第81話 この私をなめるなよ!!
特異点たる愛子?
愛子っていうのはいいとして……
「特異点……?」
なにそれ?
そんなの初めていわれたんですけど……そもそも、特異点なんて聞いたことすらないし。
「ソフィーっ!!」
「っ!」
っと! 今はゆっくりこんなことを考えてる場合じゃない!!
いずれは最強に至る私といえども……悔しいけど、さすがに今の私じゃあナルダバートと一対一でやり合うのは厳しい。
なんとかこの隔離結界を破壊してルミエ様達と合流しないと!
バチィッ──!
私から漏れ出た魔力がけたたましい音をたてながら紫電して弾ける!
「ほう、これは……」
「ふっふっふ〜! 魔法とは想像である!!」
かつて、魔王との大戦時に古今東西ありとあらゆる全ての魔法を司るとされるルミエ様のお母様である魔法神ティフィア様が仰ったとされる格言!
魔法とは術者の願いを魔力を媒体にして現実にする力。
すなわち! 属性魔法とかで体系化されてるものもあるけど……本来魔法に決まった形は存在せず、その者の想像力次第で大きく変わる!!
五大基本属性の1つである雷の上位属性たる轟雷属性魔法。
まぁ、ぶっちゃけ上位属性の魔法って時点でそれなりに高難易度の魔法になるんだけど……轟雷属性魔法の中で最も難易度が低くて、体系化されている一番ベーシックな魔法、
これに通常よりもいっぱい魔力を込めて!
元々貫通力の高い轟雷属性魔法の貫通力をさらに上げるために先端が尖った形に凝縮したら……はい! 完成っ!!
この間、わずかにコンマ数秒!!
「雷槍」
ふふん! エクストラスキル・叡智に含まれる権能の1つである思考加速に加えて並列思考を有する私が本気になればこの通り!!
並の者なら反応すらできない刹那の魔法!
この加速した世界に……私のスピードについて来れるのは私と同等の思考能力を有する者のみなのだ!!
まぁ、お兄様達も当然の如く普通に対応してくるし、魔王たるナルダバートがついてこれないはずがないんだけど……
なぜか結界を破ろうとする私の邪魔をすることもなく、ただ興味深そうに見ているのみ。
なんで見てるだけで妨害してこないのかは知らないけど、邪魔をしないのなら遠慮はしない!!
「回れ!」
さらに! ここから数段貫通力を上げるために完成した雷槍を回転させて……
パチンっ!
指を鳴らした瞬間、瞬時に雷槍が隔離結界へと飛来し……
バチィィィィッッ──!!!
落雷のようなけたたましい轟音と共に青白い電気が、雷が弾け……
「うそ……」
まさか、あそこまで貫通力を上げた雷槍を持ってしてでも隔離結界に傷一つ付けることができないなんて。
「待ってて、こんな結界なんてすぐに破壊してやるわ!」
人の姿になって本来の力から比べたらかなり弱体化しているとはいえ、ナルダバートの最高幹部〝五死〟に匹敵する魔力量を誇る騎士を瞬殺したことからもわかる通り竜王が一柱たるルミエ様の力は絶大!!
ルミエ様にかかればこんな結界……
「クックック、やめておいた方がいいですよ?
ルミエ様、確かに貴女様や冒険王殿ならばこの結界を破壊することは可能でしょう。
しかし……力づくで破壊しようものなら、彼女にも被害が及びますよ」
「「っ……!」」
「まぁ、それでも構わないというのであれば止めはしませんが」
うぅ、まさかこんな形でルミエ様達の足手まといになるなんて……
「確かに貴女様は強い。
しかし、絶大な力があるからといって何事に対しても余裕を見せてしまうのは貴女様の悪い癖だ。
慢心し、余裕を見せて油断するから大切な者を人質に取られるような事態に陥るのッ──!!」
避けられた!
私から意識を逸らしたナルダバートの意表をついて、最速での本気の一閃だったんだけど……それでも軽く頬に掠っただけ。
さすがは魔王ってところだけど……
「ふん! 誰が人質だ!
魔王ナルダバート、この私をなめるなよ!!」
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