内されて初めてオルガマギア魔法学園に足を踏み入れた5日前……






 ーーーーーーーーーー






「以上がオルガマギア魔法学園の入学前説明よ」


「ふむふむ」


 なるほど、なるほど。

 まぁ細かい校則とかはのちほどしっかりと見直すとして……マリア先生の説明の中で重要な点は主に5つ。


 1つ! オルガマギア魔法学園は他の2つの世界三大学園、オルガラミナ武術学園、王立神聖レフィア学園と同様に実力主義。

 年齢制限はないため、幼児でもご老人だろうと試験に合格できる実力があるのならば入学可能。


 2つ! オルガマギア魔法学園は5年生制で、1年の間に10単位を取得しなければ次の学年に進めずに留年となる。

 講義は自由に選択できるけど一度選択すれば担当の先生が課す最終試験に合格するまで次の講義は選択できず、1年経っても合格できない場合は落第となって合計で5つ落第すると強制退学になる。


 ちなみに、最初に決まったクラスは学年が上がっても変わることはないらしく。

 1つのクラスに同期だけど違う学年の生徒が居合わせることもあるとのこと。


 3つ! 完全実力主義のため、講義を選択した初日に試験を受けて合格することも可能。

 よって、優秀な者ならば一年を待たずして次の学年に上がることができて飛び級することもできる。


 4つ! オルガマギア魔法学園の卒業者は魔法使い、魔法士よりも高位の存在であり、一般的な魔法使い関連の称号の中では最高位の称号である魔導士を名乗ることが許される。


 そして、5つ! 成績優秀者の中でも特に優秀な者。

 あるいは第一魔塔の主人にして大賢者であるマリア先生に認められた者。

 他14の魔塔の主人である賢者の推薦を受けて、マリア先生に許可された者はそれぞれの魔塔に所属して個人の研究室を持つことができる!!


「ここまでで何か質問はあるかしら?」


「大丈夫です」


「じゃあ、次に移りましょうか」


「次?」


「えぇ、ソフィーちゃんは私の推薦だから入学試験は免除されてるけれど入学生は例外なく魔力量測定をする決まりなのよ」


「へぇ〜、そうなんですね」


「そういう訳だから……」


 おぉ〜何もなかった空中にマリア先生が手をかざした瞬間いきなりポンッ! って魔石が現れた!!


「この魔力量測定の魔石に触ってね」


「わかりました」


 それにしても魔力量測定の魔石かぁ、懐かしいわ〜。

 最後に見たのは初めて魔力量測定をした5年前だけど、あのときに砕け散っちゃったやつよりも大きい?

 いやでも見たのは一度だけで5年前だし……そもそも、私がこれに触れたらまた砕けちゃうんじゃ?


「ふふっ、コレは5年前にソフィーちゃんが使ったやつよりよりも高性能だから遠慮しなくても大丈夫よ」


「そうなんですか?」


 確かに……そういわれてみれば、あのときアルトお兄様が魔力量測定用の魔石には私が使ったやつよりも大きなやつがあるっていってたし、コレはその高性能なやつの方ってわけか〜。

 まっ! なにはともあれ、マリア先生がそういうのなら遠慮なく!!


「えい……っ!!」


 前回と同じように触れた瞬間に眩く光り輝いたけど、今度は砕け散らずに数字が浮かび上がった!!

 前回がちょっとアレだったから知らなかったけど、これが魔力量測定の普通の光景なんだ〜。


「お嬢様! 凄いです! 流石です!!」


「ふふっ、流石はソフィーね」


 凄いってなにが……


「あれ?」


 おかしいな。

 アルトお兄様の話では、以前私が使った上限100万の魔石よりも高性能な魔石の上限は1000万って聞いてたのに……


「1280?」


 これって、測定ミスかな?


「まったく、僅か10歳にして総魔力量1280万だなんて末恐ろしい才能ね」


「えっ?」


 じゃ、じゃあこの数値は測定ミスじゃないの……?


「彼の数値は確か……500万程だったはずだから、今年の入学生は勿論、過去を含めても圧倒的な歴代一位ね。

 おめでとうソフィーちゃん、入学時魔力量記録更新よ!!」


「記録更新……」


「それと、これでソフィーちゃんが新入生代表になったから、入学式で新入生答辞を頼むわね」


「は、はい……えっ!?」

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