第25話 東儀翔子(5)side翔子

「さて・・・お前の負けだ。」

「嘘・・・」


 今日のゲームはポーカーだった。

 私の目の前でトランプの手札を晒すリーダー。

 その役はストレート。

 私の手札はツーペア。


「ようやくか・・・今まで待たされた分、楽しませてもらわねぇとなぁ。」

「ひっ!?」


 ついに恐れていた事態になった。

 今日は金曜日の放課後。

 

 いつもと同じ様に呼び出しを受けた私は、彼等のアジトに来ていた。

 そして、いつも通りゲームをしたけど・・・負けてしまった。


「やったじゃねーかリーダー!」

「今日はいっぱい楽しめよ?」


 ニヤニヤしながら私を見てそう言うチームの男たち。

 私は放心してそれを聞いている。


「おう!ありがとな!いや〜俺を気遣ってくれるチームのメンバーで嬉しいぜ!お礼にこいつのストリップを見せてやっからよ?勿論、撮影も可だ。せいぜいおかずにしろよ?」

「!?」


 そんな人を人とも思わぬ言葉に愕然とする。


「おー!リーダー太っ腹!!」

「そりゃいいぜ!こんな上玉、中々お目にかかれねーからな!!」

「ははは!そうだろ?まぁ安心しろよ。俺が飽きたらお前らにも回してやっからよ!!」

「最高だなそりゃ!!」

「いいねー!!」


 ・・・嘘でしょ?

 ・・・ああ・・・もう終わりだわ・・・


「ん?何泣いてんだ?まぁ良い。じゃあ、まずそこに立って貰おうか。・・・おら!さっさとしろ!!」


 怒鳴られる。 

 それでも、震えて動けない。


「・・・さっさとしろ。家族がどうなっても良いのか?ん?『クレナイ』は怖えぞ?」

「っ!!わ・・・わ・・・わかり・・・まし・・・た・・・」


 震えながら立ち上がり、指定された所まで行く。

 そして・・・上のカーディアガンを脱いだ。


「良いね〜!」


 パシャっと音がした。

 誰かが写真を取ったのだろう。


 ・・・どうしてこうなっちゃったの・・・

 ・・・私が何か悪いことをした?

 ・・・なんでこんな目に遭わないといけないの?

 

 総司くん・・・私はもう、総司くんに合わせる顔が無い・・・

 せっかく再会出来たけど・・・ようやく再会出来たけど・・・ごめんなさい。


 私は・・・コレが終わったら・・・もう・・・生きていけないかも・・・知れません・・・

 

 そして私は・・・下着姿になった。


「良いじゃねーか!そそるなぁ!オイ!」


 パシャパシャと音がする。


「さぁ、今日から週末だ。3日間でしっかりと仕込んでやっからよ?後で家に連絡しておけ!良いな?」

「・・・はい。」


 絶望で顔を伏せ、そう答える私。

 そんな私に・・・こいつは更に絶望を突きつけた。


「しっかし馬鹿だよなぁ!『クレナイ』なんて都市伝説みたいなもんなのによ?」

 

 え?

 今、なんて・・・


「『クレナイ』?知るか!俺達のチームは、昔居た『クレナイ』ってのの名前を利用してるだけだっつーの!!そんなのに騙されてんだもんなぁ!」


 嘘・・・でしょ・・・?


「まぁ、しっかりとその姿は写真に収めさせて貰ったからよ?言うこと聞かねーと・・・わかるな?まぁ、どっちにしろ、もっとすげぇの撮らせて貰うんだがな!あ〜面白かった!」


 頭が真っ白になる。

 ずっと・・・ずっと騙されてたの・・・?

 嘘・・・嘘・・・嘘!?


「ほら、続きやれよ・・・おら!さっさとしろ!!」


 ビクッ


 リーダーが側にあった机を蹴る音に、身体を竦ませた後、ゆっくりと手をブラのホックに回す。

 もう・・・どうにでもなれば良い・・・どうせこの後・・・死ぬんだから。


 そんな時だった。

 

 バァン!!


 凄く大きな音が鳴った。

 全員がそちらを見る。

 

 私もだ。


 そこには・・・顔から凄く血を流して気絶している人を引きずりながら、ドアを蹴破った人がいた。

 

 赤いパーカーを目深に被る・・・多分男の人。


「てめぇら・・・楽に死ねると思うなよ?」


 男の声で凄く怖い声を出したから。

 あれ?

 でもこの声って・・・ 

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