第405話 ボールドウィン王国の亡霊

俺は、自分の国に対する思いを行動で示してこそ国を支配することができると考えている。


もちろん、俺たちは自分の資金を使えばお菓子を大量に買うことは可能だけど、俺たちの国じゃない。


自分の国を守ることもできないで、王様とはいえない。


そして、第一継承権の王子、第二継承権がある姫も殺されているから、あと残るのは、まだ、幼いエレノア姫しかいない。


今、王の権威を示すチャンスでもある。


俺たちは、それに協力したと言う形にしたい。


俺たちが主導じゃダメなんだ。


そして、貴族がいるから、前回のようなことは避けたいと思う。


国を建国した時の国に対する貢献度合いで、貴族になれる訳だから、そんな貴族生活が長くなればなるほど、でしゃばってくるから、大変なことになる。


貴族になっても年数が経てばいい貴族もいるけど、悪くなる貴族の出てくる。


今まで多くを経験してきたから言えることだけど、俺は権力闘争なんか、興味ないからね。


貴族だって、領地を統治できなければ無能呼ばわりされることもあるから。


ボールドウィン王国の王様も自分の国を守れる王だと証明しないといけない。


じゃないと、貴族が黙っていない。


ついてくる家臣もいれば、そうじゃない家臣もいるから。



俺はボールドウィン王国の王に対して、他国に頼る必要もあるから、どうするか聞いてみた。


この国の口にできる食べ物は、汚染されている可能性があるから、他国から持ち込むのが手っ取り早い。


ということは、、俺がお菓子を売っている店に行って、ぜ〜んぶください、というのも良いかもしれない。


そうだな、ボールドウィン王国が他の国に貸しを作るよりも妥当だろうな。


「王様、ちょっと時間をもらえますか? 今から数カ所を回ってお菓子を買ってきます

お菓子は、そうですね、お米でできた甘いお菓子を買ってきましょう、まぁ、あればですが」


そこに神獣たちが、水を出す作業から帰ってきた。


「はぁ、疲れたね」と言いながら。


「ねぇ、みんな疲れているところ悪いけど、もう一働きしてもらえないかな」と俺が言うと、「その前に何か、食べさせてください」とパトリシアが行ってきた。


「ここでは無理だから俺たちの部屋に行こうか?」


部屋に入って扉を閉めると「お腹が減っていては、瞬間転移も集中できなくなるからね」と行って熱々の食事を異空間収納から出した。


流石に、他の人も空腹だと思うけど、もう少し我慢してもらおう。


そこに休憩のため、アリシアを筆頭に全員が帰ってきたので、全員で食事をする。


「はぁ、疲れましたね」とアデル

「うん、もう、ヘトヘトだよ」とアレク

「お腹、減った〜」とコリン

「さぁ、食べましょう」とアリシア


「みんな、大変だけど、頑張ってね」と俺が言うと「は〜い」と返事をしながら、モグモグ食べている。


うちのメンバーが、一番、働いているからね。


でも、俺たちは、本当に国家にかかわることが多いから、冒険者らしいことはしていない。



俺たちは、冒険者だけど、王と綿密に連絡を取ることも重要なことだと考えている。


と言うのは、王様は、今は、いいだろうけど、いつ、俺たちのことを変に言う人がいる可能性もあるからだ。


物語で読んだことがあるけど、どこかの宗教集団や教会が、『あの女は魔女だ』と勝手に決めつけて火炙りに合わせたらしいから、俺のことも、いつ、あの男は魔王の成り代わりだとか、言われる可能性があるんだから。


言った奴も、おかしいけど、疑いと言うのは、本当に人をおかしくしてしまう。


今までも、国の王様だったり、貴族だったり、変なことをやらかした奴は見てきている。


あまりに強すぎる力は、恐怖でしかないから。


俺を必要としている時には、俺に奉るけど、いざとなったら、敵に回るなんて話は、普通に起きていることだと思うから、物語だけでは済まない。


あまりに強すぎる勇者としての力を、どうするのか? どうやって使いこなしていくのか、今は、敵がいるから大丈夫だと思うが。


もしかして、俺を狙うことはできなくても、メンバーを狙うことだって普通に起きることなんだ。


前世の俺のように、いくら強くても不意打ちや数で責められると、ダメな場合もありうることなんだ。


誰が王に逆らうことができるのか? その王に意見するものがいれば、そいつも悪く見られてしまう。


人の心なんて、そんなものだ。


何を信じていいのか? 



もしかして、そんな考えがあるから、ウルフに対して、力を出せなくなるのか?


何を信じていいのか?


ウルフだって、本当の話しかわからないが、生まれ変わる前には家族を人に殺されている。


そういえば、村人の中にウルフの知り合いがいる、と言う話をしていたな、その知り合いは、村中探しても、見つからなかったと。


なんだか、最近は、わからないことが多くありすぎるから、頭が混乱してしまう。


なんてことを考えて食事の手が止まっていたら、俺の手を横に座っているジャネットが握ってくれた。


その温かさに俺は、顔を上げてジャネットの顔を見て、安心した。


ジャネット「ご主人さまは、急に勇者になってまもないけど、疑心暗鬼にならないで‥‥‥

信じて行動するしかないんだよ」


と急にジャネットが俺の手を握って話し始めたので、全員が俺たちの方を見ている。


今まで無我夢中で全員を引っ張ってきたけど、小心者のクリスに戻ることだってある。


「ご主人さま、ご主人さまが、世界を救うのはクリス様しかいないんです。今でもあなたには、勇者と神の称号があるでしょう」


「そんな2つも大変な称号を持つ人なんて、私たちが見ている時から、一人もいませんでした。

ましたや、その上に救世主の称号もあるなんて、驚きなんですよ、救世主が世に現れるときは、どう言う時か、知っていますか?」


「うん、なんとなく‥‥‥」


「そうですか、あなたは、それを憂いているのですね?」


「なんとなくね」


「救世主が現れる時には、大変なことが起きる前触れなんです」


「やっぱり‥‥‥」


「多分、誰にも経験したことがないことが、今から起きていくでしょう。

その時に、それを、どれくらい未然に防げるか、また、人を助けることができるか、ご主人さまにかかっているんです」


「‥‥‥」


「ご主人さまの負担が大きいのはわかっています。でも、この星の人、何千人いるのか、または、もっといるのか、わかりませんが、助けることができるのは、ご主人さま次第ですよ」


「俺は、目の前にある事件さえ、どうやったら解決することができるか、考えているけど、いつも不安でたまらない。

それはたぶん、以前の経験が俺を震え上がられるのは十分なことを経験したからだし、ウルフともう一人の奴にも、俺は一度、殺されている‥‥‥

みんなも知っていると思うけど、前世では、俺はアルベルトと名乗っていた、そして、今世ではクリスと名乗っているけど、どちらも一度は死んでいるんだよ。

こんな俺が救世主だなんて、なれるのかな?」


ジャネット「ご主人さま、もしですよ、アリシアが殺されそうになったら、どうしますか?」


「‥‥‥俺は、どんなに急いでも行くだろうし、あらかじめ魔法を展開することもすると思うから全力で助ける」


「そう、それでいいんです。

私たちは、全員がご主人さまのことが好きです。

いつまでも一緒にいたいと思っています。

その、ご主人さまを亡くしたら、私たちもどうなると思っているんですか?」


ロゼッタ「そうじゃな、巨大化して大暴れじゃないかな」


パトリシア「私も、国を破壊して人を踏んづけちゃいます」


アレク「うん、私も、久しぶりに巨大化して、暴れるかな」


アデル「国なんか、無くなっちゃうね」


エイミー「私も、今まで抑えていたものを爆発させます」


アイリス「私も暴れまわる」


ジャネット「私なんか、抑えらてなくて巨大化して空から火を噴いちゃうわよ」


「みんな、本当にありがとう」


「私たち、全員がご主人さまを守って見せます、だからご主人さま、私たちを守ってくださいね」


「うん、わかったよ」


何かの前兆なのか?

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