入学試験へ


 12歳の春になった。入試が控えている。科目は読み書き、算術、魔法理論、鑑定検査、実技といったところだ。中でも実技の点数が特に高い。


 この学校は王都にしか無い為、地方出身者は寮や一人暮らしで通学する事になる。単位を取得すれば割と自由だ、前世の大学みたいな感じか。

 王都までは、一日半くらいかかるので前もって滞在するために、少し早くても馬車で王都に向かう。


 今回の付き添いはピーター兄だ。ちなみにこの馬車少々改造してある。クッションに魔法を施し前世のウォーターベッドみたいにしてあるのだ。コレを見たゲオルグは前回の時に欲しかったと零していた。 


 水属性のLVが5になり出来る事が増えた。まず『抽出』だ。コレは対象の水分を取り出す事が出来る。湿ったタオルを乾燥させるのも魚の干物もすぐ出来る。 

 生活魔法として便利だと思っていたが実はコレが攻撃にも使える。スライムの水分を奪うのだ。スライムの大きさの半分くらいの水分を抽出するとスライムの組成が変化して消滅し始める。最初あんなに大変だったスライム討伐が楽勝になった。


 そしてそれ以上にヤバいのが『水分解』だ。前世の中学でやった水の電気分解よろしく水素と酸素に分解するのだが、何がヤバいかってそのまま水素を燃料として使えるのだ、魔力はかなり使うが水素爆発を起こしてできた水を再度と、繰り返し使えるのだ。

 爆発系魔法を連発する感覚だろうか?


 道中モンスターに遭遇しそうになるが例の半自動迎撃システムで駆逐する。ピーター兄は苦笑いだ。


 王都に近づくと別の馬車が襲われているようだった。ミストサーチの範囲も立体的でなく平面に近い形に拡げる事で、半径100メートルくらい把握出来る様になった。またさらに任意に形が変更できる為、範囲を狭めれば一方向400メートル先が把握出来る。


「ピーター兄さん、馬車がモンスターに襲われています。僕が先行します!」


 毎日の訓練により無属性の魔力も上がっている、身体強化を使いスピードアップしてダッシュ。裸の馬よりも速いだろうか。


 襲われていたのは立派な馬車だった、上級貴族だと思われる。護衛の人達が苦戦している、相手はオーク5頭だ。オーク達は俺に気付いていない、射程範囲に入る。


 バババババッ‼︎


 ウォーターバレットを五連発、全てオークの頭部に命中しオーク達が消滅する。三個オーク肉をドロップした、運が良い。


「こんにちは~、大丈夫でしたか?」

声を掛けると立派な槍を持った女性が振り向く。


「助太刀ありがとうござ‥‥‥ってネロ⁉︎」

「マリア⁉︎」

 知り合いだった。

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