(本編完結済み)無難に目立たず生きたい俺を、何故かクラスの女子や幼馴染み達が放っておいてくれない!俺は静かに生きたいんだ!!
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第1章 クラスの女子が放っておいてくれない
第1話 西條詩音(1)
「さあ!総司!一緒に帰ろう?」
「・・・」
今、俺の目の前には、一人のクラスメイトの女子がいる。
この女の子の名前は西條詩音(さいじょう しおん)。
黒髪ロングのギャル・・・になってしまった。
見た目はとても綺麗で可愛い。
モデルの様な女の子。
ちなみに隣の席である。
俺には縁が無い・・・筈だったんだが・・・どうしてこうなった。
この間まで擬態した格好をしていたのに・・・
俺は過去を思い返した・・・
高校2年生の春。
学年が上がりクラス替え。
元々友人の少ない俺にはあまり関係が無い。
そもそも、その少ない友人ですら、そんなに学校内では話をしないからだ。
趣味はラノベやネット小説を読む事、後はなんだろう?と考えてしまう位に思いつかない。
運動はランニングや筋トレは日課としてはしているが、趣味では無い。
ただの習慣だ。
「おっす総司。今年も同じクラスだったな。」
「おはよ、光彦。だな。よろしく。」
「おう!よろしくな!」
こいつは、吉岡光彦。
数少ない友人だ。
「おはよー光彦くん!」
「光彦くんおはよう!」
「おっはよう!おんなじクラスだな!一年間よろしくぅ!」
こいつは、見た目チャラい感じで、はっきり言ってモテる。
俺とは大違いだ。
交友関係も広い。
今も、他クラスの女子から話しかけられている。
当然、近くに俺がいても、女子は俺には一切見向きもしない。
陰キャと思われているんだろう。
だが、それで良い。
「じゃあ俺も席に戻るわ!」
「ああ。」
何故こいつと友人なのかというと、不思議と馬が合うからだ。
こいつは、踏み込んで来る距離を間違えない。
だから、嫌な気分にならない。
貴重な友だちだ。
「席につけー!」
教員が入って来た。
また、退屈で平凡な日常が始まる。
・・・隣は・・・確か・・・西條だったか。
相変わらず黒く長い髪に、陰気な感じ。
メガネで猫背気味だ。
一年の時も同じクラスだったが、喋った事はほとんど無い。
西條もあまり友人はいない筈だ。
教室で仲良さそうな人はいなかったと思う。
まぁ、良い。
俺は何も変わらない。
変わりたくない。
退屈で、普通の日常であればそれで良いんだ。
学年が上がり一週間が過ぎた。
ちょっと、放課後、教員に手伝いを頼まれ、遅くなってしまった。
部活をやってないのが仇となり、力仕事を任されてしまったのだ。
さっさと帰って、食事を作らないと・・・
そう思って、自宅までの道のりを小走りに移動していると、交差点の角を曲がった時だった。
「ちょ!離してって!離せよ!!」
女性の声が聞こえてきた。
よく見てみると、この先の公園で、男女が言い争っているのを見つけた。
複数のチャラい感じの奴らが、一人の女の子を囲んでいる。
女の子を見ると、俺と同じくらいの歳で、黒の長い髪をストレートにしたギャルだった。
顔立ちはまぁ、綺麗で可愛い感じだな。
そんじょそこらではお目にかかれない位の。
まぁ、俺には関係無いか。
どうせ痴話喧嘩だろう。
足早に通り過ぎようとした時だった。
「離して!あたしもうチーム抜けるから!」
「馬鹿野郎!簡単に抜けさせるわけねーだろ!?お前は頭の俺の女になるんだよ!」
「やだ!」
「・・・っち、面倒くせえ・・・
「!?」
そんな会話が聞こえて来た。
・・・トラブルか・・・くそっ・・・どうする?
「おい!車回せ!攫うぞ!馬鹿だなお前!素直に俺の言うこと聞いてりゃ良かったのによ?これから俺達の便所な!」
「やだ!助けて!誰か助けて!!」
今から警察・・・は間に合わないか。
この辺りは人通りも少ない。
他の助けは期待出来ない。
はぁ・・・仕方がない。
制服の上着を脱ぎ、下に来ていた薄手のパーカーを目深に被る。
おっと・・・その前に念の為・・・
伊達メガネを制服に入れ、カバンからヘアワックスを取り出し、髪をオールバック気味にしておく。
これで、陰キャないつもの俺とは、同じと思われないだろう。
上着とカバンを植え込みに隠して、男たちに近づいて行く。
もう、引退したつもりだったんだが・・・
善行のつもりでやっとくか。
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