番外編 子供達の日々
第1話 暮内美羽の場合 前編
私の名前は暮内美羽、14歳です。
パパは暮内総司、ママは・・・いっぱいいます。
一応、産みの親は翔子ママですが、我が家では決まり事として、ママはみんなママです。
「今月の雑誌見た!?」
「うん!見た見た!やっぱりカッコ良いよね〜!」
「同い年で、同じ県に住んでいるんだよね!?どこかでばったり会えないかなぁ!?」
「「ね〜!!」」
私は今、中学二年生。
女の子は早熟と言いますが、今日もクラスメイトの女の子達が、雑誌の男の子のモデルの話で盛り上がっています。
同じ学校の一つ上の学年には、
もう一つ上には高校生の
お姉ちゃん達は綺麗で可愛いし、お兄ちゃんも優しくて格好いい自慢のお姉ちゃん達です。
下にもあと4人いて、みんな可愛いです。
でも、私には一つ不満があります。
それは、パパが私と同じ年齢じゃない事です。
勿論、パパが私と同じ年齢であれば、私が生まれてこなかったなんて言うのは理解しています。
ですが、それとこれとは別です。
私には残念でなりません。
大好きなパパと一緒に学校生活が送れないというのが。
そういう意味では、ママたちはズルいと思います。
我が家ではパパは大人気です。
パパは凄く格好いいです!
だからおばあちゃん・・・と言えないくらい綺麗で若々しい琴音おばあちゃんや翼おばあちゃんもパパが大好きですし、ママ達もいつもパパと仲良しです。
朱華おねえちゃんと莉弦おねえちゃんは、少し前までパパを嫌っていたみたいでしたが、去年遭った事で大好きになったみたいで、今では、いつも私やママ達、おばあちゃん達とパパを取り合っています。
そんな私ですが、最近とても面倒な事が起こっています。
それは、
「ねぇ暮内さん?こんどみんなで遊びに行かないかな?」
「男の子達も来るよ?だからさ〜」
「ごめんなさい。私は興味ありませんので。」
「そんな事言わないでさ〜?」
「そうそう!楽しいよきっと!!」
今はお昼休み。
私は、給食を食べ終え、自分の席でのんびりと図書館で借りた本を読んでいたのですが・・・面倒です。
面倒事とはそう、最近、学校の女の子達がしきりに私を集まりに誘おうとしてくるのです。
そして、その後ろに、とある男子生徒の陰がある事も分かっています。
その人はクラスメイトの一人で、人気のある男の子らしく、見た目は整っている、と思います。
運動もできるらしく、勉強もそこそこ良い順位をとっているようで、学年ではとても人気があるらしいのです。
まぁ、私には関係ありませんが。
今もそんな様子をチラチラと伺っているのがまるわかりです。
本人はおそらく気づかれていないと思ってるのでしょうが。
こう見えて、私はそれなりに頭が回ります。
まぁ、莉弦お姉ちゃんほどじゃないかもしれませんが。
自分の容姿が優れているのも理解しています。
でも、大事な事が周りは分かっていません。
私は、
「ごめんなさい。私は男子と仲良くなる気がありませんから。」
そう、私は、家族以外の男の人と積極的に仲良くなろうと思っていません。
一応、例外はいるにはいるのですが、その人は別の学校に通っているため、頻繁に会えるわけでもありません・・・あ、勿論恋愛的に見ているわけではありませんよ?
あくまでも、例外として比較的仲が良い、というだけです。
おそらくは向こうもそう思っていると思います。
彼の両親とうちのパパやママはとても仲が良く、家族ぐるみの付き合いをしており、定期的に会っています。
彼のママは翔子ママの親友との事で、翔子ママに似ている私をとても可愛がってくれていますし、彼のお姉さんも、とある理由から仲が良いです。
一応、彼もとても優しく、彼の両親譲りの優れた容姿をしており、色々人付き合いの苦手な私を気にかけてはくれていますが・・・私にはパパがいますから。
「そこをなんとかさ〜?」
「そうそう!だから」
それにしても、今日はいつにもましてしつこいですね。
本当に人付き合いは面倒です。
でも、ここでキツく言えば敵を増やす事になりかねません。
潜在的にかなり敵がいるのは理解しているものの、表面に出てきてしまうのはいただけませんから。
どうしたものか。
ん?なんだかクラスがざわついているような・・・
「ちょっとごめんね?美羽ちゃんに用事があるんだけど良いかな?」
男の人の声がそばでしました。
「は?今ちょっとあたし達が・・・って!?」
「く、暮内先輩!?」
睨みつけるようにその人を見た後、クラスメイトは驚きに目を丸くします。
そこにお兄ちゃん居たからです。
お兄ちゃんは、学校の女の子に大人気です。
パパ譲りの綺麗な顔立ちに、柚葉ママ譲りのふんわりした雰囲気、そしてとても優しいので、この学校の王子様だって女子が噂していました。
学年も違うそんなお兄ちゃんがすぐそばに居たのですから、驚きもするでしょう。
「どうしたのお兄ちゃん?」
「うん、ちょっと今日の放課後の事でね。莉弦姉さんももうすぐ・・・あ、来たね。」
「美羽ー?ちょっと良いー?あ、杏輔、もう来てたんだ。」
そしてお姉ちゃんもこの学校では大人気・・・いえ、一番人気だと思います。
見た目はとても綺麗でスタイルも良い。
でも、自分を強く持っていて、はっきりと物を言い、頭もとても良く、それでいて本質は優しい。
男子のみならず、女子からも支持を集め、この学校の女王と言われていた朱華お姉ちゃんと同じ様に、女帝と言われています。
「悪いわね?ちょっと美羽を借りるわ?」
「あ、は、はい!」
「だ、大丈夫です!!」
「ありがと。ああ、それと・・・」
そんな莉弦お姉ちゃんが笑顔でお礼を言った後、少し表情を変え、
「嫌がっているのを無理矢理は良くないわよ?」
そう言った瞬間、私に声をかけていた二人の女子は表情を引き攣らせました。
お姉ちゃんを敵に回すのは、この学校の生徒達を敵に回すのも同義だからでしょうか。
「僕からも一つ。美羽ちゃんは色々考えてあまり言わないかもしれないけれど、その中にはきつく言ってクラスの雰囲気を変えたくないってのもあると思うんだ。だから、無理矢理言わせて美羽ちゃんを悪者にしないでね?」
「は、はい・・・」
「わ、わかりました・・・」
そこにお兄ちゃんも微笑んでそう言うと、その子達はうっとりとした表情になりました。
「じゃ、美羽、行くわよ?」
「美羽ちゃん、行こうか。」
「はい。」
私達姉弟は教室を後にします。
少しだけ振り返ると、そこには悔しそうな顔をした、おそらくはあの女の子達に頼んでいたであろう男子がいました。
やっぱり、人は見た目ではありませんね。
私が彼を好きになる事は無いでしょう。
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