第3話:呪い

「「「「「ギャアアアアア」」」」」


 僕の願いを聞いて、王宮にいた精霊が一斉に動いた。

 元々王宮にいた精霊は、人間の邪悪さに影響されて悪い変化をしていた。

 少しでも力がある心優しい精霊は、王宮の人間を嫌っていなくなっていた。

 今王宮にいる力があって人間に優しい精霊は、お義姉ちゃんと僕についてきた子たちだけだから、僕の言う事は何でも聞いてくれる。

 特にお義姉ちゃんのためになる事なら、普段ならやらない事までしてくれる。


 力のある精霊が悪い変化をした精霊達に仕事をさせている。

 普通なら悪い変化を治してあげてから連れて逃げるのだけど、その前に悪い変化を利用して王宮の人間達を呪っている。

 悪い変化を治してあげるには、精霊も大きな力を使わなければいけない。

 それは力のある精霊でも疲れる事なのだと、以前精霊が言っていた。

 でも、悪い変化を人間に押し付ければ、何の力も使わずに悪い変化を治せる。


 普通なら、人間に悪い変化を押し付けたりはしない。

 神様も精霊も人間に優しいから、人間が苦しむような事はしない。

 でも、力のない精霊が悪い変化をしたのは王宮の人間の所為だ。

 王宮の人間が悪いのだから、その悪さを返してもいいと思う。

 特にお義姉ちゃんを苦しめるような奴は、たくさん苦しめばいい。

 悪い変化を受けたところがとても痛くなって、腐ってきてもしかたがない。


「エドアルド、王宮中の人達が苦しんでいるけれど、何かしたの」


 優しいお義姉ちゃんが少し怒ったように話しかけてきた。

 お義姉ちゃんの力なら、何が起こっているか分かると思う。

 分からないのは、神様と精霊が見せていないからだと思う。

 神様と精霊が見せないようにしているなら、僕も話さない。

 まだ九歳だけど、それくらいの事は分かる。

 お義姉ちゃんが義弟になっても困らないように色々教えてくれたから、賢くなったとご領主様も奥様も褒めてくれたもん。


「僕は何もしていないよ。

 でも、神様と精霊たちがとても怒っていたから、天罰だと思う。

 神様と精霊が怒ってやったのなら、止められないよ」


「そうね、しかたがないわね、神様と精霊に逆らうわけにはいかないわね。

 王太子殿下からは婚約を破棄されたし、追放にもされた。

 だったら好きでもない王太子と結婚する必要はないし、神様の教えを蔑ろにする王家に仕える必要もないわね。

 領地に戻って神様の教えに従った統治をしましょう。

 手伝ってくれるわね、エドアルド」


「うん、お義姉ちゃんのためなら何だってやるよ。

 神様も精霊も、お義姉ちゃんと僕が使える限りの力を貸してくれるって。

 だから早くお家に戻ろうよ、お義姉ちゃん」

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