第440話 国を強くする

昨日は、魔族も学園に出現して、騒動になった。学園だけの講師のはずが、国を守る兵士と騎士の強さを見ることになってしまった。


国を守るのは、現場の指揮官の強さもあるが、兵法と言うことは、座学でやっていると思うので、俺たちがすることは、いつも練習でやっていること。


つまり基礎魔法だ。


俺たちはシャーロットから言われた場所まで瞬間転移して現れた。


軍が練習に使用する広大な土地が見える。


今回は、上官だけにして、その上官がしたのものに教えることになった。


だけど、年齢も俺の父親よりも上で、おじいちゃんみたいな人ばかりいる。


その中に、以前、魔物が瘴気の箱から出てきた時に、指揮していた人が俺の前に挨拶にきた。


「クリス様、あの時は、ありがとうございました、そして、この度はよろしくおねがいします」と頭を下げられた。


「はい、こちらこそ、頼みますよ」と俺は簡単に挨拶した。


う〜ん、こんな人の前に戦闘現場でもないのに、言葉を交わすのは、難しい。


戦闘現場で言う方がいいよね。


「じゃ、みんなを集めてください」


この場では、俺の方が上官で、挨拶にきた司令官は副官になるので、副官になった司令官に、命令を出す。


「今日は、俺が、みんなに指導していきますが、俺のメンバーが直接に、みんなに指導していきます。

そして、メンバーにはシャーロット姫もいますので、よろしく頼みます」


「模範として、シャーロット姫と、俺とで基礎魔法をお見せします」と俺が言うと、


「えっ、そんなの聞いてませんよ」と言うシャーロット


「まぁ、まぁ、いいから」と俺


シャーロットがメンバーのみんなの顔を見るけど何も言ってくれないし、アリシアがシャーロットを押し出す。


押し出されたシャーロットは、仕方なく俺と距離を保つ。


なんだか、シャーロットは自身なさげ。


「シャーロット姫は、俺たちのメンバーですけど、初めは魔法は使えませんでした。

シャーロット姫が、俺たちと出会い、しばらくして、どんどん、上達して今に至っています。

これからは、俺が攻撃魔法をシャーロット姫に向けて放ちます。

それをシャーロットは、これから練習する基礎魔法で防いで見せます。

シャーロット、準備は良い、基礎魔法を展開して‥‥‥」と俺が言うと、シャーロットは基礎魔法を展開した。


「皆さんの目には見えないと思いますけど、シャーロット姫は、基礎魔法を展開しています」と説明していると


「ちょっと待ってください、クリス様、大丈夫ですよね」とシャーロット


「うん、それは君が練習をしっかり頑張っているから、大丈夫と思うよ」


「‥‥‥思うって‥‥そんな‥‥‥」とシャーロット


「じゃ、行くよ」と言って俺は普通のファイヤーボールを作った。


それをシャーロットに向けて放つ。


シャーロットにすごい勢いで飛んでいき、シャーロットが燃やされる。


「きゃっ」とシャーロットが悲鳴をあげて目を閉じる。


しかし、燃やされたのも一瞬で、すぐに消えた。


みんなが、驚きの声をあげる。


「おおー、すごい」

「さすが姫様だ」


シャーロットがゆっくりと目を開けると、炎が霧散するところだった。


シャーロットは落ち着きを取り戻して、ほっとしている。


「もう、クリスさまぁ」と怒り声。


「このように姫さまでさえ、基礎魔法で防ぐことができます」


「さえってなんですか?」とシャーロット


そこに遅れていたアルバート王子が来た。


「すいません、遅れました」と王子は俺のところに来て言う、俺が挨拶をしようとしたら、シャーロットが「お兄様、クリスったらひどいんですよ、私を見本にクリス様が攻撃したんですよ」


「えっ、本当かい? それは、すごいな見てみたかったな」


「えっ、もう2度とごめんです」と言って、他のメンバーがいるところに行ってしまった。


「クリス様、もう少し、 お手柔らかに‥‥‥」とアルバート王子


「うん、それもあるけど、自信がついたんじゃない。

なんと言っても俺からの攻撃を防いだんだから」


「‥‥‥手加減は‥‥‥」


「それは、もちろん」


「でしょうね」とアルバート王子


シャーロットは、みんなのところに戻って、楽しそうに話をしている。


「じゃ、やりましょうか?」


「ええ、そうしましょう。将軍、みんなを集めてください」と王子


へ〜、あの人、将軍なんだ、と今頃のように思う。


みんなは俺の周りに集まる。


結構な人数がいるけど、メンバーが手伝ってくれるから大丈夫だと思う。


俺が中心に歩み出て「これからやるのは、基礎中の基礎の魔法ですから、それを習得してもらうことが最低限ですから、俺と同じようにしてください。

一つずつ説明していきますよ。

今回のことをできないと、下の人から追い越されますよ。

じゃ、やっていきますよ」と言いながら、俺は基礎魔法を展開していくけど、みんなは見えない‥‥‥う〜ん、どうしよう


「ちょっと待ってください」と言って俺は、近くの森に瞬間転移して、枯れ木を集めてきた。


その枯れ木を地面に置いて、火をつける、と煙が出てきたので、腕で口を塞いで煙たさを我慢する。


そうしたら後ろから、シャーロットが、持ってきていたスカーフを巻いてくれた。


「ありがとう、シャーロット」


「いいえ、どういたしまして‥‥‥」


俺は、口元は大丈夫だけど、目がシバシバするのは、しょうがないから、早めにやってしまおうと思う。


「ケホンっ、いいですか? 煙の動きを見てください」と言って俺は魔力を集める。


魔力の動きと煙の動きが起きて、渦を巻くようになって見える。


「はい、これが魔力の動きです」と言って、火を消した。


腕のところを 匂いを嗅いでみると煙の匂いがプンプンしてしまってシャーロットから借りたスカーフも匂いがついてしまった。


借りたスカーフをシャーロットに返しながら「ごめんね、せっかく借りたのに、煙の匂いがついてしまって」


「いいえ、大丈夫ですよ」


と言うところをアルバート王子は、しっかり見ていて、口の横が上がった。


ちょっとアリシアの頬が膨れることになった。


「皆さん、今の煙の渦をイメージしてください。簡単には、いきませんけど、日々の鍛錬がものを言います」


「 一番、大切な事はイメージすることなんです」と言っても、今一つだな。


「う〜ん、どうしようか?」と声に出してしまう。


これじゃ、だめだ、時間が足りない。


「メンバー集合!」と声をかけた。


「えっとね、君たちの手を借りたい」と俺が言う。


「えっ、手を?」とアリシア


「そう、手を」


「どうするの?」とソフィア


「 列を作って全員を習わせるから、それぞれにお腹に手を当てて魔力を流してほしい」


「あっ、わかったわ、クリスが 私たちにしてくれた方法ね」とアリシア


「そうだよ」


女性たちの13人がまっすぐに横に並ぶ


「皆さん、今から個別にしますので、えっと、十三の列を作って並んでください」


えっ、俺はしないよ、だって列がゼロだったら、どうするのよ?

もう立ち直れないよ、というか男の腹なんか触りたくないし‥‥‥


一番、人気があるのは、やはり自分の国のシャーロット姫みたい。


高齢の将軍たちは、アレク、アデル、エイミー、アイリスに並んでいる、まぁ孫か、ひ孫くらいだからな。


みんな人気があってよかった。


イザベラも不思議と人気があるみたい。


シャーロットの次に多かったのは、意外にもコリン。


みんな勇者物語の作者だって知っているみたいだね。


意外にも少ないわけじゃないけど、アリシアが、少ない‥‥‥あれっ、どうしてだろう。


俺がアリシアの横に近づいていると、一人の将軍が、「やっぱりクリス様の幼馴染ですね、勇者様の婚約者に、失礼のないように注意いたします」と告げたので、アリシアは顔を真っ赤にして俯いている。


それを聞いていたメンバーの全員が、むぅっと頬を膨らませる。



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💚 お読みくださりありがとうございます。


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この物語は異世界の物語です、空想の物語ですので混同されることがないようにしてください。


🍎 基本的に週末に連続で投稿していきますので、よろしくお願いします。

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