お香が嫌いな女 VS お香の匂いをつけてる女が嫌いな男
あるところに、両親によって結婚の約束をとりつけられた男女がおりました。
女は、噎せるほどお香を焚きしめることで有名で、そのせいで誰も寄り付きませんでした。また、顔を見たものがいないため、醜い顔をしているのではないかとも噂されておりました。
一方で男は、そもそもお香の匂いが苦手なため、お香の匂いがきつい女など論外でした。できれば結婚したくないと思っていましたが、両親が乗り気なため断ることができませんでした。
さて、そんな二人が初めて顔を合わせる日がやってまいりました。
両親も交えての挨拶を終え、二人きりになったところで男は言います。
「俺はお香の匂いをつけてる女は嫌いだ」
女は特に驚いた様子もなく、にこっと笑って言います。
「あら、私もお香の匂いが苦手ですから、私たち似ているかもしれませんね」
「な、何を言っているんだ。貴方は噎せ返るほどのお香を焚いているではないか!?そういった噂まであるほどだ!」
「そういう噂があることは知っておりますが、結局は噂でしかありません」
「なんだと!?」
男は女の言うことがよく分からないといった様子であった。
「では、噂通りの私であれば、今貴方様は噎せ返ってここにはいらっしゃらないのではないですか?」
「それはそうだが…」
「そもそも、あの噂は私が意図的に流したものです」
「へ?」
さらに男は混乱した様子で、最初の勢いをなくしてしまった。
「何故そんなことをする?」
女はにやっと笑って言います。
「そのうち分かりますよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます