第518話 1000年後の世界36
俺は見たくもない残酷なシーンを見せられて精神的なショックを受けている。
全ては、ウルフのやったことなのか?
どうしてウルフが、そこまでする必要があるのか?
なんだか、俺に関係することに秘められているような気がする。
その一環で両親は殺されたのか?
もう、何がなんだか、わからない‥‥‥
俺は過去のことを見せられて精神的なショックから早く寝ることにした。
こんな状態では狙われることもあるため、用心して俺たちは王から借りた部屋ではなく、魔法で作った空間で寝ることにした。
コリンもアリシアもジャネットも、全員が空間に移動して休養することにした。
俺は自分の部屋の中に入ってフラフラしながら、ベットに寝転ぶ。
ワームホールを通った時、開いていたのはウルフが、そこから入ったからだと思える。
俺はベットに寝転びながら腕を目に当てて、考えたり、しんみりしたり、寝付けなかった。
前世の記憶と能力を引き継いているけどアルベルトとは、あったこともないけど、本当に大変な人生を歩んできている。
悲しい人生だといえる。
そこにドアをノックする音がした。
「どうぞ」と声をかけながら、ベットの上から動かないでドアを開ける。
かなり強い精神的なショックを受けているからベットから動くことができない。
体が重たくて、どうしようもない。
しかし精神的なショックから頭は興奮してしまい眠ることができない。
そんな時に現れたのはアリシアだった。
「クリス、大丈夫?」
「あっ、アリシア、うん、大丈夫だよ」
「何があったの?」
「‥‥‥」
「言いたくないんだったらいいんだけど」
「いや、そうじゃないんだ、すごく精神的なものが大きくて」
「あの時だよね」
「うん」
「何があったの?」
「あのね、あの時、俺は以前あったことを誰かに魅せられたんだ」
「以前あったこと?」
「そう」
「以前って、いつ?」
「それは俺には前世があるって話しているよね」
「うん」
「その前世のときの話なんだ」
「うん、聞かせて」
「俺の前世のアルベルトの時に幼少の頃、親から捨てられた話をしたと思うんだけど」
「うん、聞いている」
「村に魔物が襲ってきて、その魔物を初めて魔法で倒したんだけど親からは奇異で見られて、翌日になったら親がいなかったと言う話をしたと思うんだけど」
「うん」
「それが違うみたいなんだ」
「どう違うの?」
「それがね真夜中になったら空いていた扉から男が入ってきて両親を殴って連れて行ったみたいなんだ」
「‥‥‥」
「連れていかれた両親は、生きたままでファイヤーボールで焼かれたみたいなんだ」
「‥‥‥」深刻な話になってきてアリシアの顔が変わってきた。
「だから両親は突然いなくなったわけじゃなかったんだ」
「‥‥‥」
「そしてもう一つ、俺が20代頃にガルシア帝国が攻めてきたと言う話をしたよね」
「うん」
「ガルシア帝国が攻めてきて俺が本陣のほうに帰ろうとしたら味方に毒矢を打たれたことが起きて致命傷になったんだけど‥‥‥」
「‥‥‥」
「日ごろからよく思っていなかった味方に男が金をやって俺を殺そうとしたみたいなんだ。その金を渡した人物が同じ人物だったんだ」
「‥‥‥」アリシアの顔が深刻な顔にどんどんなっていく。
「両方に関与した男の顔を見ることができたんだけど‥‥‥ウルフだったんだよ」
「えっ、どうして?」
「それはわからない。ウルフのやつがどうして前世のアルベルトの時に関与しているのか。その理由を皆目不明だ」
「‥‥‥」
「クリスは両親の死を知ってショックを受けているんだね」
「そうだね、初めは恨んだけど親だから、どこかに生きていればいいなと思っていたよ。持論、俺たちが生活している1000年後では生きてはいないけど」
「うん、そうだね」
「どうして俺の幼少の頃にウルフのやつが関係してきているのか。そして大きくなっても人に頼んでまで俺を殺そうとしたのか?」
「そうだね、どうしてウルフが、そこまで必要に狙う必要があるのか」とアリシア
「‥‥‥」
「ねぇ、クリス、以前、言っていたよね?」
「うん、何を?」
「アルベルトさんじゃなく、クリスの小さい頃に聞いた声が運命の子よって言っているって。それと関係があるんじゃない」
「でも、運命のこと言っているだけであって、何が運命の子なのかもわからないよ」
「声の主は、わかるの?」
「うん、たぶんだけど神クリスティアナだと思う」
「神クリスティアナ‥‥‥」
「そう、俺も1回しか会った事は無いけど、間違いないと思う」
「そうなんだ」
「俺たちが普段生活している1000年後の世界に戻ったときに魔族とウルフと戦ったたんだけど、ウルフがやられるところだったのに、もう1人の男が現れてウルフを助けたと思ったんだけど、その男がウルフを真っ二つにしてしまったんだ」
「へ〜」
「もちろん、その時にはウルフを助けたのは神だと思うんだけど、ウルフは神獣だからね、生き返らせる方法があるから殺したのかもわからないんだ」
「そ、そうなんだ、でも自分の仲間を簡単に殺してしまうなんて」
「俺も、その時はそう思ったよ。でも考えようによっちゃウルフを殺すことで強くなる可能性もある」
「そうだね」
「でもわからないことだらけだよ。本当に俺に、あのシーンを見せてくれた人物の考えがわからない」
「クリスに本当のことを知ってもらいたかったんじゃないかな」
「うん、その可能性はあるね」
「でもどこかで生きていてほしいと思っていた両親がウルフに殺されていたなんて、本当にショックだよ」俺は涙が出てきた。
アリシアが椅子じゃなくベッドに腰かけてきて俺の顔をアリシアの胸に当ててくれた。
「クリス、悲しまないで」
「ごめん、アリシアの両親も死んでいるのに‥‥‥」
「ううん、いいのよ、今の私の両親はいるもの」
「うん、そうだね、俺の親はアリシアの親でもあるからね」
「本当にクリスは、やる時はやるくせに、こんな時は、本当にダメなんだから‥‥‥昔のままだね?」
「そうだね、村の生活でアリシアから、いじめられていたからな」
「あれは、いじめじゃなく、クリスを鍛えていたのよ」
「えっ、そうなの?」
「うん、そうよ、決して弱いクリスをいじめていたんじゃないのよ」
「へ〜、初めて知ったよ」
「うん、初めて言ったから」
「そういうことにしておくね」
「うん、そういうことにしておいてね」
2人して笑いあった。
なんだか気分が晴れてきたような気がした。
俺はベッドから起き上がって「アリシアをかけて元気になってきたよ。ありがと」と言ってアリシアに顔を近づけて唇にキスをした。
そして俺は部屋から出ていくと目の前の部屋には、ジャネットとコリンも来ていた。
「クリス、大丈夫?」と心配そうなコリン。
「ご主人さま‥‥‥」とジャネット
「うん、もう元気になったよ」俺のあとをアリシアが出てきた。
コリンが「あ〜っ、やっぱりアリシアがクリスの部屋から出てきたあ」
「まぁ、まぁ、いいじゃないですか、ご主人さまを、なぐさめるのはアリシアさんが1番ですから」
これ以上、言わないようにジャネットがコリンの口を塞いでいる。
「ありがと、ジャネット」
「いえいえ」
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