第141話 みんなで卒業旅行(2)
二日目だ。
ようやく二日目の朝となった。
・・・既に、俺は眠くて仕方がない。
一応、卒業旅行の主役という事で、昨日は俺と黒絵が同室、シオンと柚葉と翔子が一部屋で就寝した。
黒絵も、流石に俺が疲れているのが分かっており、その後は手を出して来なかった・・・ってやっぱ逆だなコレ。
まぁ、同じベッドで寝たは寝たんだがな。
朝、ホテルのバイキングで朝食を食べ、その後は那覇市内の観光だ。
本土とはやはり色々と違っており、面白い。
売っているものも、沖縄独特のものも多かった。
様々なものを見て回り、土産も購入していく。
個人的には、波上宮という神社が凄いと思った。
断崖絶壁の上に立つ神社で、見応えがあった。
女性陣は、ショッピングをかなり楽しんでいた。
・・・やっぱり、女性陣の買い物は長いと、心の底から思った。
何故、買いもしないものを見て、あんなに騒げるのだろう・・・
女性の不思議の一つだな。
昼飯を国際通りで取り、一度ホテルに戻ってから、荷物を置き、再度出かける事にした。
那覇市内から近い観光名所をいくつか廻る。
驚くのは、建築様式などが、本土と違うものがいくつもあったという事だ。
それに、なんというか・・・空気が違う。
やはり、海を越えて移動するという事は、大きな事なんだなと良く分かった。
これは、機会があったら、真逆の北海道に行ってみるのも面白いかもしれない。
案外、旅行というのは俺の性にあっているのかもな。
その土地土地の物を見て、体験し、味わい、考察する。
思った以上に楽しかった。
変な話、一人旅行でも、充分楽しめそうな気がする。
・・・まぁ、こいつらが一人で行かせてくれるとは、とても思えないがな。
一通り観光名所を巡った後、俺達はホテルに戻った。
そして反省会・・・とまではいかないが、簡単に話し合いをする事にした。
今後もおそらく旅行はするだろう。
その時に、より楽しむためだそうだ。
今回、沖縄を旅行して思った事は、車の免許があればもっと楽しめたのに、という事だった。
もっと楽しもうと思うと、移動にバスやモノレールでは厳しかった。
あらかじめ調べておけと言われたらその通りなのだが・・・何せ、俺達はどいつもこいつも旅行慣れしていないヤツばかりだ。
いい勉強になったと思おう。
失敗もまた思い出だ。
高校卒業したら、すぐにでも免許を取ろうと思う。
もっとも、一足先に黒絵が取りそうではあるのだが。
やっぱり、男が運転したいじゃないか。
女性とのお出かけの時はな。
ちっぽけな男のプライドだと笑ってくれ。
「次は、絶対に免許取ってから来ましょう?」
「「「異議なし!!」」」「おう!」
これは、その日の夜にみんなで話し合った結果だ。
また、みんなで沖縄に来る、というもの。
もっとも、今回も充分以上に楽しめたのだがな。
移動中もそうだが、夜景や、海も見えたし、目の保養には充分だった。
だが、全部を満喫したわけでは無い。
今度来たときには、もっと行動範囲を広めたり、石垣島や宮古島なんかも行ってみたいと思った。
少しだけ、ネットで見たが、その辺りのビーチは本当に綺麗なようだった。
是非、こいつらに見せてやりたい。
その為にも、きちんと貯金をし、次は、もうちょっと予算と時間を確保したい。
頑張らないとな。
そして、夜。
食事、入浴を終え、後は寝るだけとなる。
俺の目の前には、気合を入れている女性陣がいる。
「さて、明日は帰るだけだし、ガンガン行くわよ!!」
「「「おー!!」」」
・・・もう、言葉も無い。
俺は、ただ腰を振るマシーンとかした。
宣言通り、奴らはまったく手心を加えなかった。
俺は、ただただ頑張った。
でも、流石に限界が訪れ、俺は気絶するように眠ってしまった。
最後の方は、ほとんど覚えていない。
翌朝、フラフラの俺を、シオンと黒絵が両側から支える様にして移動する。
帰りの飛行機で、みんなでワイワイと話す元気も無く、俺はひたすら寝続ける。
気がつけば、空港に着いており、そこからは電車で移動。
シオンと柚葉、翔子はうとうとしている。
「・・・疲れた。」
俺がポツリとつぶやくと、黒絵がこちらを見た。
「・・・すまん。ちょっとはっちゃけ過ぎたか。」
黒絵がバツの悪そうな顔でこちらを見た。
俺は思わず苦笑してしまう。
「・・・別に良いさ。お前らが楽しかったんなら、それで良い。」
俺の言葉を聞き、黒絵も微笑む。
「ソウ。ワタシは幸せだよ。大好きな友達と愛すべき彼氏・・・婚約者が居て、こうして共に過ごせる。正直な所、ワタシ一人だけ大学生となる事に、不安があったんだ。だが、今回の旅行でつくづく痛感したよ。」
「・・・何をだ?」
俺の問いかけに、黒絵は破顔した。
「勿論、たかだか学校を別にする程度で、我々の絆は途切れないという事を、だ。」
そんな黒絵を見て、俺も笑った。
「ははは!そりゃそうだ。俺達はお前を逃さないって言ったろ?」
「ああ、実感したさ。」
「そりゃ良かった。」
「ソウ・・・これからも、よろしくな?」
「ああ。こちらこそ、な?」
こうして、黒絵の卒業旅行は幕を閉じた。
そして、時は流れる。
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