第607話 勇者のレゾンデートル(存在意義)15
俺は勇者だから、危ないことも危険なことも関係なく命をかけなければならない。
俺がいなくなったって、もしかしたら世界がなくなることはないかもしれない‥‥‥
いや、何を弱気になってんだよ、クリス‥‥‥
今はアンデットの大群が見える上空にいる。
俺が倒すべきアンデットの大群は、さらに増えていく。アンデットの大群を見てみると、なんだかあったことがある奴がいる‥‥‥
もしかして、今まで俺たちが討伐してきた奴らなのか?
しかしアンデットになるには早すぎる。
いや、早いと思うだけで、俺はアンデットになるための時間なんて知らない‥‥‥
もしかしてアンデットは、100万近く出てくるのか?
いや、そんな馬鹿な‥‥‥
俺は空間から出てきているアンデットに、これ以上、増えてほしくないから、空間自体をどうにかすることにした。
以前と同じように俺の魔力を空間に混ぜることにして融合させる。
しかし、操作している奴がいるみたいで、抵抗しているので素直に融合してくれない。
「くっ」抵抗する奴の位置を検索魔法で確認してみたが、普通の検索魔法では反応しない。
俺は魔法のパワーを上げていくと、奴は根負けしたみたいで俺の空間になったが、奴を検索するパワーを上げてみた。
「見つけたっ」
俺は、すぐさま、今まで空間を支配していた奴に対して、攻撃を仕掛ける。
「神の雷(いかづち)」という言葉が自然と出てきた。
今まで、こんな魔法、使ったことも、言葉さえ知らなかったのに‥‥‥
そうすると雲が多くなり、辺りを真っ暗にしてしまい、雲が渦巻いている。
渦巻く雲から一瞬だけ光が轟き雷になり、それが落ちて奴はあっけなく焼け死んだ。
しかし”神の雷”かぁ、雷魔法でも、威力が格段とある魔法みたいだ。
今までは魔法を使う時には俺から発していたが、今のは天から雷が落ちてきた。
どういう違いなのか、わからないけど、威力的は高いように思える。
これで空間を支配していた奴はいなくなった。
俺に支配権が移り、空間の口を強引に閉じることにする。
まだアンデットが出てきているが、空間の口を閉じていくので徐々に口が閉まっていく。
最後の方は、なだれ込むようになってしまうが、そんなの関係ない。
最期の奴、数体は空間の入り口に挟まった。
挟まった奴を介して強引にこじ開けようとする奴もいるので、俺は、出られないように、さらに魔法力を強めて締めた。
しかし、空間から出てきたアンデットは、80万を超えている。
アンデットは魔族もいれば、魔物もいるし、人も混じっている。
これ以上、散らばらないように早めに俺は討伐することにした。
俺を索敵魔法を展開してアンデットに集中する。
こんなところで時間をかけてしまうのは、惜しい。
「ターゲット、補足」
俺は80万に超えるアンデットの位置を補足して、魔法を発動する。
発動する魔法は、もちろん聖属性魔法‥‥‥
そうすると思ってもいないのに言葉が頭の中に浮かんだ。
「神の聖属性魔法発動」と‥‥‥
そうすると俺の目も開けておくことができないほどの、聖属性魔法が光だす。
俺は目を開けていられないが、検索魔法で捉えアンデットは逃さない。
前を閉じて左腕で顔を防いで光に対して防御する。
検索魔法で確認していくと、数千単位でアンデットが消滅している。
一斉に放った魔法だから、弱いやつほど早めに消えている。
今、やっと1万体のアンデットを消去できているけど、聖属性魔法を浴びて、アンデットが苦しみ、もがいて暴れている。
それでも神の聖属性魔法を強めていく‥‥‥
「‥‥‥」
検索魔法で確認しながら魔法の発動を続けている。
3万体のアンデットが霧散した。
こんなことをやっていたら、80万まで気が遠くなる。
俺が多重魔法を展開できないか、確認することにした。
今は聖属性魔法で霧散させているけど、
先ほど使った神の雷(いかずち)を多重作動させることにした。
俺は聖属性魔法を使いながら、神の雷を作動させる。
そうすると聖属性魔法で空まで明るいのに、急に暗くなって雲が渦巻き出す。
黒い雲の中で稲妻が走っている。
そして、俺はもう一つ魔法を発動させ、雨も降らせる。
しとしと降ってきた雨が、「ザーッ」と、どんどん多くなっていく‥‥‥
そして1発、巨大な神の雷を落とした。
周辺まで空気が、すごい音と共に衝撃波で揺れる。
俺がいるのは空中だから地面では地震が起きていると思う。
「ズドドドドドドドドドドドドッン」
言い表せないような衝撃波がきている。
自分でやっておいて「すごい」と思ってしまった。
二つの魔法を同時行使しても、体力的には変化はない‥‥‥
最近は魔力切れも起こすこともなく、普通に魔法を使える自分に驚きがある。
これも、例のせいなのか?
徐々に自分が、人から、そっちの方向になってきているような感覚があるけど‥‥‥
初めの頃はあんなに苦労して魔法を使っていたのに、今では、その数十倍? いや数百倍の力を使っても、びくともしない。
なんだか、必死だった昔が懐かしいような、いや、今はまだアンデットに集中しなっければ昔の余韻にひったっている時じゃない。
検索魔法で確認してみるとアンデットの数が、半数に減っている。
それでも、まだ半数を残しているが、俺は、先ほどと同じことを繰り返すのも、なんだし、違う魔法を選択して使ってみたくなった。
そうすると、またもや頭の浮かんできたのは、「神のフレア」という初めて聞く言葉だった。
フレアというのは言葉からして灼熱魔法といい意味だが、灼熱地獄ののようなイメージが湧いてきた。
まずは、単発で神のフレアを実行してみる。
範囲を決めて、発動するみたいで範囲を求めてきている。
なので、アンデットがいる範囲に絞って”神のフレア”発動する。
この魔法は何かが飛んで行ったり投げつけるような魔法ではないみたいだ。
俺は呪文を唱えたら、範囲を決めたエリアに、突然、すごい威力の火炎地獄みたいな光景になって、アンデットがうめき声を上げている。
すごい声が聞こえて悶え苦しんでいる。
そんな声を聞きたくはないから、俺は、さらに神のフレアを行使して早めに倒していく。
全く耳を塞ぎたくなるような声だ。
数発の神のフレアを発動することで、ほとんどのアンデットは昇天した。
いや地獄に落ちたというべきだろう。
人種は、何をして死んだのか、知らないけど、アンデットの多くは魔族と魔物だったから、おそらく悪いこともしているし、進行してきたのは、奴らだから‥‥‥
俺は確認のために検索魔法を展開して、確認をしてみるが、生き残りはいないみたいだ。
いや、いた‥‥‥魔族でも、魔物でも、人でもないものが‥‥‥しかも、そいつはアンデットでもない。
地面の奥に隠れている‥‥‥
俺がたまたま、地面まで検索魔法を広げなければわからなかっただろう。
奴は、まだ見つかっていないと思って、地面の奥に潜っているけど、地面を掘り返したあとがある。
そこだけ色が変わっている。
俺は、すぐに倒さないで、奴の行動を見ておくことにした。
しかし、ここにいなくてもできるので、俺はライオネル公国に戻ることを決意した。
戻る前に、奴をもう一度確認すると、奴の姿が露わになる。
その姿は‥‥‥
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