猫騒動
王都の我が家に帰ってきた。
昨日は辺境伯邸で一泊した、それまでの旅の途中で毎晩ミストドアで戻っていたので昨日はなんで帰って来なかったのかと追及された。
何か怪しいことをしていたのでは? と。
いえいえ、何もしてはいませんよ、一晩中キスしてただけですよ。
さて、あとはナタリーの家族だと考えていたら
「私は孤児院出身なので大丈夫ですよ、手紙を書いておきましたので何かの機会があれば行けばいいです」
と、なった。
少し離れたところの孤児院らしくわざわざ行かなくても嬉しい知らせに喜んでいる旨の返事も届いたそうなのでもっと結婚が近くなったら挨拶に行こうかな。
まぁ、ナタリーとは別にいつでも結婚出来ると言えば出来るのだが、二人を差し置いてそんな事は出来ないと言っていた。そりゃそうだわな。
で、結婚するための条件で冒険者ランクをSにしないといけない。今のランクはBだ、これからは本格的に冒険者活動をしていこう。
と言う訳でギルドへ。
「お、ネロ。久しぶりだな、しばらく見なかったが何をしていた?」
「ローズ、久しぶり。元気そうだな、俺はSランクを目指すことになったよ」
「ほぅ、上を目指すのは良いことだ。でもどうしたんだ?」
「結婚する事になったからな」
「ニャ?‥‥‥結婚するニャ?」
動揺してる。震えてる。そこにサラもやって来た。
「あ、旦那。久しぶり、ローズも。どうしたんだ?」
「ネロが結婚しちゃうニャ‥‥‥」
「何? あちし達はどうなるんだ?」
ローズとサラが迫って来た、涙目で。
「愛人で良いから置いて欲しいニャ‼︎」
「頼むよ、旦那! 好きにして良いから!」
「なんだ⁉︎ 急に、どうした?」
「離れないで欲しいニャ!」
「ずっと仲間でいてくれよ!」
「なんだかわかんないけど仲間だぞ」
二人とも目が輝く。
「良いニャ?」
「旦那、良いのか?」
「? なんかマズイのか?」
よくわからないので詳しく聞いてみた。なんでも結婚をキッカケにパーティーを解散することが多く、特に獣人なんかはそれまでの貢献度に関係なく捨てられるように追い出される事もあるらしい。
聞けば酷い話だ。そんな事するはずないだろう。
「そんな事しないよ、二人とも仲間なんだから」
二人の目が再び輝いて身体を擦り寄せて来た。
「もうネロは離さないニャ」
「あちしもずっと一緒だぜ」
まるで逆プロポーズだな、このセリフは。
後から聞いたがこの行動は匂い付けと言って特定の雌がいる事をアピールするためのものらしい。
俺はローズもサラも嫌いじゃないからそのままにしてた。受付カウンターからナタリーがドヤ顔してた、「言った通りですよね」って言ってないけど言ってる顔だ。
一応相談しよう。
「こんな状況なんだけど良いのかな?」
「予定通りなので大丈夫ですよ、あの二人もわかってますから、家に呼んであげてはどうですか?」
二人の目が更に輝く、満面の笑顔だ。
「いいニャ?」「良いのか?」
「良いみたいだぞ、歓迎するよ」
「「ニャー‼︎」」
二人とも大喜びだ、良かった。
「シャルとマリアと顔合わせしないとな」
「ニャ!?」
今度は二人の顔が青褪める。
「シャルって『剣姫シャルロット』ニャ?」
「マリアって『山嵐』かい?」
「そうだよ」
二人の肩がこれ以上ないくらい落ちていた。
どうした?
「ダメニャ、結局捨てられるニャ‥‥‥」
「ぬか喜びさせやがって‥‥‥」
「なんだよ、どうしたんだよ?」
今度はガタガタ震えている。
「王族と貴族じゃ身分が違いすぎるニャ!」
「あちし達、きっと殺されるぜ‥‥‥」
「いや、んな訳無いだろ!」
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