第6話 一夜明け、学校で

「おはよう、西條さん。」

「おはよう・・・暮内くん。」


 昨日友だちになったシオンと挨拶を交わして席に着く。

 小声でシオンに呟く。


「・・・お前LIN長すぎない?」

「・・・何よ。良いじゃない可愛い女の子とLIN出来るんだから。」

「・・・ほんとキャラ違うよな・・・」

「お互い様でしょ?」


 ボソボソと呟きあう俺達。

 そんな時に、


「おっす!今日も暗いな総司!」


 光彦が近寄って来た。


「おはよう。うるさいな光彦。明るくする必要性が感じられないんだよ。」

「ははは!なんだそれ・・・って、ん?」


 光彦がシオンをちらりと見た。

 そして俺を見る。


「・・・?気のせいか?」


 ・・・怖い男だ。

 何かを感じたのか?

 コミュ力の化け物め。


 シオンを見ると、シオンも少し焦りを感じているようだ。


「西條さんもおはよ!」

「・・・おはようございます、吉岡くん。」

「「光彦く〜ん!」」

「呼んでるぞ?」

「・・・おう。ま、いっか!んじゃ俺は行くわ!」


 離れていく光彦。

 ホッとため息を吐く。


「・・・なんか気が付かれた?こわっ!どんなコミュ力してんのよ・・・」

「・・・だなぁ。俺もそう思う。」


 シオンと小声で前を向いたまま呟き合う。

 やっぱり、そう思うよなぁ・・・・





 放課後になった。


「ねぇ・・・一緒に帰ろ?」


 シオンが小声で話しかけてくる。

 俺達に視線を送る者はいない。

 まあ、陰キャ同士で話していても誰も見向きもしないだろうが。


「・・・俺、お前んち知らないんだけど一緒の方向なのか?」

「あの公園までで良いからさ。」

「でも、目立つだろ?」

「良いじゃない。別に。そこからアレがバレるわけじゃないでしょ?」


 アレ・・・クレナイの事か。


「・・・・・・ま、いいか。」

「ん!じゃあ行こう?」


 俺達は揃って教室を出た。

 並んで歩く俺達。

 学校を出るまではボソボソと話す。

 

 まぁ、誰も気にしてないだろうけどな。

 

 




「・・・え?あれってまさか・・・そーちゃんと・・・誰?女の子・・・嘘・・・」


 そんな風に校門から出ていく二人を、遠目に目撃し、呟く女子に気が付かずに。

 



「でさ〜、だから言ってやったのよ。『もう私に近づかないで下さい』って。そしたら、他の女子が、お高く止まってるだとかなんとか・・・鬱陶しくて仕方なかったわ。」

「・・・お前も大変だったんだなぁ・・・ていうか、その見た目でその喋り方はギャップが凄いな・・・」

「え〜・・・良いじゃないの・・・二人っきりだしさ!」


 嬉しそうに笑顔で言うシオン。

 笑顔が輝いてんなこいつ・・・まぁ、目の保養にはなるか。


「ん・・・その言い方には語弊がある気がするが・・・まぁ、シオンが楽しいなら良いさ。」

「えへへ・・・やっぱり優しいなぁ総司は!」

「そうか?普通だろ・・・っと公園だ。じゃあまた明日なシオン。」

「うん!また明日ね総司!」


 さて、家帰って飯作るかな・・・今日は何にしようか。

 そう言えば瑞希がハンバーグが食べたいって朝、騒いでたな。

 よし!兄貴特製のハンバーグを作ってやるか!



sideシオン



 ああ・・・やっぱり総司は優しい・・・

 ますます好きになっちゃうなぁ・・・


 もっと一緒に居たい。

 もっと総司の事知りたい。

 明後日から休みだし・・・一緒に出かけられないかな?


 家に遊びに行きたいって言ったら引くかな?


 ・・・これが人を好きになるって事なんだ・・・

 自分でもびっくりするくらい総司の事ばっかり考えてる。


 は〜・・・今日も夜にLINで話そうっと!


 さて、帰ろうかな。


「あ、あの・・・すみません!ちょっと良いですか?」


 ん?誰だろう・・・女の子?

 あれ?この子って・・・

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