★書籍&コミカライズ発売★嫌われ者の【白豚令嬢】の巻き戻り、二度目の人生は失敗しませんわ

大福金@書籍発売中

やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第102話 辺境の村


※こちらの作品はアルファポリス様にて書籍化されました。アルファポリス様の規約により、1巻、2巻の書籍化該当部分である101話話まで、非公開とさせて頂きます。申し訳ありません。1話~101話話の内容はまではアルファポリス様にて読めます。



★★★★★



ーーふむ……着いたの。


 精霊王様がそう言うと、空を飛んでいた馬車がゆっくりと降下していく。


「空の旅も終わりかぁ」

「ふふっ楽しかったですね」


 私はシャルロッテと少し残念そうに笑い合う。対照にアイザック様とジーニアス様は、やっと着いたのかと安堵の表情に変わる。

どうしたんだろう? 空の旅はそんなに恐かったかなぁ?


「はぁ生きた心地がしなかったよ! 馬車がいつ落ちないかと気が気じゃなかった」


ーーなっ? 我の魔法を信用しておらんのか? 落ちるわけがなかろう。


 精霊王様がアイザック様の上に乗りドスドスと暴れる。


「わっイテテっすみません」


「ブッッ何やってるんですか」


「あっ下に着きました」


 私達は馬車の中ではニコニコ笑っていたが、それも馬車から降りると一変した。

 辺境の村は想像していたよりも遥かに酷く荒れていた。


「これは一体!」


 村の至る所で呻き声が聞こえる。声の先を確かめると血を流し倒れている人達。


「なんて酷い……魔獣討伐よりも先に怪我人の救助をしないと」


 アイザック様とジーニアス様がそう言うと走っていく。


 私も何か手助けしないと!


 ふと先を見ると、血だらけの子供を抱えた女性が泣き叫んでいた。


「お願いよ!目を覚まして」


 私は思わずその人の所に走っていく。


「ソフィア様?」


 シャルロッテも急いで後をついてきた。

 私は泣き叫ぶ人に声をかける


「大丈夫ですか?」


「私の可愛い坊やがぁ…神様…」


 女性の腕の中にいる血だらけの子供は、辛うじて生きてはいるがいつ死んでもおかしくない状態だった。

 こんな小さな子供が……助けてあげたい。


 せっかく辺境の村の人達を助けに来たのに、私は何も出来ないの?

 そんなの嫌だ。助けてあげたい。せめて痛みだけでも和らげてあげたい。

 私に魔力があるのなら力を貸して!お願いします。

 私は子供の手を握り必死に祈った。


ーー治れーー治れーーお願い治ってーー


 すると眩い光が子供を包み、光が落ち着くと死にそうだった子供の怪我が治り全回復していた。


「ウソ……治った」


「ぼっ坊やが!あああああっ!神様!女神様ありがとうございます」


 子供の親は涙を流し私に跪いた。


「ソフィア様!なっ何をされたんですか?」


 シャルロッテも瞳を潤ませ興奮気味に私を見つめる。


「いやぁ?お祈り的な?」


 何って言われても、治ります様にって、前世で言うところの「痛いの痛いの飛んで行け」っとおまじないのように治れと必死にお願いしただけなんだけど。

 それだけで治っちゃったの?そんなバカな!?これも魔力チート?


 私が意味が分からないって顔をしていると、精霊王様が何を今さら?っとでも言うかのように不思議そうな顔をして、また爆弾を投下した。



ーーそりゃ全回復などソフィアには朝飯前じゃ!じゃって聖魔法のレベル最高値のレベル10じゃろ?それくらい簡単に出来るさ。


 「ええー!?」


 聖魔法って回復なの?知らなかった。私知らない内に魔法を使ってた?戸惑い驚いていると……子供を治した事に気づいた他の人たちが少しづつ集まってきた。


「女神様!お願いします。助けてください!」


 何だか分からないけど、傷が治せるなら私に任せてよ!バッチコイだ。


 この時、そばに居たシャルロッテだけでなく、全ての人達が私の事を女神様と恍惚とした表情で見ていることに、治す事に必死で全く気が付かなかった。


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