第392話 新たな依頼

俺はフレーゲル伯爵の屋敷から4人を助けて、そのうちの3人は、旅の途中のボールドウィン王国の関係者と言うことが分かった。


関係者と言ってもボールドウィン王国の姫を助けたみたいだ。


でも、どうしてフレーゲル伯爵は、この人たちを捕らえていたのか?


ボールドウィン王国の姫だと知っていたのか?


それは後になればわかることだと思う。


そう考えてランドルフのいるお城に意識をやると、騒ぎが起きていた。


「ちょっと待ってね、オズワルドの城で騒ぎが起きているみたいだから」と言って検索魔法と遠見を使い確認する。


俺は目を閉じて、お城に意識を集中するとフレーゲル伯爵が部屋に閉じこもり籠城した挙句、毒を飲んで死んだと言うことだ。


「はぁ、これで、聞けなくなった」と声に出してしまった。


「えっ、何が起きたの」アリシア


「うん、フレーゲル伯爵が毒を飲んで死んだみたい」


「えーっ、そうなの?」シャーロット


「うん、間違いない」


「死んだ‥‥‥そうなんですか」と30代の姫のお付きのロリー



「話を切り替えますが、ボールドウィン王国の厄災とは?」


「それは、私から話そう」とエレノアが部屋に入ってきた雰囲気とは違う言葉で答えてきた。


エレノア王女は、さすが嫌な王族、ナンバーワンと言う感じで上から目線だな。


俺は、権力を傘にきて話をする上から目線の奴ほど嫌いな人種はいない。


今まであった王族は、いい人ばかりだと改めて、嫌さな部分が目立つ。


「姫様、ちょっと」とハンナとロリーが姫を呼んでいる。お付きのロリーとハンナとエレノアの3人で話をしている。


こっちを見ながら、ヒソヒソ話をしている、気分が悪くなるようなやり方だ。


話が終わったみたいで‥‥‥俺の前に腰に手を当てて踏ん反り返りながら


エレノア「貴殿が、ほんとうに勇者物語に出て来る、勇者クリス様なのか?」


「うん、そうだね」 本当にやりずらい。。


エレノア王女は、ジロジロ見ている。


なんだか、もう、帰りたくなるよ〜


シャーロット「ちょっと、あなた、なんなの? クリス様に向かって、その態度は」


エレノア「あなたは?」


「私はオーリス王国の姫でシャーロットよ」


「嘘ではあるないな」とエレノア


「どこに嘘を言う必要があるのよ」とシャーロット


エレノア「証明できるのか?」


シャーロット「えっ、証明?


エレノア「そうじゃ、姫だと言う証明!」


あっ、なんかシャーロットがキレそう〜やばい


そこで思いついたシャーロットが王族の証であるカードを差し出した。


まぁ、貴族のカードだね、これには、シャーロットが冒険者でランクも上位ランクで、貴族で、オーリス王国の姫だと書いてある。


あまり使うことはないけど、ほとんど俺のカードだけで有効だから、他のメンバーはお付きで通れるから、使ったことがない。


その照明カードを3人でみている。


エレノア「これは失礼した、オーリス王国の姫が冒険者だと書いてあることは、ほんとうだったのか。

勇者物語の勇者クリス様のメンバーには、確かにシャーロット姫がおられるが、ほんとうに、あなたはシャーロットなのか?

カードを偽造したり、盗んだんじゃないのか?」


「そんなことしてないわよ」とシャーロット


そこにコリンが入ってきて、脇には本を持っていた。


コリンは何も言わずに、本をテーブルの上に載せる。


コリンが開いたページは、挿絵の部分だった。


全員で挿絵を見てみる。初めて見た。そこには、俺、そっくりな人が書かれていた。


心の奥で、うわ〜、俺がいる、と思ってしまった。


エレノアとロリーとハンナは勇者物語の本を一生懸命、見ている。


「そうじゃ、この勇者物語のゆうじゃ‥さ‥ま、」と言って俺と見比べている。


本を見たかと思えば、俺を見ている、それを何回もしている。


でも繰り返し見ることで顔つきが変わってきた。


「ほ、ほんとうに、あなたが、この中に出てくるクリス様ぁ‥‥‥」


「さっきから、そう言っているけど‥‥‥」俺は感情的になってきた。


「おおっ、ほんとうにいたのかぁ? 作り話じゃなかったんだ」と感激している様子。


目がキラキラしてきたよ、この王女さま‥‥‥


今までにいないタイプの姫に手を焼かされそう、依頼、断ろうかな?


俺はアリシアに目線で、「断っていい?」と言う感じで送るとアリシアが首を横に振った。


おお、すごい、わかったのか、アリシア


エレノア「勇者様に会う旅に出てよかった、これで死んだものも報われる」


目をキラキラさせながら、話す言葉が俺を失望させた。


「貴殿にはボールドウィン王国に来てもらう、いや、絶対に連れて帰るぞ、姫たる、わしがいうのじゃ、命令じゃ」



俺は立場上、俺には加盟国がいるから、どんな人でも国でも対等以下じゃないと、加盟国が下にみられることになる。

特に大国は、大国と言うだけど、他の国を下にみることもあるから、気をつける必要があるんだ。

前にも言ったことなんだけど、国の王様が俺の下になるから。

とても上下関係なんて、俺は、本当はどうでもいいんだけど、盟主の立場から言えば重要なことになる。


こんな上から見下ろすような話や態度をする奴の国なんか、どうにでもなってしまえばいいと思う。


俺だって人間だし、盟主としての立場がある。


あ〜、こんな姫なんか用事を聞くこともないや‥‥‥



俺は姫と話すよりも、椅子から立って部屋を出ていった。


「あ、おい、どこにいく?‥‥‥無礼じゃぞ」とエレノア姫が手を挙げているけど‥‥‥


パタンと扉が閉まる音


俺は自分の感情の部分が大きく左右したが、ランドルフに母を返しにいくために唐突に部屋から出てきてしまった。


俺は通路に出ると、考える間も無くランドルフのいる城に瞬間転移してきた。


瞬間転移して目の前にはランドルフがいるが、少しは落ち着いたみたいで、執務室の椅子に座って、ぼーっとしているみたい。


「フレーゲル伯爵が毒を飲んだって」と急に話しかけるとバッと顔を挙げて、「もう、お気づきなのですね」と言ってきた。


「うん」


「毒を飲んだと言うことは認めたと言うことですね」


「そうだね、今、お母さんはブラッドフォード大公国の俺の山荘にいるよ」


「えっ、あの屋敷が、そうなんですか?」


「うん」


「そうですか、なんだか、クリス様の魔法が特殊すぎて」


「まぁ、そのうちに体験することもあるよ」


「お母さん、もう大丈夫だから、ここに連れて来るから5分くらい、待っていてくれる?」


「はい、それは、もう、本当にありがとうございました」


「それじゃあね、、5分後に」と言って手を振りながら、戻ってきた。


転移で戻ってきた俺は姫の部屋には行かないで、ランドルフの母親の部屋をノックした。


今度は許可を待って扉を開けた。


「今、ランドルフと話をしてきましたが、もう体調はいいですか?」


「はい、もうだいぶ良くなりました、本当にありがとうございます、あなた様は、私たち親子の、いいえ、国の英雄様です」


「そんなことないですよ」


「いいえ、私たち親子と国を助けてくれたことには、大変、感謝しております。貴方様が助けてくださらなかったら、私は、ランドルフに会うことも敵いませんし、もう生きていないかもしれません。

なんと言ってお礼を言えばいいかもわからないほど、あなた様は大きなことをしてくださいました。

お城では、私は側室ですけど、今からは息子のランドルフの母親になりますので、何か、お返しできるといいんですけど。」


「いいえ、お返しなんて入りませんから、ランドルフを大切に思ってあげてください。

それだけで、私は報われます

ランドルフとあなたをみているだけで胸の奥が熱くなります、そう思わせていただいたこと、私の方が感謝したいくらいです」

いつまでもランドルフとお幸せに‥‥‥」


前世の母とランドルフの母の違いに俺は衝撃を受けた。


俺は前世の記憶から、胸が締め付けられる思いがした。

前世では、俺の母親は、俺を捨てて家を出て行った。

家の中に、俺だけ残して、どこかに言ってしまった。

久しぶりに、前世の母親のことを思いさせてくれた。

そして父親も‥‥‥だけど、思い出すと、あの言葉が蘇る‥‥‥


その言葉は、化け物‥‥‥と言う言葉だ。

前世の親を思うと、その言葉が今でも俺の胸を締め付けてしまう。


その記憶があってクリスとしての自分でも村には帰らないのかも‥‥‥



「じゃ、ランドルフのところへ行きましょうか?」


「はい、お願いします」と言って、俺は母親と手を繋いで瞬間転移した。


母親が目を開けると、もう目の前には息子のランドルフが立っていた。


「母上」と言って親子の再会を喜んでいる。


俺は声をかけることもなく、元の場所に母親が寝ていた部屋に戻ってきた。


俺は、前世の記憶から思い出していた。


アルベルトと名乗っていた時の、母親を‥‥‥


俺が小さいときに、俺を置いて家を出ていった両親を。



しばらくしてエレノア姫の部屋に行こうかと思ったけど、心が重たくなって、行くきにはなれなかった。


俺が一人で部屋にいるとエイミーが入ってきて、俺の膝の上に座った。


「ご主人さま、姫は、悪い人じゃないよ」


「うん、それはわかっている

今まであった王族はいい人ばっかりだっから、あれが普通なんだよね貴族って」


「そうかもしれませんね」


「‥‥‥」


俺が何も言わないでいると、俺ように用意した冷えた紅茶をエイミーが飲み出した。


「あっ、それ、俺のだけど、新しく入れようか?」と言うと


エイミーは「何言ってんですか?、ご主人さまのあとを飲むのがいいんですよ」と言ってきた。


「あっ、そうなの」とエイミーが、全部の紅茶を飲んでしまった。


「さぁ、ご主人さま、行きますよ」と俺の手を引っ張っていった。


なんだかエイミーの方が年上みたいだ、実際にも、そうだけど。


俺とエイミーがエレノア王女の部屋に入ると、一斉に俺を見ている。


「ランドルフのお母さんを返してきた」と言った。


俺は気がついたけど、ランドルフに母を返したのは、この姫の依頼を受けるためなのかと考えた。


自分でも気が付かなかった行動だ。


もちろん、母親が元気になったと言うこともあるけど。


俺が座っていた椅子にはアリシアが座っていたら、空いている先ほどアリシアが座っていた椅子に座ろうとしたら、アリシアが立って譲ってくれた。


アリシアが座っていた椅子は暖かく俺の心も緩めてくれる。



俺は心に決めて王女に対する。


俺は王女みたいな人間が、一番、嫌だ。


「あの、御気分を害されたのなら、謝ります」とエレノア王女


「いえ、大丈夫ですけど、今回の依頼はお断りします」


「えっ‥‥‥」


「クリス、ちょっと、それはないんじゃない?」とアリシア


「今、こっちでも問題が山積みされていましてね」


「ちょっと、待ってください、あなた様しかいないんです、私たちを、どうか、助けてください、お願いします」とエレノア王女


30代の女性が「私たちは、あなたに会うために遠いところから姫様の護衛をしてきました」


「それは、わかっています」


「でも、俺は今、ここを離れるわけにはいかないんです、このオズワルド王国を、安定させることが、もう少しでできるのに、今、手を離したら、また、どうなるのかわかりませんから」


「そこをお願いできませんか、急ぐんです、私たちの国まで、今から立っても船を乗り継いで到着するのに、どれくらいの日数がかかるか、わかりません、勇者様、どうか、どうか‥‥‥」


仕方ないな‥‥‥


「今はいけないと言うことです」


「あっ、じゃ、クリス、ボールドウィン王国に行ってくれるの?」


「うん、今、すぐじゃないけどね」


王女が顔を輝かせて「ありがとうございます」


「でも、俺には、多数の国の盟主ですから、勝手に他国に動くことなんてできないんですよ」


「加盟国の了承が必要な場合もあります」


本当はないけど‥‥‥王女を反省させる必要もある。


沈んだようにエレノア王女は「そうですよね‥‥‥」


それが、今回は大陸を渡った他国になる、つまり、全く関係ない国と言うことになる。


俺が下手に出ることは、加盟国に全て影響するのは、事実だ。


王女が大国の姫だから盟主と加盟国よりも上だと思われても困る。


俺が盟主として加盟している国は、大国であろうと、小さい国であろうと関係ない。


いくらボールドウィン王国が大国であろうと、盟主を上下関係を上にしておかないと、加盟国が全て下に見られてしまう。


国の関係と言うのは、すごく難しいけど、大国であろうと、盟主から見れば下という意識がないと全ての物事はうまくいかない。


俺がへりくだると、加盟国も下にみられてしまう、特に大国は、そう思う。


思われてしまったら最後だ、なかなか変えてくれないから。


国家間の上下関係が固定化されてしまうのはダメだ。



「そうですね、2日ください、その2日のうちにオズワルド王国をもっとしっかり機能するようにして行きます

それまで、待ってください」


「わかりました‥‥‥無理を行って、申し訳ありません」とエレノア王女


エレノア王女は、たぶん、交渉は上手くない、まぁ子供だからしょうがない面もあるけど、あまりに貴族の雰囲気があると、俺も嫌気が刺す、俺も貴族だけど。

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