第426話 クリス復活

俺は、奴から胸にビームを打たれて、どれくらい立ったんだろう。


気がつくとアリシアに膝枕して寝ていたみたい。


「!、ん‥‥」と目を開ける。


「あっ、クリス‥‥‥大丈夫?」


「ぁ‥‥‥」声が出ない。


念話で(うん、少し気分が悪いくらいかな)


「あ〜、よかった、もう心配させないでよ」とアリシア


クリスが話しているのを聞いてアリシアの横にセラフィーナが来て


「クリス様、、お加減はどうですか?」とセラフィーナ


俺は言葉が出にくいから念話で(うん、心配かけたね)と答えた。


「ほんとうですよ、もう、びっくりしましたよ」とセラフィーナ


(ごめんね。他のみんなの状態は、どう?)


「パトリシアさんだけが、まだ目を覚ましてません」


(そうなんだ‥‥‥でも、もう少ししたら目を覚ますよ)


「はい、わかりました」


そこにシャーロットも来た。


「クリス様、気分は悪くないですか?」


(うん、少しずつ、よくなってきたけど、お水をくれる?)


「あっ、お水ですね」と言って近くに置いてある、水入れを見つけて「え〜と、どうしましょうか?」と言っているからアリシアが「お水を貸して?」と頼んで水をもらい、アリシアが水を口に含んで、俺に口移しで飲ませてくれた。


「あっ、アリシア、言ってくれれば私がするのに‥‥‥」とシャーロット


「私もクリス様にお水を差し上げたかったです」とセラフィーナ


「へへん、早いものがちだよ。迷っていたシャーロットが悪い‥‥‥」とアリシア


「もう、今度、お水が欲しい時には、私に行ってくださいね、優しく、お水を差し上げますので」とシャーロット


「私にも、その時は、言ってください」と焦った表情をするセラフィーナ


言葉は出にくいけど、指が少し動かすことができるようになった。


手を握ったり、開いたり動かす。


3人とも、俺の指の動きを見ている。


「やっと指が動かせるようになりましたね」とセラフィーナ


「ほんとだね」とシャーロットも安心した様子。


「一時は、どうなるかと思っていたよ」とアリシア


「ほんとうに心配しました、背中にはいっぱい血が流れていたから、本当は、私もクリス様の元に行きたかったんですが、アリシアにお任せしたんですよ」とセラフィーナ


「ほんとうですよ、もう、アリシアが、あんなに取り乱すなんて、びっくりしました」とシャーロット


アリシアは顔を赤くして「それ、言わないでよ、もう、恥ずかしいじゃない」と、頬をプクっと膨らませて怒った表情をする。


「でも、私、ちょっと見ていましたけど、アリシアって聖属性魔法を使えるんですね」とシャーロット


「えっ、私が?‥‥‥」


「ええ、気が付きませんでした?」シャーロット


「うん‥‥あの時は、クリスが死んじゃうって思ったから‥‥‥」


「それで、あんなに目を瞑っていたんですね。でも、あの時、手から聖属性魔法の輝きが出ていましたよ」


「へ〜そうなんだ」とアリシアは、自分の手を見ている。


「それだけ、クリス様のことが好きなんだってことですね」とセラフィーナ


アリシアの顔が真っ赤になる。「もう、やめて、それ以上、言わないで‥‥‥」


(アリシア、ごめんよ、心配かけたね)


「‥‥うん、よかったよ」とアリシアと安堵の表情をするけど、短剣のことは気が付かれなかった見たい‥‥‥たぶん、知っているのはクリスだけ、でもクリスも何も言わないから、私も言う必要はない‥‥‥


クリスは、話し疲れたのか、眠ってしまった。


また、私が膝枕しようかと思ったら、「あっ、アリシア、今度は変わってよ」とシャーロットが言い出した。


私はしょうがないから、シャーロットに代わってあげた。


膝枕をシャーロットに代わってあげたら、シャーロットはクリスの頭を持ち上げて、自分の足の上に置いて、クリスの頭を撫でている。


優しい目をしたシャーロット‥‥‥


「しばらくしたら、今度は私の番ですよ」とセラフィーナ


独占したいけど、みんながクリスのことを好きなんだ。


と思っていたら、あとからソフィア、イザベラ、コリン、そして回復したジャネット、ロゼッタ、アレクまでが順番って言い出した。


アデルやエイミー、アイリスまでもが、自分も‥‥と言いたそうな顔をしている。


そして目を覚ましたパトリシアまでが言い出す始末。


もうっ、私の番は、いつになるの?


代わりばんこで、クリスを膝枕で寝かせることにしたけど、クリス、あれでねれるかな? 心配。


私たちは、メンバーが全員、クリスを膝枕したので、ロゼッタが作り出したベットに、ジャネットがクリスを空中に浮かばせて運んだ。


やっぱり、今いる空間は前とは違うみたい、だって部屋がないから。


前の空間は、それぞれの個室があったし、トイレに行く扉もあった。


でも、この空間には、初めは何もなかった、トイレに行く扉さえない。


でも、ロゼッタがベットを作り出すことはできたから、床に座っておくのも、なんだからと言って、ロゼッタとジャネットが協力してテーブルと椅子を作ってくれた。


テーブルの上に食料も置いて、時々、食べている。水もあるし。


あれからどれくらいの時間がたっただろう。


随分、長く時間が経過したように思えるんだけど、ボールドウィン王国の王にも報告しないといけない。


でも、一番、詳細を知っているクリスが、目を覚さない。


ジャネットがクリスの状態を見てくれたけど、良い状態だそうだ。


だから、もう少し待つことにした。


みんなする事もないから、テーブルに伏せて寝ている。


私も限界‥‥‥眠くなっちゃう‥‥‥



私が寝てから、どれくらい時間が経っただろう?


「アリシア」と言いながら、私の体をゆする存在がいる。


「んっ、だれ?」


「アリシア、俺だよ」と言う、「もう、誰なのよ?」と怒りながら言うと、「俺だよ、クリスだよ」って言うから、私は急速に微睡まどろみから目が覚めた。


「っ、クリス?」と言って、声の方を見ると、クリスが立っていた。


「あれっ、クリス、もういいの?」と聞くと


「うん、もう大丈夫だよ」って言うじゃない、私、びっくりしたわよ。


だって、さっきまで、回復したって言う割には、すぐに寝てしまうし、まだ、良くないのかな?って思っていたのに‥‥‥。


クリスを目で追うと、他のメンバーを起こしている。


いつものクリスだ。


でも、いつものクリスだけど、いつもと、ちがう‥‥‥


「えっ、なんですか?」と寝ぼけまなこのアデル


「えっ、ご主人さま?」とアイリス


「あっ、おはようございます」と寝ぼけてアレク


全員がクリスを見て、シャッキ〜んとした


ジャネットが「クリス様、もうお加減はよろしいので」


「うん、心配かけてね、みんな」


「ほんとうですよ」と言いながら全員が涙を流す。


「うわ〜ん、よかった」と泣きながら言うエイミー


「ほんとうに」とパトリシア


「これでこそ、ご主人さまです」とアレク


一人が席を立つと、全員がクリスで抱きつき、泣き出す。


‥‥‥


しばらく泣いていると、クリスが「さあ、泣き止んで、王様に報告しなきゃ」と言う。


「敗戦の報告を‥‥‥」と私たちが泣き止むまで待ってくれる。


全員の目と鼻が赤い。


それじゃ、行く前にとクリスが言うと、パッと視界がクリアになった。


自分では見れないから、他の女の子の方を見ると目の赤さも取れて鼻も赤くない、うわ〜、こんな事もできるんだ。


「じゃ、みんな、行こうか?」と言うと一番に私よりもイザベラがクリスと手を繋いだ。


私もクリスと反対の手を繋ごうかと思ったら、ソフィアが繋いだ。


えっ、と思ったけど、しょうがないから、クリスの右腕を掴んだ。


全員がクリスのどこかを掴んでいる。


もう競争率、高いな〜 でも全員がクリスのことを好きなんだね。

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