第542話 救世主への道

俺がやらねば、誰が、この世界を救えるんだ。


アリシアとの未来につなげるために行動するんだ。


俺自身よりもアリシアとの未来‥‥‥どこまで続くかわからない未来、そのために俺は行動することにした。


しかし、何を、どうしたらいいのか、わからない。


ということで、俺は、3つあるうちの、もう二つの隠し部屋に行くことにした。


何かを見つけなければいけない。俺は少し焦りを感じるけど慌てないように落ち着こうとしていた。


一応、隠された部屋に行くときにはリアムを伴って行くことにした。


しかし何かを見つけようとする時も試練だと思って乗り越えようと考えているが難しいことだ。


俺は隠された部屋の1つにリアムを伴って転移してきた。


魔法で明るくするが、足の踏み場もないほど雑踏としている。


何が置いてあるのか見てみると積み上げられた本が崩れているみたいだ。


俺は足元の本を手に取って近くにあった机に並べていく。


この部屋には机はあるが本棚が置かれていない。


あまり多くの本を机に積み重ねると読みづらくなるので床に本を積み重ねるようにした。


初めに手に取った本を読むために椅子に座って読んでみる。


リアムが「ご主人さま、ここには、参考になるような本は置いてませんよ」


「‥‥‥そういうことは早くいってよ」


「えっ、聞かれませんでしたよ」


「じゃ、リアム、もう一つの部屋の方は、どうなの?」


「えっ、そ、そうですね、行ってみましょう」


今度は知らないのか?


「それじゃ、もう一つの部屋に行こうか?」


「はい、行きましょう」といって、それぞれで転移する。


俺とリアムの2人は、暗い部屋に転移して魔法で灯りをつける。


あたりを見渡すと、ここの部屋は何もない、机の本も何もない‥‥‥


「何もないね」


「ないですね」


なんだろう? 何か、違和感がある。


しかし、見渡しても、何もないから、壁をぺたぺた触ってみるが、隠しているようなものもないし、


検索魔法で、確認しても、やはり同じだ、この部屋の置いていたものは全て、どこかに持ち去られたのか?


いくら調べても何もないし、魔法で確認しても反応はない。


これ以上、調べようがないので、戻ることにした。


「リアム、帰ろうか?」


「そうですね。戻りましょう」


俺とリアムは、また練習していた庭ではなく、自分の部屋に戻ってきた。


「リアム、ここにある部屋はなんのためにあるの?」


「えっと、一つは、ご主人さまに私を見つけてもらうためです」


「そうなの?」


「はい、目的は達成しました」


「それで、あとの二つの部屋は?」


「さぁ、先ほど本があった部屋はいったことがありますが、何もなかった部屋は初めて行きましたから」


「どうして、あの部屋は何もないんだろう?」


「えっ、そんなこと知りませんよ」


なんだか、ひどい言い方を猫にされた。


リムルは、ソファで寝そべって寝てしまった。


俺は部屋をドアを開けて部屋を出て、また転移した。


もちろん、転移したのは、先ほど行った何もない部屋。


部屋の中に灯りをつける。


俺の予想通りなら、ここには何かある。


しかし先ほど調べても何もなかったので、やり方が違うんだと思う。


先ほどは検索魔法で調べることしかしなかった。


しかし、以前、やった方法を試してなかったことに気がついたんだ。


その方法は基礎魔法を展開すること。


俺の基礎魔法を展開して、前は反応があったことがあるので、俺は、それを試しにきた。


しかし何もない部屋に戻ってきたが、期待はずれだったら落ち込みそうだ。


俺は部屋の中で魔法で明るくして基礎魔法を展開してみる。


しかし期待通りにはならなかった、何も起こらない。


おかしいな、何かが起きてもいいはずだけど‥‥‥本当に引越したあとの部屋なのかな。


もう、これ以上、調べようがないので俺は部屋に戻ることにした。


部屋に戻ってみるとリアムが丸くなって寝ている。


俺はリアムのそばに近寄り、ベットの上に腰掛ける。


どうしてリアムが俺のもとのきたのか?


俺が指図したとリアムは言っていたが、いつの時代の俺なんだ?


これだけは言えるが、今の俺じゃなく、数年後か数十年後の俺だと思う。


ということを考えれば数年後か数十年後は世界は存続している可能性があると言う事。


しかし未来なんて、いつ変化するかわからない。


未来が変われば本が消えていくように急にリアムが消えてしまうことだってあるはずだ。


俺はベットに丸くなって寝ているリアムを撫でてあげるとリアムは気持ちよさそうに手足を伸ばして横になった。


なんだか今までは神獣たちも獣だが、人型だし女性だから、人間として扱ってきたが、リアムはネコでありマントだから、親近感がある。


こうして撫でてあげることもできるし。


口さえ聞かなければ、本当に本物のネコだ。


俺はベットに座ったままの姿勢で寝転がり、手でリアムを撫でてあげる。


寝転がった俺の目は天井を見ているけど、本当にミニ城のような気がして落ち着かない。


城といえば、俺は思い出した。前世のアルベルトの時に住んでいたことを‥‥‥


あまりいい記憶じゃないが、ライラと過ごしていた日々を‥‥‥数ヶ月の期間だったと思うがライラは俺に優しくしてくれた。


背中に毒矢を打たれて剣でも刺されて、なんとかライラのもとに辿り着き、息だえてことを‥‥‥


この城が、俺の懐かしいどころじゃない記憶の底の傷をえぐり出す。


いつの間にか忙しさにかまけて忘れていた記憶。


悲しい記憶だ‥‥‥



しばらくして俺は、また先ほどの何もない部屋に転移してきた。


先ほどは検索魔法でも反応しない、また、基礎魔法でもない反応しないのに、ここに来た理由は、なんとなくだ。


なんとなく、ここにきて、前世のアルベルトの魔法を受け継いでいることを思い出したからだ。


ここの城は、新しい作りだが、3つの隠し部屋は古い。


前世のアルベルトの時にも、ここにきた記憶はないが、アルベルトから受け継いだ魔法を試してみようと思ったからだ。


俺は部屋を魔法で明るくして、今まで封印していたアルベルトの魔法を実行する。


アルベルトが使っていた魔法自体、俺は使ったことがない。


初めてアルベルトの魔法を使うことに違和感があるが、すんなり魔法を使うことができた。


アルベルトは、生前、魔法師として活躍して一国の、総大将になったことから、部下を指導する立場にあった。


その時に指導していたのが、俺がやっている基礎魔法とは少し違うが、同じようなものだ。


ということはアルベルトの基礎となる魔法は、やはり基礎魔法だろうと考えて使ってみる。


俺は自分の魔法を使うことなく、前世のアルベルトから受け継いだ基礎魔法を使ってみると、そうすると部屋の中に多くのものがある。


しかしアルベルトの魔法を止めると消えてしまう。


だから展開したままだと消えることがないんだ。不思議なことだ。


アルベルトの魔法を使いながら、消えないようにして、まずは目で見てみる。


一番は、なんだか光っている本があることがわかった。


どうして光っているのか、わからないが、その本に近づき手にとってみる。


光る本の背表紙を見てみると歴史書と書いてある。


著者の部分を見てみると‥‥‥


そこには消えかかった字がやっと読める程度だけど‥‥‥俺は愕然とした。


著者の欄に書いてある名前は、コリン‥‥‥


これは、コリンが書き示して、俺に残した本なのか?


俺は、そのことを知って、この部屋を結界魔法で覆って誰の目にも触れることがないようにした。


1ページへをめくると、そこには、「クリスへ、この本は、あなたのために書いた本だから、この本を今の旦那様に過去に持ってもらいます」と書いてあるんだが、旦那様?


過去に行けるような男性がいるのか?


そのことは置いておいて、先を読んでいく‥‥‥

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