第180話 それに気づくのは幼馴染

 二人ともアイスを食べ終わった後、俺たちは四人で家路へとついていた。

 結局、あの後朝香にアイスを止められてしまい、二人がうまそうに食べているところをただただ見ているだけになってしまった。これなんて拷問?


 「てか、高橋も結局来たんじゃん」


 「いや、陽葵にたまたま誘われたからってだけで、目的が同じだと思わなかったんだよ」


 「ふ〜ん?」


 俺はニヤニヤと煽るような顔をして陽葵を見てみる。けど陽葵は恥ずかしがったり怒ったりするでもなく、気まずそうに目を逸らすだけだった。

 …なんか様子がおかしいような…?


 「陽葵?」


 「…へ?」


 「大丈夫?」


 「な、何が?」


 「その、ぼーっとしてたけど…」


 朝香もそれに気がついたらしく、陽葵を気にかけていた。

 朝香も気づいたのであれば、俺の疑念は気のせいなんかじゃない、という事だ。

 高橋と何かあったのか?でも高橋はいつも通りに見えるけど…わからん。


 「んじゃ、俺はこっちだからお別れだな」


 「え。お前の家ってそっちの方向なの?」


 「ん?あぁ、旭の家からそんなに離れてないところにあるぞ」


 「マジか。今度突撃しに行くわ」


 「来るな。マジで来るな」


 そう言って高橋は、朝香と陽葵に軽く別れの挨拶をしてから俺たちと別れた。

 高橋もいなくなったし。聞くなら今だろう。

 そう思い、俺は陽葵に声をかける。


 「なぁ陽ま…」


 「あっ!今日の晩御飯の買い物してなかった!」


 「ちょ…」


 「ごめん二人とも!先に帰ってて!じゃあね!」


 「いや、ちょっと?!」


 俺の制止の声をガン無視して、陽葵は反対方向に小走りで行ってしまった。

 えぇ…。


 「…ねぇ旭」


 「ん?」


 「その…陽葵、変じゃなかった…?」


 「いつも変だろ?」


 「まじめに!」


 「変でした」


 なんか最近怒られてばっかな気がするなぁ…。


 「なんていうか、遠慮?違うかな、よそよそしい?うーん…なんて言ったらいいのかな…」


 「いや、言いたい事はなんとなくわかるからいいぞ」


 とりあえず、いつもの陽葵とは違ったって事だ。

 『陽葵っぽくなかった』が正解なのかもしれない。

 そんな事を考えていると、朝香が不安そうな目でこちらを見てくる。


 「…ねぇ旭…」


 「わかってる」


 多分、陽葵の事を気にかけろって事だろう。

 幼馴染だからか、それとも好きな女の子だからかはわからないけど、なんとなく思っている事はわかった。


 「…うん、お願い…」


 そう小さく言った朝香は陽葵が走って行った方向をじっと見つめていた。

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