66.マッド? さいえんてぃすと
「エ、エクストラヒールのポーション??」
「そうなんだな! なんだかできそうな気がするんだよ、ダヨ!」
「し、シアンちゃん? それは
「ジーナさんみたいな感じ? うん! 憧れのお姉さんだよ、ダヨ!」
イマイチ意味が通じていないが、シアンは「オレンジーナの様な女性になれるのなら!」と喜び勇んで部屋へと入っていった。
それを見てブルースとローザは固まっていた。
「ね、ねぇローザ、
「
実際にはエクストラヒールが多用でき、ある程度の攻撃能力のある
そして翌日の朝。
「出来たんだよー! ダヨー!」
どうやら徹夜をしたようだが、本当に出来てしまったようだ。
朝食を食べていたブルースとローザは食事を吹き出しそうになり慌てて口に手を当てる。
「で、できたの?」
「うわぁ、出来ちゃったんだ」
小さな薬瓶を五本持って、嬉しそうにブルースとローザに見せて説明する。
「こっちの青いのが
「「ラグジュアリー?」」
聞きなれない名前が出てきた。
今現在使われているポーションは「
「そうなんだな、
そもそも
「これが
この時代に恐れられた病気三種だ。
重症化したら死に至る病であり、治療法が確立していない。
しかしまだシアンは止まらなかった。
「これが石鹸っていって体がキレイになるんだよ、これが消毒っていって悪いバイキンを倒してくれるんだな、ダナ」
「ストップ! ごめんシアン、それって意味あるの?」
特にブルースは元貴族でありながら、
ローザにしても手洗いの習慣はない。
「病気の予防になるの、ノ」
エクストラポーションだけでもぶっ飛んでいるのに、全く知らない知識を持っているためブルース達には何が良いのか理解できない。
なのでとある人物に助けを求めたのだ。
「へぇ衛生ですか。ごく一部の医者が言っていますが、私にもよくわかりません」
デモンスレイヤー本部で受付嬢ジョディに聞いてみた。
しかし聞いた事はあっても意味は分かっていないようだ。
「そうですね……いつもならそろそろ来るはずですが」
「ジョディ君! 今日こそ
扉を乱暴に開けて入ってきた男性は、どうやらシアンに用事があるようだ。
髪は短くメガネをかけ、長身でとても痩せており白衣を着ている。
そしてその目にはシアンが映った。
「見つけたー!! さあこっちへ来たまへ! おじさんと良い事をしよう!」
男性はズカズカとシアンに近づいて手を取ろうとするが、ブルースとローザが立ちはだかる。
「へ、変態! シアンに何をするつもりよ!」
「シアンを渡しはしないよ」
「何だね? 君たちは。ジョディ君この若者は何だね?」
ジョディはあ~あという表情をしている。
ため息を一つ付いて、疲れた顔で説明を始める。
「ブルースさん、ローザさん、この人が前に依頼を断った医者のダニエルさんです」
「「え?」」
「お医者さん……なの、ナノ?」
「うぉっほん、医者のダニエルだ。分かったらさっさと
「「お断りします!」」
「な、なぜだ!?」
「なんかこのヒト変態っぽいし」
「怪しい人には渡せません」
「へ、変態!? 怪しい!? ジョディ君この子たちは何を言っているのかね!?」
「素直な感想かと思われますが」
「なんだとー! 私が、私が怪しくて変態などと勘違いも
どうやら本人は気付いていないようだ。
今のダニエルはよく言ってマッドサイエンティスト、悪く言えばロリコン。
つまりどう見ても怪しいのだ。
と、ここでジョディがブルース達を説得し、ブルースとローザがシアンと一緒に行くという条件で話が付いた。
「さあ、君の全てをさらけ出してもらおうか!」
「だからそういう所だって言ってるのが分からないんですか!」
ダニエルの診療所にいくと、相変わらず誤解される事ばかりを言ってくる。
ブルースはすでに諦めているが、ローザはまだ信用していないようだ。
「えっと、何から見せればいいのかな、カナ?」
「ふわーっふぁっふぁっふぁ! 全てだ、全てを見せるのだ!」
「分かったんだな、ダナ!」
何を分かったのか知らないが、ブルースとローザはこの日だけで十日分の疲労を感じていた。
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