第3話 恨み辛みは次元を越えてまとわりつく。

 試作プレイをしたモニターの声。


「面白かった!やっぱり闇落ちエンド最高!」


「人には公表出来ない趣味を堪能できました」


「これはあれだよ!ヒロインと自分は切り離して第三者目線でプレイするとかなりスッキリするよ!あの女ざまぁみろ!」


「もうほとんどホラーです。乙女ゲーム的なトキメキは期待してはいけません」


「思ってたのと違う。ヒロイン変態すぎ」


「もっとエロくてもいい。ヒロイン○ね」


「新しい何かを見つけました」


「難し過ぎて攻略本ないと無理」


「はぁはぁ、○○様ルート最高!」




 などなど。ネット上にはさまざまなご意見が飛び交っておりました。モニタープレイヤーはネタバレさえしなければ自由に意見をネットに出せたのでSNSで一気に拡散されたのである。


 ちなみにこのゲーム、初っぱなから攻略難度MAXの激ムズだ。


 だが、元より特殊な人向けのゲームとして作られているのでそんな方々は興味津々。問い合わせと予約が殺到したのだとか……。


 ちなみに18禁です。お子さまはプレイしちゃダメーっ!






「あぁ、これからどうしたらいいの……」


 前世の記憶を思い出したのはいいのだが、自分の立場を考えると憂鬱過ぎて寝込みたくなってしまった。


 あの女性主任の恨みがたっぷりと詰まったこのヒロインに明るい未来があるとは到底思えない。


 このままじゃ……ドMを開花させられちゃう?!そして死ぬより酷い目に遭っちゃうのぉ?!


 事故で死んでゲームの世界に転生とか、こんな状況をすんなり受け入れてる自分も謎だけど。しかも私がプレイしたのはサンプル版だ。実はサンプル版には制限がかかっていて決まったルートしか最後まで出来なかったのである。その他のルートは途中まで。つまり私の知らないルートの世界だった場合……うん、詰んだ。


 だが、ひとつだけ希望の光が残っている。それは、あの女性主任が残したあの言葉だ。


『それにここだけの話ですが、実はヒロインたちが幸せになるルートもあるんです。隠しルートの発見も楽しみのひとつですよ。

 世の中にはびこるヒロイン気取りのお花畑女たちを粛清するゲームですが、クモの糸くらいの慈悲はもたせてあります。……でないと販売許可おりなかったんで。ちっ』


 そう、クモの糸ほどの救済ルート!この隠しルートにさえ辿り着ければ助かるはず!


 そして、私はこの隠しルートに行くためのヒントに気づいたのである。


 製作者はヒロインにかなりの私怨を込めてこのゲームを作ったのだ。乙女ゲーム的にはアレだが、ヒロインとは次々に男たちを虜にして手玉にとり最後はみんなに愛され幸せを手に入れるとんでもない女。だからそんなヒロインが不幸になるためのとんでもないゲームなのである。(粛清って言ってたからね)


 だったら、最初から攻略しなきゃいいんじゃないのか?と。


 攻略しようとなどせず、距離を取り一切関わらずに逃げよう!なんせ#攻略対象者たち__あいつら__#は米粒ほどのミスでさえもすぐに処刑しようとしてくるダークマターなのだ!


 少しでも関わったら負け!死刑も廃人も、ドM化でペットにされるのも嫌だ!


 絶対に攻略なんかしない!


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