第2話 旧友との再会②
「はいどーもー。サワワです。ヤッスーです。さわとやすチャンネルへようこそ!」
やたらハイテンションな2人がいきなり登場する。
『サワワとヤッスーって安直過ぎるだろ』
そう思いながらもこの後の2人がどういった動画を作りあげてるのか期待してしまう。
「それでは今日の主役はウチのアイドル、子猫のノエルちゃんです」
佐和子がそう言うと可愛い子猫が映し出される。
子猫はクリクリした愛らしい目でこちらを見つめながら画面越しにこちらを触ろうとしているようだった。
すると泰文が小さな竿の先に羽根が付いた猫用の猫じゃらしで子猫の気を引く。
「ほら~ノエルちゃ~ん。ほれほれ」
泰文が猫じゃらしを左右に振りながら子猫を呼ぶが子猫は気にもとめず画面の奥に消えて行ってしまう。
「あれ~おかしいなぁ。今日はご機嫌斜めだったのかな?」
佐和子がそう言って落胆の色を見せる。
「このおもちゃが悪いのか?」
そう言って泰文が佐和子に向かって猫じゃらしを左右に振る。
「本当はねぇ、こうやって『ニャー』ってやってほしかったんだけどねー」
そう言いながら佐和子がニャー、ニャー言いながら猫じゃらしを追いかけている。
「ほらほらーこっちこっちー」
猫じゃらしを振る泰文。
「ニャー、ニャー」
それを追う佐和子。
そんな悪夢のような映像を5分程見せられた後、画面が暗転し『終わり』の文字が映し出される。
「ノエルはどうしたー!!」
俺は思わず叫んでしまった。
「お、落ち着いて健太。今回たまたま見た動画が悪かったのかも」
美優になだめられ、少し落ち着きを取り戻した俺は次の動画を探してみる。
「あ、これって駅前のラーメン屋さんじゃないの?」
「お、本当だ。このラーメン屋美味しいから期待出来るかな?じゃあ次はこの動画にしよう」
「はいどーもー。サワワです。ヤッスーです。さわとやすチャンネルへようこそ」
『やっぱりそれで始まるんだな』
旧友が動画でハイテンションで挨拶してるのを見るとこっちが少し恥ずかしくなってしまう。
「今日はこの行列が出来るラーメン屋に来ています。このラーメン屋、醤油豚骨が美味しいらしいんでちょっと行ってみたいと思います」
そう言って泰文がラーメン屋に入って行く。
「じゃあサワワは何食べる?」
「えっとさっき友達とランチ行ってたから私はいいや」
平然と言ってのける佐和子に
「ああ、そうなんだ」
と普通に返す泰文。
「じゃあ俺だけいただこうかな。えっと・・・味噌ラーメン下さい」
「ちょっと待て!もう我慢が出来ない!」
俺は思わず動画を止める。
「おかしいだろ!佐和子はなんでグルメロケ行く前に友達とランチ食べてるんだよ?冒頭で『ここは醤油豚骨が美味しいらしい』と言いながらなんで味噌ラーメン頼んでんだよ!?」
もう突っ込まずにはいられなかった。
「と、とりあえず最後まで見てみようよ。何かあるかもしれないしさ」
もう既に美優も少しでも良い所を探そうといった感じだ。
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