第40話 さすがはルミエ様……

「あ〜んっ!」


 うむうむ、さすがは冒険者ギルド。

 応接室で出されたこのケーキは我がルスキューレ公爵家のシェフが作った物にも劣らない!!


「むふふっ!」


 ギルドマスターであるグレンさんと副ギルドマスターのミレーネさんには私の素顔を見せてるから遠慮なく仮面を取ってケーキを食べられる!!


 まぁ、最初にギルドに着いた時も仮面はしてなかったから、一部の冒険者には素顔を見られてるんだけど……テンションが上がって仮面をつける前に馬車から降りちゃったわけだから仕方ない。


 それに! 咄嗟にルミエ様が機転を効かせていつも私に認識阻害の魔法をかけてくれてたらしく、他の冒険者達には銀髪の美少女ってくらいの印象しか残ってないとのこと!!

 だから、もう過ぎた細かいことは気にしないっ!!


「なかなか美味しいわね。

 っとソフィー、頬にクリームがついてるわよ?」


「あ、ありがとうございます……」


 わ、私としたことがぁっ!!

 これでも一応、ルスキューレ公爵家の御令嬢で淑女教育を僅か6歳で終了させた天才!

 さらには第一王子の婚約者なのに……


「うぅ……」


 は、恥ずかしい!

 ほっぺに付いちゃったてたクリームをハンカチで拭ってくれたのは嬉しいけど……ルミエ様もミレーネさんも微笑ましそうにこっちを見ないでっ!!


「ふふふ、では改めまして、冒険者についてご説明しますね」


「っ! お願いします!!」


 そして、この居た堪れない空気をどうにかしてくださいっ!


「では、まず最初に冒険者のランク制度からご説明しますね」


「はい!」


「ギルドが定めるランクはS、A、B、C、D、E、Fの7つ。

 知っての通り最上位がSランクとなり、基本的には冒険者登録を行うと最下位のFランクからのスタートになります。

 いきなりAランク冒険者として登録されたソフィーさんとルミエ様は特別推薦試験による特例処置という扱いになりますね」


「ふふん!」


 まっ! いずれ最強に至る私としてはこの程度は当然!!


「最上位のSランクに昇格するためには、伯爵位以上の高位貴族による推薦が2カ国から必要になります。

 まぁ、こちらもソフィーさんとルミエ様ならすぐにでもクリアできそうですが……」


 いやいや! さすがにそれは……


「そうね、ソフィーの家族と。

 あとは暇人の皇帝にでも推薦状を書かせたらすぐにでもSランクになれるわね」


「……確かに」


 いわれてみれば、私って実家が公爵家だし。

 超大国である帝国の生ける伝説! 現人神と称される皇帝陛下とも顔見知りで、1ヶ月前に帝国の帝都に到着したあと一緒にご飯を食べた仲だった!


「ま、まさかとは思いますが……その暇人の皇帝って超大国の?」


「そうよ?」


「……」


 まぁ、ミレーネさんが驚くのはわかる。

 私もルミエ様が皇帝陛下と知り合いだったって知った時はビックリしたし。


「で、では! 一月ほど前に帝国の帝都に出現した白竜とは……」


「私のことね」


「ちなみに私もその時一緒にいましたよ」


「……」


「でもソフィーの家族が推薦をすると不正とかおバカな事を考える人もいるだろうし。

 なんならレフィア神聖王国の国王にも推薦を出させましょうか?

 帝国とレフィア神聖王国は人間の国の中では超大国で有名なんでしょう?」


「「……」」


 今さらっとレフィア神聖王国の国王に推薦させるっていってたけど……


「ルミエ様、レフィア神聖王国の国王陛下とも知り合いなんですか?」


「えぇ、赤ちゃんの頃から知ってるわよ」


「ほぇっ!」


 あ、赤ちゃんっ!?

 超大国の国王陛下が赤ちゃんの時から知ってるのっ!?


「ふふっ、どうしたのソフィー? 変な声を出しちゃって」


「だ、だって! レフィア神聖王国の国王陛下を赤ちゃんの時から知ってるって……」


「あら、言ってなかったかしら?

 レフィア神聖王国の王家とは長い付き合いでね、初代国王と王妃が古い知り合いなのよ。

 だから子供が産まれると顔を出しているってわけ」


「へぇ〜」


 ま、まぁ! ルミエ様だし!!

 うんうん! さすがはルミエ様だわっ!!


「……すみません。

 ちょっとギルドマスターを呼んできますので、今の話をもう一度ギルドマスターにもしていただけませんか?」


「ふふっ、今はソフィーの可愛い反応を見れて気分がいいから構わないわよ」


「では、少しだけお待ちください!」

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