第427話 クリス復活2

私たちは、どうしてかわからないけど、鏡を通さないで、お城の研究施設の中に出てきた。


後ろを振り返ると、鏡は割れている。


クリスは後ろを振り返る様子もなく、知っているのか、わからないけど、部屋の外に出る扉に向かって歩き始める。


いつものクリスとちがう。 なんだろう、この感じ。



私たちが、研究室のドアを開けると、横には8人の兵士の人が立っていた。


「あれっ、もう良いんですか?」


「うん、ウルフと戦って、負けちゃったから」と言うクリス


他の兵士の人が「でも、戦ってって言いますが、私たちが、ここの警備について、まだ、数秒ですよ」


他の兵士が「そうですよ、先ほど、握手してから、1分も経っていませんよ」


「えっ」と疑問に思う私


「他の兵士の人が、「私も先ほど、サインをいただきましたが、あれからほんとうに1分しか経っていませんよ」と言われた。


クリスは「鏡の中とは時間が違うんでしょう」と言って肩をつける。


こんなクリス、初めてだ‥‥‥いつもは、たぶん、こんなことは言わないと思う。


クリスに何かしら変化が起きている予感がする。


まさか、クリスじゃないってことはないよね!


ウルフが憑依しているなんてことはないよね!


私が、そう思っていると、クリスは兵士の話を切り上げて歩き始める。


しばらく歩いていると、急に立ち止まって、「みんな瞬間転移するよ」って言ってきた。


全員で手を繋ぎ、私はクリスと手を繋いで、繋いだクリスの手は以前よりも暖かかく、安心する手だ、私の取り越し苦労だったみたい。


クリスと手を繋ぐと安心する。私が手を握るとクリスが、みんなが見ているからか何も言わずに私の手を握り返してくれた。


私たちは、瞬間転移して、借りている部屋に戻ってきた。


そして王を呼ぶ前に、クリスから話があると‥‥‥



「みんな聞いてくれる?」


「さっき、兵士の人が言っていたことだよね」とアリシア


「うん、そうなんだけど、俺は自分で作った空間の時間を止めたんだ」


「えっ、時間を止めた?」とソフィア


「そう、時間を止めたんだ」


「そんなことができるの?」とイザベラ


「うん、それができるんだ」と俺は、それ以上の説明は控えた。


「今は、これで納得してほしい、また、時間ができたら話から」


「‥‥‥うん、わかった」とアリシア


「今から王の元に全員で行くけど、俺たちが、兵士の人たちが言っていたように、時間の経過を抑えているから、たぶん、5分も経っていないと思う時間なんだ」


「王様から研究室まで飛んで行ったらからだね」とアリシア


「ほんとうのことを言うと、俺たちが、あの空間にいたのは、7日なんだよ」


「君たちが俺をベットに運んでくれて、あれから7日経過しているんだ。

俺はそれから、俺の回復するまで、7日要したわけだけど、俺は時間の経過を抑えるために睡眠魔法を使って、全員を眠らせたんだよ」


「あの時、全員の消耗が激しかったからね」


「と言うことは私たちは、7日間寝ていたと‥‥‥」とセラフィーナ


「そういうことになるね」


「はぁ、すごいですね、私、今まで7日も連続して寝ることなんかしたことないですけど」とシャーロット


「私もよ」とイザベラ


「で、その帳尻合わせのために、魔法を使って時間を操作したからね」


「よく、そんなことができたわね、まるで神みたいに‥‥‥」と呟いた瞬間、シーンとなってしまった。


「‥‥‥まさか‥」とアリシア


「当然ですね」となぜかジャネットが言う。


「そうだね、ご主人さまは、今まで、その力を使う事なく、封印していたのじゃから」とロゼッタ


「神の力を封印って」とアリシア


「もちろん、その言葉通りだね」とパトリシア


「みんなは知っていたの?」と神獣たちに聞く。


「はっきりとではありませんが、みんな薄々と感じていました」とジャネット


「そうじゃな、どうしてご主人さまが神の力を使わないのか?わからんじゃった。神の力は万能じゃな」とロゼッタ


「私たちもあれだけ、やられれば回復までに時間がかかるからね」とアレク


「そうじゃな、まぁ、ご主人さまが一番、ひどく奴にやられていたからの』とロゼッタ


「そうだね、あれだけやられれば、回復まで時間がかかるよ」と俺


「まぁ、なんにしろ、よかった、これでご主人さまが万能になったのじゃ」とロゼッタ


「ご主人さま、どうして今まで神の力を封印なんてしたんですか?」とジャネット


「それはね、使い方がわからなかったからだよ。

あまりに強い力が、使い方がわからないなんて‥‥‥どうしようもないよ」


「まぁ、そうだよね、クリスが変わったのって、ここ2年くらいだから」とアリシア


「うん、そうだね、ほんとうに」


「さぁ、人を呼んで王に会えるか聞いてみよう」と部屋の扉を開けると、どうしてか、王とエレノアが立っていた。


「今の話、聞こえました?」


「うん、少しな」と王様


まだ、復活したばかりだから完全には能力を使いこなせない‥‥‥からのミスか。


うっかりしていた、でも、聞かれたなら、もうしょうがない、隠している必要もないから。


王が「貴殿には、色々と隠す必要があることが多いのだな」


「ええ、まぁ、王様、他言無用に願います」


「それは、わかっておる、でも、もう少し話を聞きたい」


「はい、わかりました、、中へどうぞ」


「いや、貴殿たちが帰ってきたと報告があってな、急いできたわけだけど‥‥‥」


「王様、 率直に言いますけど、俺たちは奴と戦って負けました」


「なんだって?、負けた」と王


「はい、負けました」


「貴殿が負けるとは、それほどの奴と言うことなのか?」


「はい、悪巧みなら、超一流です」


「そんな奴らに、敵対しなければならないのか?」と王


「そうなりますね」


「クリス様、詳しく話してくれませんか?」とエレノア


俺たちは、鏡にいく話から、全て、話した。


「なんと、鏡の中の世界?」と王


「魔法の鏡の中なんて、すごいですね」とエレノア


「 うん、俺たちも初めて鏡の中に入ったからわからないことばかりだけど、どうもウルフと、もう1人の奴にしてやられた」


そこで怪我が治っても洋服にはぽっかりと穴が開いて血がついているので、それを見せることにした。


「クリス様、大丈夫ですか?」とエレノア


「な、なんと‥‥‥そんなことになっていようとは‥‥」と王


二人は驚いている。


「これから、どうすれば良いのだ?」と王


「 今回は、鏡の中で戦ったため、鏡の中は初めてでしたから奴ら2人の独壇場でしたね」


「しかし、今回で魔法の鏡の中のことは、少しですが、わかりましたので、次は、奴らの思惑通りには行かせません」


「次回には、何か、考えがあると言うことだね」と王


「そうです、しかし、鏡の中は、1回目と2回目には形が変わっていましたから、手こずるでしょうが」


「鏡の中が変わる?」


「はい、魔法の鏡の中は巨大な部屋なんですが、その部屋が長方形になったり、変化していました」


「王様、エレノアの一度、魔法の鏡の中ではありませんが、理解しやすいために、安全な俺が作った空間に、ご招待しましょう」と俺


一度、見た方が、言葉で説明するよりもわかりやすい。


「‥‥‥頼む」と言って王とエレノアを空間に瞬間転移させた。もちろん、俺も行く。


「うわっ、なんだ、ここは、あたり一面、白で、どこまでも続いているぞ」


「あっ、これが、リッチェスト国の前に使った空間ですか?」とエレノア


「そうだね、よく知っているね」と俺が褒める。


「 それはクリス様のことは知っていますよ。帰ってきてからも、お父様に言って本を借りて、また、呼んでいますから」


「そうだな、何回読んでも、面白いからな」と王


「そうですね」とエレノア

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