亜空間にて

「ここは何処じゃ? なんなのじゃ?」


 九尾は戸惑っていた。

 長い時を生きている彼女でも、経験のない空間。

 広いのか狭いのか上か下かわからない。何もない、音もない、光すら刺さない。

 時間の流れすら曖昧に感じる。

 数秒しかいないのか?

 もう何年もいるのか?

 わからなくなってきた。


 言いようの無い不安に駆られる。


 ふと光が見えた、そこに駆け寄る。

 が、進まない。進めない。


 いよいよ不安と緊張が頂点に達しそうになった時、先程の男の声が聞こえてきた。



「反省したか?」


 反省? 

 何故、妾が? 

 何を反省すると言うのか?


「もう悪い事はしないか?」


 妾の目的の事を言っておるのか?

 何年掛けて計画してきたと思うとるのじゃ?


「してないようだな。まだしばらくそこにいろ」


 えっ? いや、嘘じゃ。反省したした。

 したから出してたもれ。


「本当か? まぁ一旦出してやるよ」


 一条の光が差し、光量が増えていく。

 光に包まれると、そこは自分のダンジョンだった。


「出て来れたようじゃな。ネロとやら、すまなんだ。お主、只の人間ではないのじゃな?あのような魔法など見たこともない」

「まぁ、普通の使い方と違うんだけどな。それより本当に反省したのか?」


(ククク、チョロいのう。恐ろしい魔法が使えてもオツムの方は少々足りてないようじゃ。)

「先程も言ったが、お主に付き従わせて欲しいのじゃ。お主、契約は使えるかの?」



ーーネロ視点ーー



「使えるけど、水属性じゃないとダメだと思うぞ?」


「やってみてくれんかの?」

「どれ、『契約』!」



「‥‥‥‥‥‥」

出来てしまった。水神になったからだろうか? 契約に関しては使えるのか?


「ネロ様、これからはよろしくの」

(ククク、コレでしばらく居れば魔力も貯まるじゃろうて。それまでは大人しくしておこうかの?)


「ネロ、また増やしたのか?」

「ネロは節操無しニャー」

「‥‥‥‥‥‥」


 あれ、そういう事になっちゃった?

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