謁見
宮殿に着いた。豪華絢爛という言葉を形にしたら、こんな感じなんだろうか。王の威容に飲まれまくりの我々は、よくわからないまま謁見の間の手前の廊下まで着いた。
ゲオルグと俺は謁見の作法をピカピカ鎧さんに教わる。片膝で跪いて頭を下げる。
「ありがたき幸せ」「勿体ないお言葉」とか言ってれば大丈夫ってホントかよ!!
と思ったが今回の件は吉報であり、地方の下級貴族でしかも子供連れなのでそこまで言われることはないとの事。
まぁそういうものなのかな? まぁ何かあったら伯爵様のせいにしよう。
「ゲオルグ・ヴァッサー男爵及びその子息 ネロ・ヴァッサー!」
呼ばれた。ピカピカ鎧先生に教わった通りに跪く、頭を下げる、でそのまま待機する。
誰か入ってくる音がする。
「エドガー王 ご入室!!」
シーンと静まり返る。音を立てているのは王様だけだろう。
「面を上げよ」
おお、これが王様の声か。水神様程では無いけど心に響く声だ。顔を上げる。
かっけー。王様超かっけー。イケメンでもあるけどロマンスグレーって言うのか、五十歳は過ぎているだろうけど三十代って言ってもいいくらい溌剌としてる。何より目力が凄い。これが人の頂点に立つ人物かぁ。
「其の方がヴァッサー男爵と息子のネロじゃな? 此度は忙しい中呼び出してすまぬな。ネロとやら、お主が神級の祝福を受けたと聞いて誠に驚いた。どれ近う」
呼ばれちゃった。行った方がいいんだよな?
ゲオルグを見る、目で「早く行け」と言われた。
「ハハハ、怖がらなくても良い。おお、小さいの。うちのシャルと同じくらいじゃな」
あーそういえば殿下のお父さんなんだっけ。そう思うと幾分気持ちも空気も緩くなる。
「はい、先程ご挨拶させていただきました。」
「おお、そうか。同い年じゃ、仲良うしてやってくれ」
そして王様はゲオルグの方に向き直り、
「ヴァッサー卿、良い子に恵まれたの。よろしく頼むぞ」
教育をって事だろう。
「勿体ないお言葉にございます」
「よし、今夜は城に泊まるが良い。パーティー会場もここじゃしの。後程パーティーで会おうぞ」
と言って立ち上がる。
「エドガー王 ご退出!」
皆が一斉に跪く、頭を下げる。王様が出て行った。見えなかったけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます