第36話 試験終了!!

「ありえない……ワイバーンは、俺の主力使い魔メインサーヴァント

 Bランクでも上位の魔物だぞ! それを一瞬で……」


 むぅ、何をぶつぶつと!

 早くAランク試験を始めてほしいんですけど!


「試験官、Aランク試験を」


「っ……!!」


 ふっ、クールに決まった〜!

 いい! クールにカッコよく、涼しい感じで高難易度の依頼をいとも簡単にこなす謎の仮面冒険者……すごくいいっ!!


「むふふっ!」


 何日もかけて考えた甲斐があった!

 さてさて! ぶっちゃけ、ここまでの試験内容は楽すぎで拍子抜けだったし、次はもうちょっと骨がある相手だといいんだけどな〜。


「良いだろう。

 では、これよりAランク試験を開始する……召喚魔法・悪魔召喚っ!!」


「むっ?」


 悪魔召喚……


「まさか、こんな変な仮面を着けたガキがここまでやるとは思わなかったぞ」


 誰がガキだっ!!


「むぅ」


 私はもう10歳だぞ! ガキじゃないもん!!


「お前がこのAランク試験をクリアした場合、特別推薦試験でAランク冒険者が誕生するのは数百年ぶりの快挙だ」


 えっ!? ちょっと待って、今なんていった?

 特別推薦試験でAランクになるのが数百年ぶりの快挙?

 う、ウソでしょ! こんなに簡単な試験なのにっ!?


「頑張れよ? お前の健闘を祈る」


 構築された魔法陣が光り輝き……召喚された悪魔が出現する。

 2本の捻れた角がある山羊みたいな頭に、蝙蝠みたいな翼のある比較的人間っぽい身体。


「これが、悪魔デーモン……」


 何気に初めて見たわ。

 マリア先生の授業で習った話によれば、悪魔族デーモンとは私達が住む世界とは別の異空間である魔界に住んでる精神生命体で基本的に不死の存在。

 高位の悪魔は人間と変わらない見た目をしてるらしいけど……


「どうやら悪魔は初めて見るようだな。

 コイツは下位悪魔レッサーデーモンだ」


 やっぱり、下位の悪魔だったか。

 まぁ身体は比較的人間っぽいっていっても外見は人間とはかけ離れた、前世の記憶にあるいかにも悪魔って感じだもんね。


 けど、悪魔召喚か。

 さっきまでの既に契約して使役してる存在を召喚する魔物召喚とは違って……これは、魔界との回路を繋いで悪魔を召喚してるって感じかな?



『ぴろん!

 召喚魔法・悪魔召喚を獲得しました!』



 おぉ〜、悪魔召喚を獲得しちゃった!


「下位とはいえ、その危険度はAランク!

 多数の魔法を使う上に精神生命体である悪魔に物理攻撃は意味がない。

 並の冒険者なら手も足も出ない強敵だ」


「知ってる」


 だって悪魔についてはマリア先生の授業でかなり詳しく習ったし、その程度の情報はリサーチ済みなのだよ!


「では、Aランク試験……開始!」


 瞬間、下位悪魔レッサーデーモンが私に向かって手を翳し……


「モエツキヨ」


 直径1メートルはある巨大な火球が出現する。


「っ!」


 さすがは大賢者たるマリア先生をしてこの世界で最も魔法の扱いに長けた種族といわしめた悪魔族! けど……


「ッ!?」


 私に火球を放った悪魔が驚愕に息を呑む。

 直後、飛来してきていた火球が真っ二つに割れて消滅し……


「マサカ、ニンゲンゴトキニ、ワレガ……」


 掻き消えた火球の奥。

 身体を両断された悪魔が上半身だけで宙に浮かびながら愕然と呟く。


「ふふん!」


 精神生命体で悪魔に物理攻撃が効かないのならば! 魔法で倒せばいいだけなのだよ!!

 まぁ、今のは魔法じゃなくて刀を振り抜くのと同時に魔力の刃を飛ばして斬っただけだけど。


「キサマハ……ッ! コレハ、マサカ……」


 私に両断されたことで仮初の肉体が崩壊し始めていた悪魔が何やら驚愕して……消滅した。

 なんかめっちゃ気になるんだけど!! まさか何っ!?


「ははは、まさかこうも簡単に下位悪魔レッサーデーモンをも仕留めちまうとはな。

 合格だ、ったくこんな嬢ちゃんがこんなに強いなんて想定外だぜ」


「っ!? な、なんで嬢ちゃんって……」


「……なるほど、ギルマスも心配になるわけだ。

 そりゃあ、いくら仮面で顔を隠してても嬢ちゃんの身体つきとか、声とかでわかるだろ」


「っ!!」


 しょ、衝撃だわ!

 まさか、こんなにも簡単に私の性別を看破されるなんて……!!


「……ギルマス! とまぁ、こういうわけだ。

 嬢ちゃんの天然具合に心配になるのはわかるが、その実力は確かだ」


「そうみたいだな。

 流石はあの2人の……ってところか」


「ふふん!」


 いかにも! 自分でいうのもなんだけど、私は結構強いのだ!!

 さぁ! もっと私のすごさに驚愕するがいいっ!!


「おめでとう、これでソフィーちゃんはAランク冒険者だ」


「ありがとう!」


 むふふ! とりあえずこれでAランクにはなれた!!

 次はエレンお兄様と同じSランクを目指さないとだけど……それは一先ず今は置いておいて、結局最後まで魔の森で倒した魔物達以上の強さの魔物は出てこなかったな。


「ふふふ、ソフィーならこの程度は当然だわ」


 微笑みながら訓練場を歩くのは、どこか神聖さすら感じさせる美しい純白の髪に、金色の瞳をした一人の


「ルミエ様!」


「おめでとう、ソフィー。

 次は私の番ね」


 スラッとしていながらも、出るところはしっかりと出てる美女。

 人間の姿になったルミエ様が私の頭を撫でながら、誰もが見惚れるような笑みを浮かべた!

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