九尾の狐


「待て! 待つのじゃ! なんでそうなる?」

「俺の魔力を吸って悪い事するんだろ? そういうのはダメだ。だからあげない」


「ダンジョンとゴーレムの件は不問にする故‥‥‥」

「いや、俺冒険者だぞ。モンスター倒すのが仕事だし」



「ならば致し方無し。多少勿体ないが、素っ首刎ねてやろうぞ、そこに直れ」

「やだよ、なんで大人しく死ぬ感じで言ってんだよ。つーか、やんのか? 本気だな?」



 本気で魔力を展開した。九尾とついでにローズ、サラまで吹っ飛ぶ。


「‥‥‥(尻尾二本分じゃ此奴には勝てん)冗談じゃ、お主の魔力は底無しじゃの。今の妾では勝てぬわ、お主に従おうではないか」

「いや、良いよ。ここで大人しくしてろ」



(側に居れば、いずれは九本分の魔力が溜まるじゃろう。それまでの我慢じゃ)

「左様に冷たく言わんでも良かろうに。妾の負けじゃ、付き従わせて欲しいのじゃ、好きにして良いのだぞ」

「いえ、間に合ってますので」



(なんと冷たい奴じゃ)

「そこな娘らも何とか言ってたもれ」

「いや、ないニャ」

「これ以上増えても困るよな」



(なんとこのおのこ、どれほどの娘を囲っておるのじゃ)

「後生じゃ、助けておくれ」

「なんかさっきと言ってる事が違ってきてないか?」


「ネロの側にいたいのニャ?」

「おそらく、旦那の側だと魔力が溜まりやすいんだろうぜ」



(ギクッ!なんと勘の鋭い娘達じゃ!)

「其方、ネロと申すか。こんな事を言っては何じゃが、お主の魔力に惚れ込んでしもうたのじゃ」


スーッ


(ん? なんじゃ? 寒気が‥‥‥?)

「ネロ、この女、殺すかニャ?」

「生かしておいても碌でもない事しかしないぜ」


「思いついた! こんなのはどうだ?」

「何ニャ、ネロ?」


「ミストドア!」

 出口を設定してない亜空間に九尾を突っ込んだ。


「放っておいてもいずれ魔力が溜まったら悪い事するだろう。とりあえず閉じ込めておこう!」


「旦那‥‥‥」

「えげつないニャ‥‥‥」

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