第58話 どうなりたい
もう、夏休みに入ってしまった。
旭を拒絶してしまってから数ヶ月。私がウジウジしている間に無慈悲にも時間が経ってしまい夏休みになってしまった。
前までは旭と陽葵に用が無くても会いに行ってたなぁ…。今じゃそんなことは出来ない。
あの日から旭は私から距離を取るようになり、会うこと自体少なくなってしまった。
だから私は色々な方法で旭との接触を図ってみた。
…けれど、旭との距離は縮まるどころか開いていくだけだった。
理由はわかっている。もちろん私のせい。
私がいっときの感情で旭を拒絶して傷つけてしまったからだ。
本当はこんなやり方間違っているってわかってる。
本当はまず、なぜあんなことを言ってしまったのかを話すべきだってわかってる。
…わかってはいるんだけど…。
「何て言えばいいのよ…」
旭がかまってくれなくなったから?
そんなこと、恥ずかしくて言えるわけがない。
でもその事でイライラしていたのは事実だった。
「はぁ…」
本当に子供っぽすぎる。
旭が知ったら幻滅するに決まってる。
でも、このまま無駄に時間を過ごすわけにはいかない。
このまま疎遠になっちゃうのだけは絶対に嫌だ。
「でも、どうすれば…」
考えが浮かばない。判断ができない。心だけではなく頭の中身まで子供みたい。
「はぁ…」
肺の中に溜まった空気を一度出す。
体中に新鮮な空気を巡らせて一度思考をリセットさせる。
そもそも、私は旭が好きなのかな?
楓ちゃんと仲良く話しているところを見て感じたモヤモヤ。
これは嫉妬なのかな?
これが嫉妬なら、私は旭の事が好きなのかな?
旭の事は好きだ。でもそれは陽葵に感じている『好き』っていう気持ちと同じ気がする。
一緒にいると楽しいし、嬉しい。でも、これが恋愛感情でいう『好き』なのかはわからない。
「はぁ…」
またさっきと似たような考え方になってしまった。
頭が痛くなってきちゃった…。
今はこれ以上考えても答えは出なそう。
「はぁ…」
今日何度目かのため息をつく。
結局、私は旭とどうなりたいんだろう。
「はぁ…」
早く夏休み終わらないかなぁ…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます