無人島遭難者 ~これくらいできないと生きてけませんよ?~

あぶらあげ

第1話 エピローグ

「ユリス!そろそろ出発よ。」

「はーい!」

 母さんの声が聞こえたので僕は急いで家を出る。


 今日は王都〈ミラべリア〉の学校へ行く日だ、正直めちゃくちゃ緊張している。

 そこまでは船で行かないといけないのだが、いま乗ったらすぐに吐きそうだ。

 まだ船にすら乗ってないのに。

 少しぎこちない足取りで船着き場へと向かう

 この町〈サイナ〉という町はそんな広くもなく自然が豊かな、いわゆる田舎だ。

 そんな街だから船着き場にもすぐにつく。


 船着き場にはすでに父さんが待ち構えていた。

「お前ももう12歳なんだからしっかりやっていくんだぞ!」

 と背中をたたかれる。

「痛いよ、父さん」

「帰ってくる頃にはもう痛くなくなっているんだ、今のうちに味わっとけ!」

 普通にやめてほしい。だけど確かに学校は寮制なので次に会う頃には13歳になっているのか。

「しっかりと勉強してくるのよ。」

 そんなことを考えていると、母さんがいつも通りおっとりした口調で言ってきた。

「大丈夫だよ。しっかりやるから。」

「それなら大丈夫ね。」

 母さんは微笑みながらそう言った。

 そんな話をしている間にも、もう船が来たようだ。

 最後に軽く親と挨拶してから船に乗る。

「次ここに来るときはたくましくなっているだろうか」

 そんなことを考えながら船は動き始める。


 確かにいろいろたくましくなって帰ってくることは何にも思ってなかった...

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