第508話 1000年前の世界26
レリックを保管している部屋までたどり着いた。
土台があって、明らかに置いていると思われるものがない。
「盗られた?」
王が「いえ、クリス様、本物はこちらに‥‥‥」と言って土台の左側に回り鍵を取り出した。
「こんなこともあろうかと、仕組んでおいたことです」
王が座る前の台座には、わかりずらいほどの隙間がある。
「この仕掛けは、我が国の随一の魔法使いが作ったものです」
魔法使いというよりも、魔法使ってないし‥‥‥
小細工士という感じ。
王が取り出したのは袋。
袋を取り出したら、すごい魔力を感じた。
それじゃ、意味ないじゃん。
袋ごと持ち去ればいいわけだし、せめて動かせないものに魔法をかけろよ。
まぁ魔法が見えない人や、わからない人には何をしているのか、わからないだろうけど。
袋に魔法をかけて袋が開かないようにしているみたい。
魔法の掛け方に疑問を持って見ている。
王が扉から袋を取り出している。その袋の口元の紐を解いている。
「この袋は王族しか、動かすことも袋の紐を外すこともできないんです」
王族を空間から出て気が付いたが、なんだか王様の言葉が丁寧になっていることに気がついた。
でも自分からは言わない。
魔法がかけられている袋は自分の勘違いで、しっかり防御されているみたいだ。
しかし扉は開けられても袋を動かすことができない魔法なんてあるんだ。
固定化の魔法か、重力の魔法なのか?
そういえば固定化の魔法や重力魔法っていいな。使いようによっては、重力を強くすると動けなくなる。
王様が、袋を開けると中には青と黄色に光る石が入っていた。大きさは小さい。
小さいといっても5センチ位の幅はある。
「この石はラブラドライトと言う石なんですが、ダンジョンから持ち帰ったもので、これを握って未来を占うんです」
「へー、未来を占う?」
「はい、このガルシア帝国を建国できたのも、ラブラドライトのおかげなんです」
「その石が、このガルシア帝国の
「はい、ダンジョンから、この石を持ち帰り、何をする石なのか、初めはわからなかったんですけど、ある時この石を手のひらに握って目を閉じて集中してみたんです」
「へー」
「そうすると頭の中には城のイメージが湧いて、どうやれば建国できるのかという事まで教えてくれたんです」
「へー、すごいね」
「もし、よかったら、触らしてくれる?」
「はい、いいですよ」と王様
俺の手に石を置いてくれた。
俺が、先ほど王が言ったように集中して石を握ってみる。
あれっ
俺が石を握っているイメージが頭の中に流れてくる。
うん、どういうことだ?
でも、周りを見ると、こことは違う。
俺は目を開けた。
周りを見渡すけど、やっぱりこことは違う。
「どうされましたか? 何か見えたんですか?」と王が聞いてくる。
「ちょっと待って、頭が混乱してきた」
もう一度、石を握って集中してみると、頭の中には、俺が石を握っているイメージが頭の中にあるんだけど、目の前には、いくつか石みたいなものが置いてあって、形や色が違う。
そして、石を一つとり、手に握って魔力を込めている
うん? 何をしているんだ?
もしかして魔力をこめている?
俺は立っているけど、足から力がなくなって座り込んでしまった。
「クリス、大丈夫?」とアリシア
「クリス、顔が青いよ」とコリン
「クリス様、大丈夫ですか?」と王様
もしかして先史文明とか、アーティファクトだと思っていたのは、全て俺が作ったもの?
考えるとワームホールを確認したと言うことで考えていなかったんだけど、過去にも未来にも行けるのがワームホールだ。
行けるのは何も1000年前だけじゃない、ということが、いつの時代を選んだのか。わからないけど、ある時代に俺がいき、そこに綺麗な石を集めて、それぞれに魔力を纏わせていた?
物にも魔力を入れることは知っている。
それを俺の時代の魔法使いは杖として利用している。
だって、その辺で拾ってきた杖が、魔法使いが使ったって魔法が使えることはない。
なんの素材でできていたって、木の棒は木の棒に変わりはない。
それに魔力を注ぐから、魔法の能力がある人が魔法を使えるわけだ。
ということはアリシアが、俺が作った何かを持っていると、俺と同等の魔法が使えるということになる。
あとは、何に、なんの魔法を込めるかだな。
「クリ‥‥‥」
「クリス‥‥‥」
「ちょっとクリス、大丈夫?」
「はっ」
「もう、さっきから何回も読んでいるのに」
「ごめん、ごめん、ちょっと集中しすぎちゃって」
「と言う事は何かわかったのね」とアリシア
俺は石を王に返して、また、同じところに置いてもらった。
「じゃ、この台座の上にあったものは?」
「それは偽物を置いていたんですが、盗られているみたいです」
「やっぱりウルフは、ここにきたんだ」
「はい、そう見たいです」
「それでクリス様、何かわかったんですか?」
「うん、少しね、もう戻ろうか?」
そして、今度はみんなを連れてジャネットがいる部屋に転移してきた。
瞬間転移が、はじめてだった王族はびっくりしていた。
でも、嬉しそう。
俺はジャネットに念話で話をする。
『ジャネット、今、未来を予知する石を持って見たんだけど』
『はい、それが、どうしたんですか?』
『どうも、今より過去に遡って俺が作ったみたいなんだ』
『えっ、ご主人さまがアーティファクトの製作者ですか?』
『うん、そうみたい‥‥‥いつの時代かわからないけど、俺が過去に遡って作ったのが、ばら撒かれて見つかっているみたいなんだ』
『もう、ご主人さま、なんでもありですね』
『まぁ、今は、そこまで行かないけどね』
『ご主人さまなら、できますよ』
『そうだといいけどね』と言って念話を解除した。
ジュリアス伯爵とロバート男爵は喋れないようにタオルを巻かれていて縛られている。
「この2人は、どうしますか?」
「もちろん、裁判にかけて、領地も没収になって貴族位も廃止して家族は、他の家に預けられるが、家族が関係しているのが、どこまでか、わからないから調査が必要になる」
まずは経緯から説明することになった。
先ほどは俺の事ばかり聞かれたので話す暇がなかった。
王様とエイプリル、ダイアナ、ハロルド、エリオットそしてヒルダが目の前に座っている。
全員に、今までのことの顛末を話す必要が出てきたので、コリンが喋ってしまったから本当のことを話すことにした。
まぁメンバーに言わせると俺は必要以上に隠してしまう傾向があるためコリン先生が判断して話したみたいだけど、うちのメンバーって口が硬くないような気がする。
俺たちアリシア、コリン、ジャネットの3人というか、ほとんど俺が喋らなければいけないと言うのは辛いよね。
「今から話すことは本当のことですけど、俺たちはある人物を追って1000年後からきました」
「えっ、1000年後?」とヒルダ
「本当なの?、嘘でしょ?」とエイプリル
「そうよ、お姉さまのいう通り、そんなことがあるわけじゃない」とダイアナ
まぁ、そうなるよね
「何か証拠があるんですか?」とハロルド
「証拠?」
「はい、1000年後からきたと言う証拠です」ハロルド
「う〜ん、何もないな」考えても何も証拠はない。
「じゃ、信用できないじゃないですか?」とエイプリル
王様が「わしは、証拠がなくても信じている」
「お、お父様?」エイプリル
「この国でも、世界中、どこでもわしの手配しておる者がおるが、そういう情報は一切ない」
「つまり?」エイプリル
「ここにおるクリスどのは、この世界の者ではない、わしは情報を集めるのに資金を投資しておるが、そのような情報は入っていない」
「信用してもらうために、1000年後のギルドカードを見てください」
「でも、本物かどうか確かめることもできませんよ」と言いながら全員が俺のギルドカードを覗き込む。
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お読みくださりありがとうございます。
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本当に多くの方の支援には心より感謝しております。
そして、何よりも小説を書くための励みになっています。
誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っています。
また意味不明な文章があることもありますが、なにぶん素人が書いている文章です。お知らせくだされば、訂正しています。
この物語は異世界の物語です、現実世界とは違いますので、その点はご容赦ください。
あくまでもファンタジー小説です。
前世の悪い記憶を持つ小心者の主人公が成長していく物語です。
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