第13話 偶然か必然かは神のみぞが知る(エリオット視点)
あぁ、全く。なんであの場所にあの女がいるんだよ。せっかくジェンキンスの密会の場に乗り込んで今後発生する予定のイベントを潰してやろうと思ってたのに、僕の計画がめちゃくちゃじゃん。
あんな修羅場を見ちゃったもんだからつい助けちゃったけど、もしあれで攻略が進んだとか思われでもしたら最悪なんだけど。ウザッ。
だいたい僕はヒロイン嫌いなんだよ。そりゃゲームをプレイしてた時はそれなりに面白かったけど、ゲームを進めれば進めるほど阿婆擦れ感が酷いんだもん。そりゃ攻略対象者がどいつもこいつも変態なのは気の毒だと思うけど、それにしたって清純な女の子(設定)がいくら男を落とす為とは言えあんなことまでしなきゃ攻略出来ない乙女ゲームってなんなんだよって感じ。
このゲームって、絶対なんか私怨的な恨み込もってない?製作サイドは何を考えてこんなゲーム作ったんだか。こんなヤンデレキャラにどんだけ需要があるって言うのさ。
「……ヤンデレに進化するのは嫌なんだけどなぁ」
そう、僕はこのゲームの「ヤンデレ枠」という属性を背負っているキャラなのだ。下手にヒロインに関わってしまってはいつそれが発症するかわからない。
だって、このエリオットってヤンデレ度がMAXになるとイっちゃった目をしながらヒロインを刺して返り血浴びて「これで君は僕だけのものだね」なんて喜んじゃうんだよ?!サイコパスだよ!
ゲームではそれで終了だが、ここは僕にとって現実なのだ。そんなことしたら下手したら殺人犯……ヒロインが生きていても殺人未遂に傷害罪か。この侯爵家というか、あのリヒトがそんな犯罪者になった僕を助けてくれるはずがない。
お父様も……あんな遺言を残すような人だったからね。
だから僕は出来るだけヒロインに近づかないようにしてたのに、まさかあのヒロイン僕のルートを選んだんじゃ無いだろうな。冗談じゃない。
だいたい僕は……。
前世ではピッチピチの女子高生……コギャルだったんだからぁ!つけまつげ命!
まさかゲームオタクの兄貴が隠し持ってたこの乙女ゲームをなんとなくプレイした次の日にトラックの交通事故に巻き込まれて死んじゃうなんて思わないし!あの交差点だいぶ前にも若い女の人が轢き逃げされて死んだっていういわく付きの交差点だったけど……絶対に呪われてる。
しかも気がついたら自分がそのゲームの攻略対象者になってるなんてもうわけわかんないよ!
記憶を思い出したばっかりの頃は大変だったけど、今やすっかり「僕」でいるのも慣れたものだ。
だけど、本当にヒロインが現れた時は驚いたなぁ。僕さえ巻き込まれなきゃヒロインが誰を攻略しようとどうでもいいんだけどさ。それにもしもの為に準備はちゃんとしている。将来的に屋敷から放り出されたとしてもなんとかなるとは思うんだよね。
あーあぁ、でもヒロインに見つかっちゃったから、あの秘密の隠し扉は使えないな。でも、もしジェンキンスルートを選択したのならあれもヒロインイベントなのだろうか。こんなことになるならもっと真剣にゲームクリアしておけばよかった。あんまりにもサイコパス過ぎて途中でやめちゃったからわからない箇所も多いんだよね。
全く、あの馬鹿兄貴があんなゲーム持ってたせいで大迷惑だよ。婚約者裏切って浮気して裁判起こされるとか、ほんとにダサっ!慰謝料ふんだくられてたけど自業自得だよ!
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