勉強好きが功を奏して学校のアイドルとの恋路を突き進む物語

d雷⊙人⊙風b

対極に位置する二人のハナはきっと開花するに違いない!

担任「尾治おわる、この前の定期テスト素晴らしい成績だったな!」


担任「学年2位なんてすばらしいじゃないか……」


……やっぱり2位。 ……か。


尾治「ありがとうございます!」


担任「……だがなぁ、お前はいつも誰とも話さない、いや違うな。だれとも極力関わりを持とうとはしない。先生は心配だ」


俺の名前は花坂はなさか 尾治おわる

高校2年生 身長149cm 体重39kg。

趣味なんて持ち合わせておらず、勉強が好きでいつも机に張り付いている為、友達なんて今まで居たこともない。

つまり、ボッチのカリスマだ。


人付き合いで喜びを感じることもない。

まぁ、悲しむことも当然ないのは救いかも……。


私服だと小学生に間違われる程の童顔。

この前なんて原付バイクで隣町に買い物に出かけた時なんて、補導されそうになったりもした程だ。

声変わりはもう終わっているので、俺の声を聞いた白バイ警察官はすごく驚いていた。

こんなの日常茶飯事だ。


クラスの女子1「ねぇ聞いてよ~、ウチのはながぁ~」


尾治「っ!!」


クラスメイトの女子がDQN組と何やら話している。



あんなのに関わってもいいことなんてありはしない。

休み時間に参考書を開いて勉強を開始する。

Q.

「離陸速度200km/h,無風時の離陸距離1,200mとなる航空機が、10m/s

の向い風を受けた時の離陸距離を求めよ。」


フムフムこれに関しては簡単だな。

A.

離陸速度vと離陸距離Lとの間には

L=kv^2

の関係がある。

kは定数。

k=L/v^2=1200/200^2=0.03


離陸速度200km/h,無風時の離陸距離1,200mとなる航空機が、10m/sの向い風を受けた時の離陸距離L

10m/s=36km/s


よって航空機は(200-36)km/s=164km/sの離陸速度となり

L=0.03*164^2=806.88m=807m


一応合ってる筈だ。


ちなみに、さっきの女子が話していた華とは、この間の文化祭で学園のアイドル決定戦のミスに選ばれた俺と同じ学年(クラスは隣)の……。

俺の『敵』! 板井いたい はなである。


毎回定期テストで俺よりも上に居て、孤高を知る存在。

SNSでもふぉろーわー(?)が70万人を超えているらしい。

芸能スカウトも何度か声をかけている。


ん? いや、好きじゃないぞ。

敵の情報を集めて超えるための糧にしているのだ。

敵を知り、己を知ることが重要だと、昔のお偉いさんは言っていた。

名言だと思う。


艶やかな黒髪ポニーテールで、小顔で、胸囲が学年一の大きさで、脚が長くて、、、

俺よりも身長が高くて。 カワイイ。


誰がチビ豆だ!

俺もいつか越えてやるんだ! 大きくなるんだよ!

いやいやいやいや、胸じゃねぇよ! 背だよ!


色々な方向で対極の位置にいる俺はそんな彼女と話すことなど無いだろうと思っていた。


だが、俺はとうとうやってやった!

定期テストの結果がトップ10のみ公開される我が校のトップが今回2人だったのだ。

1人は絶対的存在の華と、、、 もう一人は尾治、つまり俺だった。


クラスのDQN連中を引き連れて結果を見に行く華。


DQN女子「1位が、、、 2人?」


DQN男子「キショ坂が、1位?!」


華「ねぇ、あなた。 そのキショ坂って……。 誰?」


華の表情は彼が知るモノでは無かった。

激しく怒りに満ちた、言葉で表現するなら【赤鬼】だった。


DQN男子「…………っ。 俺のクラスの陰キャのカリスマ的なヤツでして、その、勉強オタク…… です」


華「そう……」


華は彼に興味を失ったのか、俺のいる教室までやって来た。


DQN女子「ちょっと~ なんでいきなりビクついてんの~?」


DQN男子の肩に手をかける。


DQN女子「っ、冷たっ!」


男子はガタガタ震えていた。

怯えている様にもみえた。


尾治「うん。航空力学の基礎の計算はまぁまぁ頭に入ったかな……」


教科書から目を離すと、俺の机の前に女子が一人仁王立ちしていた。


めんどくさいな。 またからかわれるのか。

人に関わるのは本当に面倒だ。

勉強する時間がそれだけ減ってしまう。


仕方なく顔を上げるとそこには、アイドル(学校の)が居た。

というか、なんかめちゃくちゃ怒ってるようなのですけど。


華「ちょっとアナタ、こっち来て」


尾治「嫌です。勉強するんで」


ピクッ……!

彼女の眉間がピクついたのが分かる。


華「い・い・か・ら! 来なさい!!」


俺は仕方なく彼女に腕を引っ張られる形で、学校では極力行きたくない場所へと連れていかれた。


なんでここなんだろう。

校長室。

職員室とは異なり事務室棟にある学校の一番隅にある部屋。


校長室にノックすることもなく彼女はそこのソファーに座ったので、俺も対面の斜め前に座りポケットから英単語帳をとりだして勉強を開始する。


華「ちょっと、アナタ。ここがどこだか分ってる?」


めんどくさいな、生身の人間ってのはホント何考えてるんだかさっぱり理解できない。


尾治「学校だよ。 顔は可愛いんだから、ちょっとボリューム下げて黙っててくんない? 勉強中だからさ」


華「かわっ…… カワィィなんて……」


プシュゥゥゥゥ……。

華の顔から湯気が立ち、赤い顔がより一層赤くなって肩をすくめている。


ああ、そうそう。

やっぱり黙っててもらえると静かでいい。


男「はっはっは。キミは上手く手綱を扱えるんだね」


めんどくさいな、生身の人間ってのはホント何考えてるんだかさっぱり理解できない。


尾治「顔は可愛いんだから、ちょっとボリューム下げて黙っててくんない? 勉強中だからさ」


男「かわっ…… そうか。 私は可愛いのか……」


尾治「そうそう かわいい。 黙っててもらえるとホント……」


男「……。 ポッ……」


尾治「……。 ん(二人)? って、誰だよ!」


男「そうか。私は可愛いのか。自覚したことはなかったし、学生から言われるとなんだかそれだけで自信にもなるな。 娘と一緒に芸能の道に進んでみるのもいいかもしれんな。 いやしかし……」


華「ちょっと、お父さん? いい加減キモいんだけど」


もじもじしてる知らないおっさんは確かにキモかった。

って、お父さん? 今日は参観日じゃないしなぁ……

って!


尾治「校長先生?!」


男「ん? 今気づいたのかね?! 君の告白は大変有意義だった。妻にも報告しなくてはいかん」


華「だから、キショい!!」


パイプ椅子で禿げた頭を殴られている校長の絵は地獄絵図の様だった。



ここで彼女の説明を受けた。


彼女はワケありで勉強が学年1位を単独で取らないと海外の皇族の元へ嫁ぎに行かなければならない。

海外の皇族の元へ行った場合は親との連絡さらにはこれまでの友人関係一切を絶ち、大学レベルの学力を維持し続けなければならない(ということはすでに彼女は大学生並みの学力を保持しているということだ)。


ただ、それの回避案も僅かながらあるのだという。

同率一位の生徒がいる場合、その子に全てを託すという条件のもとで彼女の束縛は全て解かれるというものだった。同率一位の生徒の性別は合致している必要性は無いらしい。



彼女が何故学年一位に拘り続けていたのかを知ることがようやく出来た。

幸か不幸か俺は彼女のその話の肩代わり役を背負わなければ、彼女から笑顔は消えてしまうかもしれない。



俺は一言、彼女の親の板井校長先生に告げた。

尾治「わかりました!俺が彼女の代わりに海外へ向かいます!」


尾治「どうせ高校生活も邪魔な人しかいなくて嫌だったし、家には俺以外居ません。皇族の方と過ごすということはその心配が全てなくなるんですよね? 俺にとってはまさしく天命です」


華「アナタ本当に解ってるの?! 友達とも会えなくなるのよ?」


尾治「友達も一緒に連れて行くから大丈夫。 俺の友達は、机の中にある教材だけだからさ!」


華「せっかく、せっかく私と対等な人と話せると思ってたのに」


華「ぅぅぅう……」


涙を隠すことなく泣きじゃくる彼女。


尾治「あ~。 そんなに泣いたら可愛い顔が台無しだよ?」


彼女の顔は泣いているから赤いのか、それとも俺の言葉に対して泣いているのか。


校長「そうだぞ華。 私とそっくりで可愛い顔が台無しだ」


尾治「いや、アンタはただのおっさんだ」


校長「ガーン!」



航空機で海外に行ってしまった彼、板井尾治は現在エーベルエッセ家に居る筈だ。


マネージャー「華さん、来週は海外のドイツ進出です。ドラマの1シーンの撮影がありますので……」


ドイツ……。

学生時代私の肩代わりになって行ってしまったが居る。


ちょっと、寄ってっちゃおっかな~♪




ドイツにてエーベルエッセ家に来賓として招かれた。

華「久しぶりね、


尾治「も元気そうで嬉しいよ」



あり得ない確率のあり得ない出会いから始まった彼との恋物語はこれからも続いていくのだろうと信じてる。


未来にはキット、私と貴方のハナを咲かせることが出来ますように……。






<<END>>

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