ーー003 うさぎ言う


そのうさぎはすこし大きめ・・幼稚園児くらいのうさぎだった。

「おまえ、喋るうさぎかよ、、」

「はい、、お腹減ってるなら、木の実草の実のところ教えます。魚のところも教えますから、うさぎを食べないでください」

「・・・ここの世界のうさぎって、みな喋るの?」

「・・ああ、言葉を話すということですね、はい、うさぎは言葉を話します。」

「・・・・鳥、も?」

「鳥は言葉を話しません。鳴くだけです」

よかったー、、、

「んじゃ、食ってもいいんだよな?」

「まぁ、、にんげんは獲ってたべてますね、、、」


んじゃ案内よろしく、と、木の実や草の実のところに案内してもらった。

マンゴーチックなのとか、ドリアンぽいのが木の実、

パパイヤと木苺みたいのが草の実、だという。

まぁ、同じだな、外(ログアウト)の世界と。


結構食う。が、やっぱり果物、、

「魚はどこ?」

「こっちです、、」


小さな池、

釣り竿とか網とか無いし、、

あ、身体強化、、、

で、

がっちん漁。

大きめの岩にでっかい岩をぶっつけ、付近の魚をショックで気絶させ、浮いたところをかっぱぐ。

鮒っぽいんじゃなく、ナマズ系でもない、、形的にはイワナとか?見た目うまそう、、


それが5匹!大量である!!

んーーーー、、指で腹を裂き、ワタを出す。

で、木の下で火を熾し、4匹は蔦で木の枝から焚き火の上に吊るし、あぶる。

一匹は硬い枝を折って、魚にぶっさし、焚き火の淵に立てて焼く。


うさぎはそれを興味深そうに見ていた。

「おもしろいのか?」

「はぁ、、あまり見たこと無いので。人間はそうやって食べるのですか、、、」

「寄生虫とかいるからな、」

・・・


「うさぎって魚食うの?」

「いえ、木の実とか根とか、ですね」

向こうと一緒か、、


「ここから一番近い、人間の居る場所って、どこ?」

「知りません。」

「・・・・言葉、話せるのに?」

「はい、知りません」

・・・・

「で、ホントはどこにあるんだよ、言え。」

「・・・・北に、、人間だと一日くらい行ったとだと思います。やめといたほうがいいですよ?」

「・・・なぜ?」

「凶暴だから」

・・・・・


「どう、凶暴なの?」

「なんか、いつも争ってます。声でかいです。」

「・・なんか、嫌だな?」

「はい、やですね!」


「・・他に、凶暴じゃない人間の居る場所って、ある?」

「知りませんが、聞いたことは在ります。南の山を超えると楽園だって。」

ほんとかよ、、いきなり死んで天国、とかじゃねーだろーな?


「まじぃ?どう楽園だって言ってた?」

「・・・ぱらだいすとかどーとか、、」

海かな?水着が多くてぱらだいす?

食い物も良さそうだよな、、


でも海の男も荒っぽいイメージあるけどな?


「わかった、南に行ってみるわ、、」

といいながら、水を出して手を洗い、手に水を汲み飲む。


「・・・・魔法、使えるんですね!」

「ああ、少しな、、うさぎは魔法使えるのか?」

「うさぎは魔法を使えません!」

「残念だな」

「はい、とっても残念です」


吊るしておいた魚の表面が少し固くなったので、あとは歩きながら干せばいいか、と、弦にツケたまま腰に吊るし、

「世話になったな、俺はもう行くわ。達者でな!人間につかまるなよ」

「もういくのですか?」

「ああ、ここじゃ、飯とかあまりないだろう?生活できなさそうだ」

「小屋、ありますよ?昔人がいたので。」

・・・・・

「おいおい、、先におしえてくれよー」



で、うさぎの案内で、、、


うっわー、、でもまぁ、、掃除すりゃ使えそうだな、、、


「・・・・・・でさあ、、ここの住人、、どしたの?死んだの?」

「どうでしょう?たまに餌を貰いに来ていたのですが、ある日いなくなっていました」

よかった、ここで死んだんじゃねーんだ、、


いやいやいやいや、、ここはゲームの世界だったよな?

あ、それだとでも死人がいたらゾンビになるとか、お約束だし、、、


何にしてもよかったわ、、


「ここらへん、魔獣っているの?」

「・・どうでしょう?ゴブがたまに居ます。私達はすぐ隠れちゃうんでよくわかりません」

「ゴブにも食われるの?」

「はい、くわれちゃいます。ゴブは話は通じません。」

ゴブはうさぎ以下、、と。


ステータス見れねーけど、ゴブでレベル上げだな。

山ごもりの修行編てとこか。いんじゃね?ゲームの定番だろう、レベル上げ。


ーー


半年ほど経った。

うさぎは毎日来る。

うさぎがいろいろ種とか持ってきてくれて、裏に畑を作った。

力があるから棒きれを鍬代わりにして行けるのだ。

魔法で水を撒き、

森の腐葉土の土地なので具合は良さそうだ。

木の伐採は少し大変だった。道具が無いからね。

でも草は魔法でぜんぶ焼いた。焼き畑とか?


塩も手に入れた。うさぎが、にくだけでおいしいですか?おしお、ありますよ?

と、岩塩の在りかを教えてくれた。近場だった。


レベル上げは、森の奥に入れば勝手にゴブが出てくる設定なのか、よく出会う。

最近は団体さんで来てくれて一気に行けるので楽。

10匹いてもすぐ狩れるので、俺はかなり強くなった気がする。




今日もうさぎが来ている。

今日は山芋を持ってきてくれた。

よく、なんか持ってきてくれるのだ。

お返しできなくて悪いな、と言ったら、いいんです、面白いから。ゴブ狩ってくれるし、、。と言ってくれた。


「ゴブ以外、いるの?」

「オークが、もっと奥に居ます」

「おー、、んじゃ森にイノシシとかもいるのか?」

「いのししですか、、知りません。見たことナイです」

なるほど、設定されていないんだな?


「オーク肉って食えるのかな?」

「人間はよく狩っていました」

食えるんだな、、


「よし、明日はオークを狩って食ってみたいな!」

でかいから剣でさばけばいいだろう。

剣は刃がろくでもないんで、つか、刃物というより鈍器っぽいんで、魚とかは潰しちゃいそうだった。


ナイフほしーなー、、

「うさぎ、、ナイフって、どっかにないかな?」

「ありますよ?うちに」

「・・・使ってるの?」

「いえ、うさぎはナイフを持てません」

だよね、、


「んじゃ、もしよかったらだけど、くれない?」

「いいですよ!さびさびですけども」

どっかの石で研げばいいし。


少し経ったらいつの間にかうさぎがナイフを持ってきてくれてた。

「おう、ありがとう!助かったわ!」

さびさびだけど、、、いけそう、、

池の辺りでよさそうな石を探し出し、研いでみる。

さびっても、金属の上にのってるだけだった。ステンみたいな金属だな?


「うん!これなら、りんごの皮だろうが剥けるな!」

「りんご?」

「ああ、俺の居た世界のうさぎが大好物の果物だ」

「食べてみたいです」

「こっちにはないのかな?寒い地方で木になるんだがな」

「きいたことないです」

そっかー、、、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る