第5話 暮内亮司の見守りの日々(5)

 ネタばらしをされた後、総司はぶつぶつ言いながらも荷運びをしてる。

 まぁ・・・気持ちは分かるなぁ・・・痛いほど。

 とは言え、ここまで来たら腹を括るしか無いのも事実。

 総司・・・頑張りなさい。


 荷運びを終えると、総司は双葉に呼ばれて建物に入った。

 そして・・・


『何故だ!?おかしいだろ!!』

『もう、総司うるさいわよ?』


 総司の叫び声と双葉のしれっとした声が室内に響く。

 ・・・あのね双葉。

 総司の言うことはもっともだと思うよ?

 付き合ってもいない男女を一緒の部屋にするなんて・・・

 いや、歳を考えたら、付き合っていても考える所なんだけど・・・


『どうしたのそーちゃん?何か不満?』

『そうですよ総司くん。嬉しいでしょ?』

『総司くん?男子たるもの、どっしりと構えておかなくてはいけませんよ?』


 肝心の親がこれだからなぁ・・・

 

 総司が頑張ってごねている。

 だけど、多分無駄だろうなぁ・・・

 必死に抵抗をする総司。 

 そんな中、総司の耳元に口を寄せる双葉。

 何を・・・


『・・・クローゼット。』


 !?


『その中にある衣装ケース・・・その下・・・』

『ぐっ!?』


 ああ・・・これは・・・双葉・・・なんて悪い笑顔だ・・・可愛いけど。


『・・・これ以上駄々をこねるなら、この子達に・・・』

『わかった!!わかったから!!』


 ・・・チェックメイト、だね・・・




 部屋に行った総司たちは、色々話し合ったんだけど・・・うん・・・見ていて涙を誘うね、コレ・・・


 総司の味方はまったくいない。

 どころか、群がられて身動きができなくなってる。

 どうにもならないね・・・。


 その後は、北上さん、そして食事を挟み翔子ちゃん、柚葉ちゃんと二人で過ごす総司。

 どの子も、総司と二人で会うと総司に謝っていた。

 総司を騙した事を申し訳なく思っていたのがよくわかる。

 ・・・まぁ、仕方がない面もあるのかな。

 でも、みんな発言が過激だなぁ・・・総司、頑張れ!


 


 西條さんとの時間を残して、夕飯のカレーをみんなで食べている。

 ・・・美味しそうだね。

 双葉の手料理が恋しい・・・


『総司?今日は疲れたでしょ?ご飯食べ終わったら、あなたが最初にお風呂に入りなさい?』


 そんな事を思っていると、双葉がおもむろに総司にそう言った。

 総司は、それを拒否した。

 まぁ、レディーファーストとかそんな事を考えたんだろうね。

 僕でもそうすると思う。

 しかし、


『総司・・・そんな事を言って、お母さんはともかく、詩音さんや柚葉ちゃん達、柚葉ちゃんのお母さん方の残り湯を堪能するつもりなのよね?お母さんわかってるわ!』

『お兄ちゃんキモい!!』

『そーちゃん・・・こんなおばさんを女として見て・・・性欲強いのね。』

『仕方がないですね。私が背中流してあげましょうか?』

『総司くん?男の子ね・・・』


 ・・・酷い。

 総司、そんな事一言も言ってないのに・・・

 渋々総司は風呂に行くことを決めたようだ。

 ・・・なんかひっかかるけど・・・なんだろう?




『はぁ〜・・・良いなあコレ・・・落ち着くわ〜・・・』


 総司がリラックスして湯船に浸かっている。

 のほほんとしている総司を見ていると、入浴できないこの身が恨めしくなる。

 まぁ・・・仕方がな・・・うん?ドアが開く音?


『総司〜?入るわよ〜?』

『そーちゃんお背中流してあげるね〜?』

『違います!総司先輩の背中を流すのは私です!柚ちゃんじゃありません!!』

『そうか。ならばワタシは前を流そう。』

『『『それはダメ!!』』』


 は?

 な、なんで西條さん達が・・・?

 あ、水着着てるのか、良かった良かっ・・・てない!?


『・・・は?・・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁ!?』


 総司の叫び声。

 そりゃそうだよ!

 この子達何考えてるの!?

 清見ちゃん達はなんで止めないの!?


『大丈夫だよそーちゃん!お母さん達の許可は取ったから!!』


 許可出したの!?

 本当に何考えてんの!?


 あ・・・総司がみんなに迫られてたじたじに・・・う〜ん・・・鼻の下が伸びてる。

 まぁ、仕方がないだろうけど。

 

 今は、総司はみんなに手ずから洗われている。

 ・・・こ、これ見てて良いのかな?

 息子や、将来の娘になるかもしれない子達の情事・・・い、いや、情事では無いかもだけど・・・でも、これ、その一歩手前ぐらいだと思うし・・・


『・・・総司先輩、ちょっと背中舐めてみても良いですか?』

『・・・良いわけないだろ。』

 良いわけ無いよ!?


 翔子ちゃん、君って子は・・・


 そして湯船へ。

 総司を取り囲み、逃さないように女性陣が配置している。

 ・・・総司。

 僕は、総司の名誉が守られる事を祈っているよ・・・


『なぁ、黒絵、これってお前が言い出したのか?』

『・・・違う。これはな?母上達が計画したのだよ。』


 そんな事を僕が考えてたら、総司の質問に答えた北上さんの言葉に疑問を覚える。

 ・・・葵ちゃんが?

 あの子はどちらかと言えばこういう絡めては苦手だった筈だけど・・・

 いや、違うな。

 これは多分、提案したのは双葉だ。

 まったく・・・双葉は・・・


 僕がぶつぶつとそんな事を考えていると、話題は、西條さんの親・・・琴音さんとの和解についてになっていた。

 ・・・うん、この子達は本当にいい子だね。

 僕も、この中の誰かが総司のお嫁さんになってくれたら嬉しいなぁ。

 きっと良い家庭を作れる・・・あ、総司がもう限界みたいだ。

 結構長く入ってたしね。

 おもむろに立ち上がり・・・危ない!

 良かった、怪我しなく・・・そ、総司!?タオルがっ・・・!!


 みんなに凝視されて・・・翔子ちゃん!手を伸ばさない!!

 早く隠すんだ!!

 これ以上は心の傷に・・・って!?

 まずい!!


 僕は咄嗟に目を瞑る。

 なぜなら、北上さんのトップスがズレてしまっていたからだ。

 肝心なところは見えなかったけど、その直前に見えた光景は、とんでもないものだった。

 どんなミラクルが起こればああなるの!?

 

『あ・・・そ、ソウ・・・なんて大胆な・・・♡』

『あ・・・はぁ・・・そ、総司・・・ん♡・・・どこ掴んで・・・』

『そ、そうです・・・せん、先輩ったら・・・こんな所でだなんて♡・・・はう・・・』

『そそそそーちゃん・・・なんか硬い感触が・・・だ、だ、だんだん大きく・・・』


 き、聞いちゃだめだ!

 こんなの双葉にバレたらどんな目に遭わされるか・・・!

 ・・・今は僕がこうしているのはわからないだろうけど、きっと将来、同じような存在になった時にバレるだろうから、しっかりと見ないようにしないと!


『きゃあ!?総司!?』

『いかん!!思い切り鼻血を吹き出したぞ!?』

『そーちゃん!?大丈夫!?そーちゃん!?』

『柚ちゃん揺らしたらだめ!!そこの床に寝かせましょう!?』


 総司!?

 思わず振り返っって見ると、総司は鼻血を出し、タオルを血に染めていた。

 幸い、北上さんはトップスを直していたから僕も命拾いをしたんだけど・・・


『こ、こ、これが総司の・・・男の人ってみんなこうなの・・・?』

『お、お、おっきい・・・それにごつごつ・・・ちょっと怖いかも・・・』

『・・・ごくりっ。これが私の中に・・・♡』


 ・・・た、確かに大きい・・・ちょっと凹む・・・い、いや!凹んでる場合じゃない!

 それよりも総司を!誰か気がついて!!

 翔子ちゃん!うっとりしている場合じゃないよ!!


『なんて・・・たくましい・・・・・・はっ!?い、いかん!それどころではない!!ソウを介抱せねば!』

『わ、わたしお母さん達呼んで来るよ!!』

『柚葉お願い!』


 え”!?

 ふ、双葉達呼んでくるの!?

 そんな事をしたら・・・


『総司大丈夫!?・・・ってでっか!?マジか!?』


 双葉!?


『ちょ、ちょっと双葉センパイ!言葉使いが・・・ってそーちゃん嘘でしょ!?』

『!?こ、これは・・・なんという事でしょう・・・ごくりっ』

『こ、こら翼!こんな時に・・・って、本当に凄いわね・・・は!?い、いけない!黒絵!すぐに廊下に運ぶわよ!!』


 ・・・双葉・・・悪かったね総司よりも小さくて・・・

 それに、清見ちゃん達も、めちゃくちゃ凝視してるし・・・

 それに僕はわかってるよ?

 見てるから。

 

 みんなで総司を運ぶ時、そこにタオルをかけてあげれば良いのに、そのまま運ぶ必要無いよね?

 ・・・みんなめちゃくちゃ凝視してるし。


 ・・・やっぱり凹む・・・


 その後、みんなで身体を拭いて服を着せて・・・あ、翔子ちゃんと翼ちゃんがこっそり掠めるように触ってる。

 そしてその後・・・翔子ちゃん!匂いを嗅がないの!

 翼ちゃん!手を舐めないの!!


 何やってるの君たち母子は!

 それに・・・


 僕は後ろを見る。


 すると、そこには、こっそりと中の様子を伺っている瑞希がいる。

 ・・・何やってるのかな?


『・・・はぁ・・・はぁ・・・お兄ちゃん・・・あ、あんなに大きいの?あ、あんなの入れるの?嘘・・・』


 瑞希!?

 こ、これ大丈夫!?

 双葉!瑞希がヤバいよ!?

 双葉ー!!



 


 その後は、総司を代わる代わる介抱する西條さん達。

 そして目を覚ました総司は・・・絶望していた。

 そして、不用意に放った死ぬって言葉に、西條さんが・・・うん、これは総司が悪い。

 君は知ってるはずだよ?

 残された人がどう思うのか、良く知っている筈だ。

 誰よりも。

 

 西條さんを宥めている総司。

 どうやら、立ち直ったみたいだ。


 それに・・・僕の死はトラウマ・・・か・・・

 ごめんね総司・・・ごめん・・・


『舐めないで!あたしの気持ちはそんなに軽くないわ!!あたしは絶対に総司を惚れさせる!どれだけ時間がかかってもね!』


 ・・・ありがとう西條さん。

 本当に、僕は君たちに感謝してもし足りないよ。

 

 ・・・ん?

 これ・・・さ、西條さん!?

 それは駄目だ!!

 

 僕はまたしても目を逸らす羽目になる。

 だってこれ、完全に・・・


 会話が聞こえてくるけど、どうやら総司は罰を受けているようだ。

 ・・・総司・・・頑張れ・・・

 

 その後は、仲良く話してたみたいだけど、総司?忘れてるよね?

 自分達がどんな恰好しているかを。



 そして、柚葉ちゃん達が入ってきた。

 ・・・ほら、怒られた。

 

 やれやれ・・・

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