第376話 魔法陣2
俺たち二人は、オズワルド王国の次期国王になるランドルフ王子から許可をもらって、書庫に来ている。
少しの騒ぎがあったけど、初めて貴族の立場を利用してしまった。
なんだか気分が落ち込んでいる。
今のことを、すぐ前で見ていた案内してくれる司書さんには、悪いことをした。
でも、ああ言う、いやらしい奴は、我慢ならない。
「急ぎましょう」と俺は司書さんに言って、鍵がかかっている扉を開けてもらった。
「こちらです」と司書さんが案内してくれる。
「このあたりの本が魔法陣に関する本があります」と司書さん
俺は、魔法陣に関する本の背表紙の部分に指差しながら一冊の本を選んだ。
棚から出してきたが、鎖が繋がっているので、専用のテーブルでしか閲覧できないみたいだ。
俺は、鎖がジャラジャラと音がするのを気をつけながら、近くにあるテーブルに本を置いて、広げてから椅子に座る。
椅子に座って本を見ていると、1ページことに気になることが書いてある。
司書さんに言って紙をもらってきた。
この紙に気になる魔法陣と説明を魔法で書き写す。
俺のことを後ろで見ているアリシアに司書さんが近寄り、「すごい方ですね」と言っているけど、俺は耳の端で、それを捉えながら本に夢中になっている
アリシアは司書さんに「しーっ」と口に指を当てて、静かにと言ってくれている。
そしてアリシアは、「ここが終わったら、声をかけますから」と言って司書さんを出した。
司書さんは黙って部屋の外で待機している。
俺は、魔法陣についてのことを魔法で転写していく、いちいち書いている暇がない。
魔法陣は簡単なものもあれば、複雑怪奇なものまであるから。
俺は、転写しながら、ある魔法陣が気になる。
その魔法陣を目で確認して頭の奥で記憶することをして、魔法陣を書かないで展開してみた。
どうして魔法陣が古代の遺物になってしまったのか、俺にもわからないし、前世のアルベルトの時にも記憶はない。
と言うことは、本当に昔のことなんだ。
400年か、もっと前の時代から魔法陣は使うことがなくなって、廃れてきた魔法だということになる。
その魔法が、ウルフたちと関係があるのか?
もう1ページめくると空間と言う文字が目に入ってきた。
あった、俺は、空間に関係する魔法を転写したけど、魔法陣に関係する本を丸ごと転写することにした。
「アリシア、魔法陣に関係する本をテーブルに並べてくれる?」
「うん、わかったわ」とアリシアは、急いで本棚から本を取り出して、テーブルの上に一冊、一冊、並べていく。
アリシアもわかっているようで、本が重ならないように並べてくれる、そして転写を済ませた本は、元の棚に戻してくれているから、助かる。
全部で32冊の魔法陣の資料ができた。
俺たちは急ぐため、司書さんに挨拶して、ここから出て、元の部屋に自分たちだけで戻ってきた。
やはり、この城の中の人間関係は、うまく行っていない。
俺は、多くの難点を抱えている、この国のことを危ぶんでいる。
王が決定されれば解消させる可能性もあるけど、人の感情は、そうはいかない。
待っている神獣たちに、念話で、「俺がいる部屋を目印にして瞬間転移してきて」と伝えることにした。
そうするとオーリス王国を筆頭に、ダイラス連邦、ライオネル公国、サイラス帝国、リッチェスト国、ブラッドフォード大公国の王族と関係者と警備の者と神獣たちが次々と転移してきた。
早くきた国から、俺たちは挨拶をしていく。
そしてオズワルド王を紹介するけど、サイラス皇帝は、オズワルド王を知っている。
以前、サイラス皇帝に話しているみたいだから。
それぞれの国の王族や兵士や騎士や文官たちが、今は、用意された部屋に案内されている。
1日ぶりに、メンバーが揃った。
「久しぶりだね、一日ぶり?」
「そうだね」と言ってアイリスとアレクが話している。
「全員、揃ったね、ちょっと話があるんだけど」と俺は全員を大きいテーブルに座ってもらって話し始める。
俺は声を小さくして、ギリギリ一番、遠いソフィアに聞こえるくらいに、話し始める。
「俺とアリシアが王都で歩いている時に、カフェにいたんだけど」とここまで話したら、
「ずるい、美味しいもの食べたんでしょ?」とアレクが言ってきた。
「まぁ、それもあるけど、そこで見たんだ」
「えっ、何を見たんですか?」とジャネット
「カフェにいるとき、通りにウルフがいたんだよ」
「えっ、ウルフがですか?」
「うん、そう」
アリシアが「その時にクリスったら、急に顔色が青ざめて大変だったのよ!」
「えっ、でもクリス様は、ウルフと対峙した時に、大したことなかったって言ってませんでした」
「それが奴の気配が以前とは、違ったんだよ」
「どんな風にですか?」
「ウルフの奴が、俺を殺した奴に近くなった見たいなんだ」
「それじゃ、強くなっていると‥‥‥」
「うん、そう考えてもいいと思う‥‥」
「それは、大変なことですね」とパトリシア
「それで街で見つけた奴は、どうしたんです?」
「それがね、すぐに探索魔法を使ったけど、反応がなかったんだ」
「そうですか」
「俺の探索魔法から逃げられるなんてないと思うから、どうやってか、わからないけど、どこかにトリックがあると思うんだ」
「そうですね、う〜ん、考えたくないですが、どこかを見落としているわけですね」
「そうそう、それを考えて欲しいんだけど、それと‥‥‥」と言って俺は、異空間収納からカーペットを出した。
「そのカーペットは、あの屋敷のものじゃないですか」ジャネット
「そうだよ、よく覚えていたね」
「以前もいきましたからね」とジャネット
「このカーペットは、魔法陣が描かれていて、持ち運びができるようになっているんだ」
「へー、持ち運び?」
「そう、小さいカーペットだから、一人くらいが横になる大きさしかないし」
「そうですね、大きさは、180センチくらいですか?」
「うん、それくらいだね」
「それで、このカーペットに消えかかっているけど、魔法陣が書いてあるんだ」
全員が、カーペットに顔を寄せてみている。
俺がカーペットから、顔を上げると胸元から胸の谷間が目に入ってしまった。
俺は、これじゃ、あの書庫の偉そうな司書長と同じだと思って、いやらしい目で見ることも気がひけるので、カーペットに目線を落とした。
カーペットの魔法陣を、あらためて見てみると、気がついたことがあった、それは先ほど、この書庫で見つけた、魔法陣と似ていることだ。
俺は異空間収納から転写した本を取り出した。
テーブルの上に広げて、どの本だったか、探している。
「あっ、この本だ」とつい声に出してしまった。
俺が本を開くと、全員が本を覗き込むけど、一人だけ、俺の膝の上に乗ってきた人物が居た。
それはエイミーだった。
エイミーは俺の膝の上に座りながら、カーペットを見ている。
「あっ、ご主人さま、エイミーにしっかりと魔法陣を見せてください、この子は、魔法陣の研究をしているんですよ」
「えっ、本当なの、エイミー」と俺がいうと、エイミーは何も答えることなく、一心不乱にカーペットの魔法陣を見ている。
へ〜、エイミーが魔法陣に詳しいなんて、初めて知った。
まさか、幼年組だと思って、
エイミーは、俺の膝の上で、一生懸命、魔法陣を見ている。
こんなことだったら、早めにエイミーに相談するか、見せればよかったよ。
エイミーが「ご主人さま、分かりました」とニコッとした顔を俺に見せてきた。
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お読みくださりありがとうございます。
ブックマーク、ハートマーク、星マーク、評価も、感想も、ほんとうにありがとうございます。
本当に多くの方の支援には心より感謝しております。
そして、何よりも小説を書くための励みになっています。
誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っています。
また意味不明な文章があることもありますが、なにぶん素人が書いている文章です。お知らせくだされば、訂正しています。
この物語は異世界の物語です、現実世界とは違いますので、その点はご容赦ください。
あくまでもファンタジー小説です。
前世の悪い記憶を持つ小心者の主人公が成長していく物語です。
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