第49話 規格外な魔法神様

「お、お母様って魔法神様がですか?」


「そうよ」


「じゃあ、ルミエ様は魔法神様の娘?」


「ふふっ、そうよ」


 ルミエ様が、あの魔法神様の娘……


「おぉ〜」


 でも確かに、いわれてみればルミエ様が魔法神様の娘であってもなんら不思議じゃない。

 だって竜王の姿ですら力を抑え込んだ弱体化した姿らしいし。


 超大国両国の主君と知り合いだったり。

 当然のように人の姿にもなれるし、可愛い猫ちゃんサイズにもなれたりと色々と規格外すぎるもん。

 でも……魔法神様の娘だったら納得できる!


「ふふ、女の子なんだから可愛らしく口を開けてたらダメよ?

 それよりもほら、到着したみたいよ」


「ん?」


 到着?


「っ! おぉ〜!!」


 考え込んでる間に、いつの間にか目の前に広大な湖がっ!!

 さっきまでは草原が広がってるだけだったのに……まぁ移動といっても徒歩じゃなくて浮遊魔法で空を飛んで来たし。

 入り口からもう結構移動したのかな?


「っと」


 とりあえず湖のほとりに降りてっと。


「すごい……」


 なにこの湖の周囲に満ちてる濃密な魔力濃度!

 冒険者ギルドがS級危険地帯に指定してる魔の森と同じくらい……いや、それ以上に濃いっ!!

 それでいて……


「綺麗」


「お母様ったら、やっぱりこの湖も再現したのね……」


「ルミエ様、この湖のことを知っているんですか?」


「えぇ、知ってるわよ。

 昔ある場所でここみたいな草原を見つけて別荘を建てるってはしゃいで、ついでに別荘の隣に湖も作っちゃったのよ。

 これはその湖のレプリカね」


「おぉう……」


 さすがは主神たる女神、魔法神様!

 別荘を建てるついでにこんなに広大な湖まで作っちゃうなんて、やることのスケールが違う……


「驚くのはまだ早いわよ」


「えっ?」



 バシャァァッン!!



 水面でジャンプした巨大な影が大きな水飛沫を上げて、綺麗な虹を作りながら着水する。


「い、今のは……あの、ルミエ様? 竜種ドラゴンに見えたのですが……」


「ご名答!

 まぁ竜種と言っても下位の水竜だけど、船で釣りを楽しみたいとか言って水竜を始め色々な魚や魔物を放ったらしいわ。

 他にも……」


『ねぇねぇ』


「わっ!?」


 なになにっ!? いきなり耳元で声がっ!!


『ふふふっ』


『あそぼ! あそぼ!』


『おぉ〜!』


『姫様だ!』


『あっ! こっちの子は愛子だよ!』


『なにしてるの?』


「ッ〜!!」


 綺麗な水色の羽が生えた10センチくらいの小さい子達がいっぱいっ!

 な、なにこの子達っ……!


「こら、ソフィーが驚いちゃってるでしょ?

 そんなに突然詰め寄ってはダメよ」


『『『『『『は〜い!』』』』』』


 ちょ、超絶可愛いっ!!


『姫様っ!!』


「っ!!」


 何もなかった空中にいきなり水の球体ができて、弾けた球体の中からまた違う子がっ!!


『申し訳ありません。

 この者達はご主人様に生み出されてまだ間もないもので……少し目を離した隙に……』


「謝る必要はないわ。

 生まれてすぐは何にでも興味津々なのが貴方達の種族だもの」


「あの……ルミエ様、この子達は……?」


「っと、ごめんなさい。

 紹介するわ、この子達は水を司る水の精霊」


「精霊……さん?」


「そう、そしてこの子は水の大精霊アクアよ」


『お初にお目にかかります。

 私は一時的にこのダンジョン内の湖の管理を仰せつかっております、アクアと申します。

 以後お見知り置きください』


「こ、こちらこそよろしくお願いします。

 ソフィア・ルスキューレです」


 ぺこりって! ぺこりって頭を下げた!!

 咄嗟に抱きしめなかった自分を自分で褒めてあげたい!

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